第42話 現実:技術-技法-読書「反射光(紙の文字)」「透過光(モニタの文字)」
▼読書の歴史:
そもそも読書の意味とは「書を読む事」とされるが、活字の登場以前はそれらは主に裕福層やインテリ層などの選ばれた者のみに許された行為であった。
本好きによるグーテンベルグの活版印刷技術の登場以降、書籍が大量生産されるようになって、大衆の識字率は格段に向上し、読書は大衆娯楽(趣味)としても広く受け容れられるようになっていった。
日本では、江戸時代までは、主に四書五経など漢籍の音読(おんどく)が行われていたが、明治時代以降になると黙読(もくどく)が主となった。
当初黙読がそれほど広まっていない頃には、黙読する人は「何を読んでいるのか分からない」ため気味悪がられ、また、黙読が広まっても、なかなか音読の習慣を止められない人もいたとされる。
黙読している間も声を出さずに頭の中で音読しているのと同じように読む無詠唱派の人もいる。
また、江戸時代には四書五経のような教養書の他に戯作本(『東海道中膝栗毛』等)が登場して出版業が成立、生活に余裕のある都市住民を中心に娯楽としての読書が広がっていた。
当時、日本語の崩した文字に対応するために、木版印刷が広く用いられた。
20世紀に入ると大衆の教育の広がりと向上により、かつてより書を読む人間が増えて、また出版技術の向上により大量出版の時代となった。
日本においては、大正時代から昭和前期における円本の流行が「廉価な本を大量に発行する」という出版形態の発端とされ、貸本屋や紙芝居屋が現れる。
しかし、20世紀も後半になってテレビやインターネット等他メディアの爆発的な発達により、知識情報獲得手段としての読書の地位が相対的に低下していったため、若者が本を読まなくなったと嘆く人間の間で「活字離れ」「読書離れ」が語られることがある。
なお、読み方としては要所をピックアップして行くなどして読書速度を上げる速読(そくどく)や、内容をよく理解して更にはその思想までもを汲み取ろうとする精読(せいどく)などがある。
また、本を読まずに大量に積み上げることを、皮肉的に「積ん読」(つんどく)ともいう。ガンプラやエロゲと同じである、いやむしろ元祖なのかもしれない。
また、書籍に限らないがその原稿を関係者や第三者が読んで問題点を指摘することを査読(さどく)といい、更に問題点を修正したりすることを校正(こうせい)という。
読書にのめり込んで、終始活字を目で追わなければ気がすまない、むしろ終始活字を目で追わなければ生きてはいけないようになった人間は、「活字中毒」とされる。その一方でビブリオマニア(書痴・愛書狂)のように、書籍それ自体をこよなく愛好する向きもあり、書店のみならず古書専門店も古書マニアなどに根強い人気を得ている。
後の紙使いである。
また、古地図などもまた人気があったりする。
結局の所、人類は今に至るまで紙以上の採算性、利便性のある書籍媒体を未だに発明しえないでいるのだ。
▼反射光と透過光:社会学者マーシャル・マクルーハンが唱えた重要な概念のひとつ。
だが、20世紀末よりインターネットの普及などにより、プレーンテキストデータのみならず、様々な図表も入った書籍データをパソコンや携帯情報端末 (PDA) 等にダウンロードして、専用ビューワーを利用して読書するなど、その方法は多様化してきてはいる(電子書籍化)。
反射光と透過光について調べてみると、紙の本やプロジェクタで映した映像のような反射光で得る場合と、ディスプレイのように透過光で得る場合では、視覚情報の処理のされ方が違うという記事が結構ひっかかり、研究例まであるらしい。
紙の文字を読む時と、モニタを通して文字を読む時と、人間の脳のモードが変わっている。
紙に印刷して読む時というのは反射光で文字を読むことになり、モニタで文字を読む時は透過光で文字を読むことになるとのこと。
この光の種類の違いにより、同じ文字を取り込むとしても、(脳が)能動的な姿勢になるか受動的な姿勢になるか切り替わっているそうだ。
▶反射光(紙の文字):スキャナが文書や画像全体をスキャンするように、ドット単位で読み取っていく
▶透過光(モニタの文字):細かい部分は無視して、全体的なパターンや流れを追うように読み取っていく
同じ情報であっても紙媒体(反射光)とディスプレー(透過光)では脳は全く違う反応を示し、特に脳内の情報を理解しようとする箇所(前頭前皮質)の反応は紙媒体の方が強く、ディスプレーよりも紙媒体の方が情報を理解させるのに優れていることや、連続的に同じテーマで送った方が深く理解してもらえることなどが確認されました。
まあ、光量の強さによって目や脳に対する負担が変わってくることも関係あるのでしょうが。
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