第33話 現実:地理-失われた大地(新たなる海の誕生) ドッガーランド、スンダランド、サフルランド、ベーリング地峡

ドッガーランド(Doggerland):北海のアトランティス!

 今から1万年-8千年前の最終氷期(約8200年ほど前)、グレートブリテン島が未だ大陸と陸続きであった頃、現在のグレートブリテン島南東部(現在の北海中央部)にドッガーランドと呼ばれる大地が存在していました。


 そう、中石器時代のイングランド東部は現在のベルギー、オランダ、デンマークと繋がっていて、その広大な土地は果てしなく拡がっていたのでした。


 ですが現在では北海南部に水没し、ドッガーバンクと呼ばれる浅瀬の広大な砂堆となっています。(注:面積は日本列島とほぼ同じ)


 ドッガーランドの住人は、かつては大陸とつながって、他の北海沿岸部と同じく狩猟採集民が生活していましたが、水面が上昇していくとそれにともない次第に漁労へと生業を変えていきました。


 しかしその後の氷河の崩落や津波、急激な海面上昇等水害が起こって増々面積が狭まっていき、とうとうドッガーランド自体が海没してったため、それにともない住民は沿岸各地へと移住し、自然その大地だった場所での人類の生息圏は消滅したといわれています。


 ですが、かつての人類の生息圏のその痕跡は、現在でも北海やバルト海でトロール漁業の操業中に当時の遺物が多く発見される事によって人々の記憶に留めています。



●北海:

東はノルウェー、デンマーク、南はドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、西はイギリス、北はオークニー諸島・シェトランド諸島に囲まれている。


東はスカゲラク海峡・カテガット海峡でバルト海に、北はノルウェー海に、南はドーバー海峡・イギリス海峡で大西洋に繋がっている。


◯ドッガーバンク:Dogger Bank、dogge は古いオランダ語で釣り舟を意味する

 イギリスの東方約100km沖合いにある北海の浅瀬の広大な砂堆である。

面積は約17,600km²(6800平方マイル)あり、最大寸法は東西が約260km、南北が約95kmである。

水深は15~36mほどで、周囲の海よりも約20m浅い。

最後の氷河期に氷河の南端で形成された。

当時はドッガーランドという陸地で、本土とつながっていた。

かなりの人々が住んでいたとされている。



◯スンダランド(Sundaland):氷河期の終わりに海底に沈んでしまった幻の大陸

 スンダランドとは、現在タイの中央を流れるチャオプラヤー川が氷河期に形成した広大な沖積平野です。

スンダランドと想定されている範囲は、現在ではタイランド湾から南シナ海へかけての海底に没しており、

マレー半島東岸からインドシナ半島に接する大陸棚がそれに当たります。

これらが氷河期には海面が下降し100メートル程度低くなったため広大な平野となっていました。


 またジャワ島やバリ島もスンラダンドと陸続きになっていて、東南アジア半島部からボルネオ島、バリ島までの一帯がスンダランドと呼ばれていました。


 最も最近では、紀元前70000年頃から紀元前14000年頃にかけてのヴュルム氷河期に陸地でありましたが、紀元前12000年頃から紀元前4000年にかけて約8000年間にわたる海面上昇により海底に没しました。


 また隣接したオセアニアにも小面積ながらオーストラリアとニューギニアの間に海面下にしずんだ平野があり、それらはあわせてサフルランドと呼ばれています。


 そのサフルランドをなす大陸棚とスンダランドをなす大陸棚の間に、

「ワラセア」という陸地群があり、アボリジニの先祖たちはこの群島伝いにサフルランドへと渡っていきました(注:しかし、それでもサフルランドに最も近い現在の東南アジアとなるスンダランドからは80キロメートルの距離があり、これらから意図的な航海だったことが予測されている)が、しかし、スンダランドの東側とサフルランドの西側はそれぞれ異なるプレートの上にあり、その間は海溝となっていて歴史上完全には陸続きにはなった事がなかったことから、生物相が異なる状態が現在に至るまで続いています。(注:海洋を自力では超えられない大型の哺乳類や淡水生物などの生物は移動できなかった為)


 これらインドネシアのバリ島、ロンボク島間のロンボク海峡からスラウェシ島の西側、マカッサル海峡を通りフィリピンのミンダナオ島の南に至る東に走る生物の分布境界線のことをウォレス線と呼び、これより西の生物相は生物地理区のうちの東洋区に属し、東はオーストラリア区に属するというのを1868年、アルフレッド・ラッセル・ウォレスが発見しました。



