第57話 現実:技術-兵器 サーモバリック爆弾・「サーモバリック爆薬」 悪行の数々
▼サーモバリック爆弾:サーモバリック爆薬-液体から固体に、そして気体爆薬を瞬間的に錬成!
燃料気化爆弾は開発当初からアメリカ陸軍では同呼称(FAE)が使われてきたが、近年では燃料ではなく専用爆薬を用いる研究が進むことによって2002年頃から、サーモバリック爆薬と呼ばれる専用の爆薬使われ始め燃料でなくなるどの語義変化もあり、サーモバリック爆弾(Thermobaric)とも呼ばれるようになってきている。
燃料気化爆弾などもこの分類に含まれるが、近年では燃料気化爆弾ではなく「サーモバリック爆弾」という呼び方が定着してきている。
*サーモバリックとは
ギリシャ語の熱を意味するthermosと
圧力を意味するbaroを組み合わせた造語である。
あえて日本語訳するなら熱圧力となる。
兵器として使用されているものは正式には HIT:High-Impulse Thermobaric(高衝撃熱圧力)であり、破片などによらず爆風と高熱高圧で破壊と殺傷を行う兵器を指して使われる。
燃料気化爆弾などもこの分類に含まれるが、近年では「サーモバリック爆弾」という呼び方が定着してきている。
*サーモバリック爆薬(サーモバリックばくやく、英: Thermobaric Explosives)とは
燃料気化爆弾の次世代型に当たる気体爆薬である。
1990年代から開発が始まり2002年ごろから実用化された。
サーモバリック爆薬は三段階の爆発現象を起こす。
1.固体から気体への爆発的な相変化
2.分子間の歪みによる自己分解による爆発
3.空気中の酸素との爆燃による爆発
成分はハロゲン酸化剤、ホウ素、アルミニウム粉末、ケイ素粉末、マグネシウム粉末、などから構成されている。
トリニトロトルエンなどの固体爆薬と異なり、サーモバリック爆薬は固体の状態では爆薬ではない。
厳密に言うなら、気体爆薬を瞬間的に合成する反応物質の塊と呼ぶべきである。
つまり燃料気化爆弾が酸化エチレンや酸化プロピレンなどの液体燃料を瞬間的に気化させて使用しているのに対してサーモバリック爆薬は、固体の化合物を気化させることで粉塵と強燃ガスの複合爆鳴気を作り出しこれを爆発させる爆薬である。
・貯蔵、運搬性能の向上
燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)の燃料などは非常に高い燃焼性を持っていたために運搬が大変困難でした。
液体燃料と燃焼性の粉塵を混ぜた状態で保存して置くのは非常に不安定で、安定して運搬するのにも安定した密閉容器だと重量がかさむために運用が困難だったのです。
これがサーモリック爆薬になることによって安定した運搬と小型化・軽量化が進みました。
気体爆薬として理想的な爆発力と自己分解性を持つガスは安全に貯蔵運搬することが難しく、さらにその中に強燃性の粉末や金属粒子を混ぜたまま貯蔵運搬することは極めて不安定で危険である。
また、ガスは体積が大きくなり、その容器も耐圧構造が必要で重量もかさむため、どうしても貯蔵、運搬に不便を来たす。
この矛盾を解決する手段として作り出されたのが通称サーモバリック爆薬と呼ばれるものである。
燃料気化爆弾のように一次爆薬の力で燃料を加圧沸騰させる必要が無く
固体の状態で弾頭に充填されるため、体積当たりの威力が大きくなっている。
これはサーモバリック爆薬が散布されると空気中には燃焼性の強いガスと粉塵が発生し、さらに液体が気体化するときよりも個体が気化するときの方がはるかに膨張性が高くなるので、液体燃料よりも爆発の威力は上がっています。
この他、爆薬自体に爆発する性質があるために酸素が不足している状態でも問題なく爆発することができます。
つまりアセチレンのように、酸素が無くても自己分解のエネルギーだけでも爆発する物質を生成するため、酸素が不足する燃料リッチの状態でも爆発することが出来るのです。
このため、空気の量が限られている密閉空間内でも爆発します。
このように保存状態では密度の高い固体の塊になっているため体積が小さく、起爆に必要な装置も信管のみで足りるので、比較的小型の兵器に搭載することも可能であるため、携帯用ロケット弾やXM1060 40mmグレネードなどが開発されている。
又その爆発の特性から、音響手榴弾の材料としても研究されている。
・核兵器に次ぐ威力
燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)は通常の爆弾兵器に続いて核兵器に次ぐ威力があるとされています。
TNTなどの有名な個体爆弾とは爆発の原理などが違うために正確な威力の比較はできませんが、爆発半径や建築物・人的被害を見ることにとって擬似的に比較することができます。
燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)の爆発によって起きる爆風や衝撃波による効果は人間によって非常に効果的な破壊をもたらします。
人間は身体構造的に急激な圧力の変化に弱く、爆発によって起きる爆風の圧力によって壁越しや建物の中、
密閉されていない乗り物の中にいても被害を受けます。
・爆風による破壊効果はどのようなものか?
爆風によって起こる効果として即死しない場合、衝撃波による圧力の変化で眼球、鼓膜、肺・内蔵等に大きなダメージを負います。
これらを防ぐためには圧力変化のない気密された空間の中に居るしかありません。
しかし、戦場においてこのように密閉された気密空間などほぼありえないので、兵士にとっては逃げられない恐ろしい爆弾となります。
唯一の手段は爆心地から遠いことを祈るだけ。
だが運良く衝撃波による破壊を逃れられ爆発で生き残ったとしても、
燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)の効果はまだ襲い掛かります。
急激な気化と燃焼によって起きた爆発の後には燃料による酸素の欠乏と熱が襲いかかりますが、さらに爆発によって肺が急性無気肺や肺充血などを起こしているところに酸素の少ないバランスの悪い空気、主に一炭化酸素が来ることで擬似的な酸欠と一炭化酸素中毒を起こすことで窒息死に至ります。
また、現在破壊力の大きなサーモバリック爆弾の小型版が開発されています。
これは、洞窟や建物など狭い空間に撃ち込むと、隅々まで届く猛烈な熱と爆風を発し、その場の酸素を使い果たして空間内にいる人間をほぼ全滅させる爆弾だ。
なお、米軍が昨年アフガニスタン攻撃で初使用した際は約900キロの爆弾だったが、今春これを兵士1人で発射できるロケット弾や手榴弾に搭載したタイプのテストが始まるという。
そして今、米陸軍はこの強力な兵器を兵士1人1人の手に持たせようとしている。
最終的にはライフルで発射し、市街戦に用いる計画だ。
まさに現代の新たなる火炎放射器である。
*火炎放射器は、炎によって対象物を焼却する武器、兵器、ないしは道具である。 汚物は消毒だ
本来は工兵資材として障害物や危険物の処理に使用されるモノであったが、肉薄兵器として対戦車戦闘に使われることもあった。
とは言え、被弾に弱く射程が著しく劣っているため主力兵器とはならなかったが、トーチカなどの建造物および洞窟といった閉所に対して使用すると酸欠をもたらし相手を窒息死させることができるため、立て篭もった敵を掃討するために使われたが、現代ではそのような用途はサーモバリック弾などに置き換えられたのだ。
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