第8話 ファンタジー:種族-妖精-コボルト
▼概要:
コボルト(独: Kobold、英: kobold, cobold)は、コーボルト、コボルドとも表記する妖精の一種。
コボルトはドイツ語で邪な精霊を意味し、英語ではしばしばゴブリンと訳されドイツの民間伝承に由来する醜い妖精、精霊である。
森などに住んでいるとされるが、
伝承によっては地下に住むと考えられている場合もある。
そのため地域によっては山や大地の守り神と信じられている。
その性格なども地下や、大地、岩石、鉱物といった物に関連付けされる事も多い。
ドイツ語、英語表記共に“Kobold”と書くが、英語に翻訳される時にはしばしば「ゴブリン(Goblin)」と表記される事もあり、おとぎ話や童話などで語られる「悪戯をする妖精」を指すが、「ゴブリン」と明確には区別出来ない場合も多い。
これは両者とも名前の由来はゴブリンと同じくギリシア語の“子供くらい”の意味がある「コバル」、もしくは“子供“を意味する「コバロス(Kobalos)」に由来する命名であり、あるいはコボルトはドイツ語で“部屋の精“を意味する「コーベンホルト(Kobenhold)」から来ているとも言われ、少なくとも古代においては明確に区別されてなかった事にも拠る。
日本においては「ウィザードリィ」シリーズの影響で犬頭の獣人が一般的にイメージされるが、実際のドイツ伝承では醜悪な小人の姿であり、一説には英語圏における「ゴブリン」の元ネタであるとされる。
つまりコボルトこそ、本家本元のゴブリンと言うことに……?
▼欧州のイメージ:
欧州において最も一般的なイメージは、ときに手助けしてくれたりときにいたずらをするような家に住む
こびとたちというものである。
彼らはミルクや穀物などと引き替えに家事をしてくれたりもするが、贈り物をしないままだと住人の人間にいたずらをして遊んだりもし、一度贈り物をもらったコボルトはその家から出て行ってしまうと言われる。
もうひとつあるコボルトのイメージは、坑道や地下に住み、ノームにより近い姿である。
中世になると日本の座敷童子のように、住み着いた家に幸運を齎す精霊のひとつとされるようになった。
但しこうした屋敷霊としてのコボルドはタブーに対して厳格であり、人間がタブーを破ると一方的に関係を絶ってしまう。
こうした説話では、絶たれた人間の側は運気が低迷して没落するのが一般的である。
また原子番号27の「金属元素コバルト(Co/Cobalt)」の名称は、この妖精コボルトに由来する。
これは地下鉱脈などで掘り起こされるコバルト鉱物は大変硬く、通常の鉄製の工具などでは冶金加工が非常に困難なため、中世16世紀頃のドイツの工夫たちの間では「地下の妖精(コボルト)が人間を困らせるために魔法をかけた石」と信じられていた事に由来する。
▼グリム童話におけるコボルト:
細部は省略するが、おおむね以下のとおりである。
嘘をついたことで王に藁を黄金に変えるよう無理難題を命じられた娘の前に、奇妙な小人(原文ではコボルト)が現れる。
彼は藁を黄金に変えることと引き替えに、娘に将来生まれる娘の子供を要求したが、娘はそれを承諾し黄金を受け取る。
喜んだ王は娘と結婚し、やがて子供が生まれた。
すると約束通り小人が現れ、子供を要求するが、娘が泣いて頼んだため、3日以内に名前を当てたら許してやると約束する。
様々な名前を言う娘だが、いずれも違い、万策尽きた娘は四方に人をやって情報を集めるが、そのうちの一人が何者かの歌う歌が聞いたと報告した。
「ランペルスティルスキンは明日になれば子供を手に入れる」
翌日、現れたコボルトに娘は名前を告げる。
まさか当てられるとは思っていなかったコボルトは怒り狂い、力任せに床を踏み抜き、足を取られてしまう。
そして引き抜こうと力を込めたが、足は抜けず、彼の体は真っ二つに裂けて死んでしまった。
版や子供向きの翻案では、最後に死ななかったりと仲直りする場合などがある。
どうみても欧州における小悪魔の描写である。
▼日本でのイメージ:
また日本ではコンピュータRPGの古典作品の1つである『ウィザーリィ』の中で、当初から使用されていたコボルドを表す画像が犬顔であった事に加え、家庭用ゲーム機のファミコンに同ソフトが移植発売された際、日本語版の公式イラスレーターとして末弥純が起用され、その時に描かれたイラストやCGでも犬顔であったためにこのイメージは決定的となった。
これは最古のTRPGである『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のルールブック中で臆病だが残酷な「小柄で犬に似た頭部を持つ人型生物」と設定されていたためである。
この設定には「鱗を持ち、頭には角が生えており、ドラゴンの血を引く爬虫類」とされていたはずだが、犬のような頭部という側面が強調された結果、これ以降何らかの作品にコボルドが登場する時は「犬顔」でイメージがほぼ統一される事になったのだ。
ほとんどの場合“犬の顔に人間の体”という描写をされる。
って、アヌビスか?!
