第44話 現実:技術-戦法 パルティアンショット

★パルティアンショット(Parthian shot):ドッキン ハートに まばたきショット

◎弓で武装した軽装騎兵は敵との距離を一定に保ちながら回りを駆け弓矢で攻撃する。


◎敵が攻撃に転じようとすると引き、背面騎射にて後方に矢玉を一方的に打ち込む。


◎再び回りを駆けながら騎射にて矢玉を打ち込む。


◎パルティアン・ショットで一方的に虐殺。


   - 以下略 -


 かくして敵軍は馬の機動力に対抗出来ず、一方の弓騎兵は徹底的に白兵戦を避け被害を免れる。

これを繰り返すと、相手の軍隊は一方的に戦力を削られると言う、騎兵の機動力を活かした一撃離脱戦法である!

……しかし、現代では転じて「捨て台詞」の意味になってしまっている。


 これらは、古代において中東地域を支配したパルティア王国(紀元前247年頃 - 226年)に代表される、遊牧民族の弓騎兵による一撃離脱戦法一般を指すものである。


 なお、この戦法はパルティアのみに見られるものではなく、基本的に歴代・広範囲の遊牧国家一般が使う戦法であり、火器が発達するまでの間は、遊牧民族はかなりの脅威だった。


 日本でも同様の技術はあったが、日常的に弓騎兵として活動していなければ使えないであろう高等技術であった。


 異世界転生でご気軽に使えるような技ではない。

そもそも数が揃わなければ意味がない。

或いは、バイクに乗って高火力の武装でも使っていたならばそのような技も習得していたかも? 

高周波炸裂弾……ハカイダーショット!? (特撮映画ハカイダー)



▼概要:

 パルティアンショットは、戦いの最前線に出ては馬上で後ろ向きに矢を放ってから後退することを繰り返す背面騎射戦闘方法である。


 パルティアンショットのような射ち方を、日本では「押し捩り(おしもじり)」と言います。


 パルティアは遊牧民が政権中核を構成した国家であり、弓と馬の扱いに秀でていた。


 そのため軍隊の主力にも軽装騎兵を採用しており、機動力を生かした戦いを得意としていた。

軽装騎兵は槍や剣ではなく弓で武装し、一定の距離を保ち矢を放って敵を苦しめた。


 こうした軽装騎兵を効果的に活用するためパルティアは接近した白兵戦につながる会戦をできるだけ避け、戦闘になっても会戦で決着をつけようとはせずにすぐに退却した。


 退却するパルティア軍は追撃する敵に逃げながら矢を放ち、その損害に敵が浮き足立ったり高速移動に敵の戦列が対応できずに戦闘隊形が乱れると、取って返して再び攻撃した。


 こうした戦法は特にパルティア独自のものではなく、スキタイ、匈奴、モンゴル帝国といった遊牧国家の戦争に共通したものであるが、ヨーロッパに古典文明を伝えたローマ帝国が本格的に対峙した遊牧民勢力がパルティアだったため、ヨーロッパ人にとって遊牧民の戦法は、パルティア的なものとして記憶されるようになった。


 このようなパルティアの戦い方から逃げながら馬上から振り返りざまに打つ矢のことを「パルティアンショット」と呼び、最後に一方的に言う言葉のこととして現代では転じて「捨て台詞」の意味になった。


 こうした馬上の弓術は、パルティアの後継政権であるサーサーン朝の帝王の狩猟図像などに記録されているものを、今日でも見ることができる。

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