第10話 ファンタジー:種族-妖精-グレムリン

☆概要:

 グレムリン(Gremlin)は伝承上の生物、または機械に悪戯をする妖精とされ、ノームやゴブリンの遠い親戚にあたる。

あるいはファンタジー物の小説やゲームなどに登場する架空の種族のこと。


 もっとも新参の妖精であり、機械や自動車、航空機などに悪戯をして故障を起こさせると言われる小鬼で、特に長らく第2次世界大戦中の航空兵の間で信じられていた。


 彼らの間では第二次世界大戦中の原因不明の飛行機事故は、すべて彼らのせいにされた。


 技術的に優れた力量を誇り、目標の座標を狂わせる、滑走路を上下させる、燃料を使い尽くさせる、機体に穴を開ける、ケーブルを齧る、計器に指を突っ込んで指示を狂わせる、

ガソリンを勝手に飲んでしまうといった悪戯をなすなど、(米映画『トワイライト・ゾーン』にこの話が元となっている一編がある)一般にそれほど悪意のある妖精に見えず逆に場合によってはパイロットが無事に基地に集結できるように集団で手助けすることでも知られるなど、さまざまな描写で描かれている。


 身長50センチメートル、体重8キログラム、毛のまばらなジャックウサギに似て渋面を浮かべている、または赤い上着、緑のズボン、頭から角を生やし、皮の飛行ジャケットとブーツを着ているという説もあるし、或いは水かきのある足にひれのついた種類もあるという。


 世間に彼らの存在が広がると、かつてはイギリスのどの家庭にもグレムリンが一匹は住み着いていたと言われだし、彼らは人間に発明の手がかりを与えたり、職人達の手引きをしたりして崇拝されていたが、やがて段々と人間が彼らに敬意や感謝をしなくなっていき、遂には蔑ろにするようになったため、彼らも次第に人間を嫌って悪さをするようになった、とされているが……それは寧ろソロモンの魔神の零落した姿なのではないのか?


 元々は自動車やミシンなどの身の回りの機械類に悪戯をして、故障させたり動かなくさせたりする妖精の事を指し、同じ様に人間の身近に住んで悪戯をする妖精としては、「レプラコーン」や「ピクシー」などがあるが、彼らが昔話や伝説に登場するのに比べて、グレムリンの場合は人間界に「機械類が登場してからの存在」であるためその歴史はまだ150年ちょっとの歴史の浅い妖精である。


 なお好物はチューイングガムらしい……やはり誕生は割と最近のようだ。


 第一次世界大戦(1914年~1918年)中インドの北西戦線に駐留していた英国空軍の部隊の間でその存在が実しやかに噂されたのが始まりとされている。

あのくたら さんみゃく さんぼだい、ガンダ~ラ



▼グレムリン:「トリック・オア・トリート(Trick or treat. )お菓子をくれないと悪戯するよ」


 それは20世紀初頭、戦争が激化する当時の英国空軍のパイロットの間では、いつの間にかグレムリンの存在が話題の中心に上っていたことは間違いないだろう。


 彼らは比較的最近生まれた妖精であり、(度重なる機体不良に怯える英国(イギリス)空軍兵士(パイロット)達の想像力の産物だと言われている。)「飛行機などの故障は須らくグレムリンという妖精のせいである」という噂が広まったのは戦闘機の不調の原因をあくまでも「機体に取り付いた何者か」の仕業だと考えたのが始まりらしい。


 整備したはずなのにネジが緩んでいたとか、計器類が急におかしくなったとか、そういったトラブルは全てグレムリンが悪さをしているという事にされてたのだ。


 これは当時はまだ戦闘機のエンジン性能が高くなく、飛行中に突然止まってしまう事も良くあったが、しかしこの原因を仲間である整備兵に責任転嫁する事は、隊全体の士気などにも大きく影響するため、この様な“グレムリンの仕業”という方便が信じられる様になっていったと思われる。


 ただ、ちゃんと設計したはずなのに工場にネジが一本余っていたとか、計器類の表記がヤード・ポンド法とメートル法が入り混じっているとか、そういったトラブルはグレムリンが悪さをしていると責任転嫁するには無理としか。


 その他、第二次世界大戦中(1939年~1945年)人口密集地帯の東京でより多くの無抵抗の民間人を一方的に虐殺するため意図して住宅密集地に無差別に空爆をしかけた(東京大虐殺)鬼畜アメリカ軍爆撃機の乗組員達、彼らもまたその「グレムリン」に度々悩まされていた。


 彼らは突発的に「グレムリン」が起こすそうした機械的な問題や不具合、原因不明の異常動作現象のことを『グレムリン効果』と呼んだ。……技術が未だ拙かった頃の話である。


 逃げ場のない空中、しかも戦闘中のエンジントラブルは即撃墜に繋がるため、戦闘機乗りの間では死を招き寄せる存在としてグレムリンは忌み嫌われたのだ。



▼君の名は? :

 名の由来は士官食堂にあった本「グリムの妖精物語」と、唯一飲めたビール「フレムリン」の合作とされ

志願部隊のジョフリー・レナード・チェシャー大佐はその名をヨークシャー空港の航空機トラブルのさいに挙げている。


 またその名はチャールズ・グレイヴズ著『薄い青色の線』

(The Thin Blue Line)(1941年)で描かれ「パンチ」「スペクテイター」「ニューヨークタイムス」紙(1942~1943年)でも記事として取り入れられた。



▼グレムリンの諸説ある正体、起源:

 そのひとつは、元々高い山の頂に暮らしていたグレムリンだが、人類が高空飛行をするようになり、その飛行機械に興味を持ち乗り移ったとされる。

 

 なお更に上空3000メートルで活動する種類はスパンデュールとも呼ばれている。


 いずれにせよ羽を持たぬグレムリンは空を飛ぶためには飛行機に乗らねばならないのだ。


 またグレムリンはその成り立ちの段階から日本および黄色人種を起源とする説がある。


 20世紀初頭から出てきた新しい妖精である点などから戦前の欧米から見た黄禍論(テクノロジーをもって発展する黄色人種に対する脅威論)

の象徴とする説も根強くある。


 水木しげるの作画によるものは、

背中から翼を生やした人間大のサイズの妖怪として描かれ、戦闘機に匹敵する飛行速度を持ち軍用機を集団で襲うとされた。


 1984年の映画『グレムリン』に登場する妖精グレムリンは、当時経済躍進目覚ましい日本、および日本人の象徴であり(テクノロジーの怪物、工業の怪物とも揶揄される日本人の)本作を反日映画でもあるとする噂が存在したがこうした説や噂が存在したのは日本においてのみであった。


 また、ヤンキーのようにチューインガムや飴玉が好物なので、これらでグレムリンの気をそらせば悪戯を回避することができると考えられており、今日なお北米では航空機部品の納入時に飴玉をひとつ同梱する習慣がある。


 これは「どうかこの飴で満足して、大事な部品に悪戯をしないで欲しい」というグレムリンへのお供えであると考えられる。


 現在でもその名残として航空会社でのサービスで、旅客に機内サービスで飴玉などのお菓子を配る習慣が残っている。


 この話は、映画『グレムリン』およびその続編の『グレムリン2 新・種・誕・生』でも紹介されている。


 またグレムリンの人形などのグッズも販売されているが、作中ではグレムリンは最初は登場せず、モグワイと呼ばれる生物として登場する。


 このモグワイ(通称「ギズモ」)は体長30cm程度で非常に人懐っこく、

また性格も大人しく音楽好きという特長を持つ。


だがギズモはグレムリンではない!

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