◯サフル大陸(ランド):

 スンダランドは、ニューギニア、オーストラリア、タスマニア島など

今のオセアニアを形成している国をカバーする大陸である。


 氷河期には海面が下降し、東南アジア半島部からボルネオ島、バリ島までの一帯がスンダランドと呼ばれる陸続きとなっていたのと同様に、

パプアニューギニアとオーストラリアはサフルランドを形成していました。


 しかし、スンダランドの東側とサフルランドの西側は歴史上けっして陸続きにはならなかった。

そう隣り合う二人の間には、暗くて深い溝(海溝)があったのでした。


 また中国と韓国、日本に囲まれた黄海も平野でありましたが、ここはサフルランドと違いスンダランドと平野で繋がっていたとも。

さらに同時期にはペルシャ湾全体が平野でありました。



◯ベーリング地峡:海峡じゃないよ!

 ベーリング地峡とは、氷河期にアラスカ(北アメリカ大陸)とシベリア(ユーラシア大陸)の間に存在した地峡で、ベーリング陸橋またはベーリンジアとも呼称されています。(注:よってこの時期北極海と太平洋は分断されていた)


 陸橋が存在していたのは約5万年前から約3万5000年前までの期間と、約2万5000年前から約1万年前までの期間であり、約2万年前のウィスコンシン氷期の最寒期には、現在のチュコート海からベーリング海にかけて,約1000kmほどの陸地が存在し、アラスカはシベリアの延長であったと考えられています。


 最終氷河期には、現在のベーリング海峡周辺からベーリング海にかけて南北の幅が最大1600kmにおよぶ陸地が広がっていました。


 人類がアメリカ大陸へ進出する際にたどった経路として取り上げられることが多いです。

一般的には、アフリカ大陸で進化した人類は、ユーラシア大陸を経て、最終氷期の1万8000年前~1万5000年前にベーリング地峡を渡り、厚い氷河に覆われた内陸部のアラスカ・カナダ・北アメリカを避けて、太平洋沿岸(現在は海中に没しているが、当時の太平洋沿岸は、氷河も無く、水と食料の調達可能な、緑豊かな陸地であった)に沿って南下し、南北アメリカ大陸へ到達したものと考えられていているのです。



大陸の変成:

 現在のアフリカ大陸・南アメリカ大陸・インド亜大陸・南極大陸・オーストラリア大陸などを含む

超大陸が先カンブリア時代末期の約6億年前に誕生しました。


 その後、ゴンドワナやパンゲアなど超大陸の分裂・形成があり、現在のような大陸になっていったのです。


 ゴンドワナ大陸は、まず西ゴンドワナ大陸と東ゴンドワナ大陸とに分裂し、このうちの東ゴンドワナ大陸がさらに分裂して、現在の南極大陸、オーストラリア大陸、インド亜大陸などができたとされています。


 1億6000万年前に西ゴンドワナ大陸が分裂してできたとされている現在のアフリカ大陸が南極大陸と分離するもユーラシア大陸と南アメリカ大陸、北アメリカ大陸と陸続きになってしまいました。


 白亜紀の初期(1億2500万年前頃)にインド亜大陸も離れ、6500万年前頃には、オーストラリア大陸と分かれていなかった南極大陸も4000万年前にはオーストラリアとニューギニア島が分離したのと同時期に独立しました。

よって氷河期には『アフロ・ユーラシア・アメリカ』、『サフル』、『南極』の三大陸があったのみでした。


 そして約7万年前から1万年前、直近の氷河期で、海水面が低くなり、オーストラリア大陸とニューギニア周辺の大陸棚が再び一体化してサフル大陸が陸続きの亜大陸となって復活しました。


 人類がサフル大陸に到達するのはこの時代(注:人類がサフル大陸に進出したのは、最終氷期にあたる紀元前6万~5万年の旧石器時代)であるのです。



大陸棚:「氷期や間氷期を繰り返すと、大陸内部で氷河の発達や融解により海水準が上下する。

このように氷河による長期間の海面高さの変化がある。


「人はそれを氷河性海面変動」と呼ぶ。」「誰だ貴様」「貴様らに名乗る名前は無い!」


 現在見られる大陸棚は大陸プレートの辺縁部で第四紀更新世や完新世の海面が現在よりも百数十m低かった氷期の海水準変動期に堆積平野として形成された部分と考えられている。

よってかつての人類の居住痕跡はすべからず皆海の底の泥の下に埋まってしまっているのだ。


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