犬顔である事から通常は豊かな体毛を持つように描写されるが、一部のゲームでは本来sの姿である体毛の代わりに鱗を持つように描写される事もある。
もっとも、鱗を持つコボルドの描写は最近では非常に稀になっている。
また例外的なデザインとして、TRPG『ガープス・ルナル』の「コボールト」は、とんがり帽子状の頭を持つ醜い小人として描写されている(因みに同作では、ヒューマノイドではなく、土の元素獣(精霊のようなもの)である)。
▼ファンタジーにおけるコボルト:
コボルトは剣と魔法を題材としたファンタジーの小説やゲームにも登場する。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では、臆病だが残酷な小柄で犬に似た頭部を持つ人型生物とされている。
またコバルトの鉱物にまつわる伝承が反映されてか有能な鉱夫とされ
鱗を持ち頭には角が生えておりドラゴンの血を引く爬虫類とされているが、犬のような頭部という側面が強調された結果、その後に続いた多くのロールプレイングゲームで「体毛のある」犬のような人型生物という表現もされるようになった。
日本においてもこの姿で描かれることが多く、輸入物のロールプレイングゲーム『ウィザードリィ』シリーズにおいては、ファミコン移植版を担当した末弥純のイラストレーションで狗頭そのものであるように描かれ、このイメージが支配的になった。
長らく「悪の軍団の尖兵」としての役所がほとんどであったが近年この“犬の顔”と言う特徴から新たな解釈として「犬のように人なつこく友好的な人間の良き隣人」モンスターという性格付けが生まれてきている。
これは一種の「ケモノッ子」や「獣人化」であり、単純にコボルドの外見的特徴のみに焦点を当てたものとも言える。
これらは主に『ウィザードリィ』に影響を受けて作られたRPGに見られる傾向であり、同様に架空の種族である「オーク」や「トロール」などにも見られる解釈の変化である。
『リネージュ』においては、上記の犬のような人型生物という外観で、
こん棒を武器として戦うモンスターとして登場している。
戦闘力の低い種族として描かれ、序盤においてプレイヤーが少ない被害で倒すことができるという位置づけにおかれている。
また、『ソード・ワールド2.0(SW2.0)』のコボルドは、基本的には「人類の敵」だが、一般的な柴犬タイプに限らず様々な犬種をモチーフにしている。
『SW2.0』のコボルドは下っ端蛮族であるものの、ゴブリンやレッドキャップやグレムリン等とは違い上位蛮族からの虐待を逃れるため、人族の勢力圏へ逃亡し居着く(場合によっては人族勢力に寝返る)ことがよくある。
そこに目を付けたGMによりコボルドのニンジャが誕生した。 ニンジャタートルズならぬニンジャコボルドズである。
最も「屋敷霊としての」よき隣人たるコボルドの伝承は中世から存在し、コボルドに限って言えばあながち的外れな設定ではない。
また『ガープス・ルナル』のように、作品によってはヒューマノイドではなく土の精霊のひとつに数えられる事もある。
『初代ソード・ワールド』のコボルドも悪のヒューマノイドではあるが、出自は「妖魔」と呼ばれる邪悪な妖精である。
『ソード・ワールドRPG』などの背景世界であるフォーセリアにおいては銀を腐らせるという言い伝えを持つ。
これを受けて『ロードス島戦記』『新ロードス島戦記』においては、
コバルト(作品中では「腐銀」と表記)を釉薬に用いて陶磁器を作製する描写があるといった具合に、大地の妖精としての伝承をこっそり踏まえている。
『アルシャード』では、ミスリル(銀秘石)をコバルト(蒼魔石)に変えてしまう魔力を持つとされている。
ちなみにファンタジーのモンスターとしてのコボルトは、英語読みでコボルドと表記されることが多い。
ロールプレイングゲームが知られ始めた昭和末期にはロールプレイングゲームを紹介する書籍などにおいてコポルドという誤記も見られたが、周知が進むにつれ消えていった。
また、1970年代には日本でコボルト人形が販売され、人気を集めた。プラスチック製で、星座によって色が決められていた。
ドイツの森に帰らなければならないため、願いが叶ったら土に埋めるという設定になっていた。
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