第4話 ファンタジー:種族-妖精-エルフ 現代ファンタジー的欧米エルフ・日本エルフ

▼現代ファンタジーのエルフ:ハイファンタジーにおけるエルフの描写の一例

J・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』『指輪物語』『シルマリルの物語』

に登場する中つ国に住む自由の民のひとつの種族が有名。


 なかでも『指輪物語』は現代におけるエルフのイメージに影響を与えた。

トールキンのファンタジー小説において、「エルフ」は妖精の総称ではなく、半神的な特徴を持つひとつの種族の名称である。


 『指輪物語』に登場するエルフは身体能力が高く、知識に富み、魔法を使う。

人間ほどの背丈で、長く尖った耳をしている。

トールキンは、ホビットの耳はエルフのように尖らせてほしいなどと手紙に書き、その意を汲んだイラストレーターらがエルフの耳を尖っているように描写した。


 本来エルフとは、ヨーロッパの伝承における妖精・小妖精を指す言葉であったが、トールキンは「寿命を持たず、神秘に通じ、心身ともに極めてすぐれた人間」

として創造した種族にこの名を与えた。

(これは彼が研究した中期英文学作中で「エルフ」が トールキンの考えるところの「第二の世界」からやってきた、背格好は人間と同じだが何か魅力的で幻惑されそうな、異なる世界の「者」を差して用いられていた事も影響している)。


 このトールキン型のエルフのイメージは、以後のファンタジー作品において、

さまざまな変種をともなって、模倣されていくことになる。


 模倣の対象はエルフに留まらない。エルフとともに、ドワーフ、ホビット、オークなども異種族として広く受け入れられ、近年では独自の種族が作られることもある。


 またエルフは人間と比して、多くの長所を持つ。

イルーヴァタールによって、アルダにおける最善のものとしてつくられたからである。

・背は高く、肉体は強靭であり、疲れをしらない。

・しなやかに歩き、足あとも残さず、音もたてない。

・感覚は鋭く、遠くを見、多くを聞く。

・聡明であり、善良である。

・その外面も美しく、また美しいものを多く見いだし、多く作り出した。

・エルフは男も女も美しい。また、髭が生えないことも多い。


 このような、もっともすぐれた生物であるエルフと人間との決定的な差は、

その寿命にあらわれる。


・定命人間に寿命があるのに対し、エルフには基本的に寿命がない。

・かれらは成長したのち老いて死ぬことがないのである。

・かれらはいったん生まれると、世界の終末まで存在しつづける。

・かれらは病を得ることも老いることもせず、

 肉体をいちじるしく傷つけられなければ死なない。


 だが、寿命がないエルフでも死ぬこともある。

死の原因は二つ、肉体の損壊と、生きることへの倦怠である。


 もはや生きることを望まないエルフの魂は、肉体を抜け出してマンドスの館に憩うことができる。

肉体を傷つけられて死んだものの魂も、マンドスの館に憩う。


 この他、エルフを扱ったファンタジー作品の中には、人間との混血であるハーフエルフが登場するものもある。


 多くの場合、ハーフエルフは人間とエルフ双方の特徴を受け継いでおり、人間とエルフの双方から差別的な扱いを受けることがしばしばある。


 エルフと人間との異類婚姻譚はいくつかの神話にも描かれるモチーフであるが、

今日のハーフエルフの原型は『指輪物語』での設定に多くを負っている。


 同作の半エルフは種族として固定されたものではなく、彼らはエルフと人間のいずれの運命を選ぶかの選択を行い、エルフの運命を選んだものは不死性を得たという設定である。



▼日本の創作物におけるエルフ:一例エルフ耳

 日本では、古来より超常的存在の主役は妖怪や神であり、西洋的な妖精のイメージはなかなか定着しなかったものの、1978年の『指輪物語』の映画化を機に日本でもファンタジーの要素が流行の兆しを見せ、「エルフ」や「オーク」といった言葉が徐々に認知されるようになっていった。


 その影響から、欧米の文学や民間伝承などに登場する妖精の総称としてのエルフ像よりむしろ、同作で描かれるような固有の種族としてのイメージが日本におけるエルフのステレオタイプとなった。


 ただ後に様々な改変を経て、エルフ像の特徴に差異が見られるようになったため、エルフと一口に言っても定義することが困難になっている。


 そもそもエルフとは北欧の民話で語れた物が原型で在り、現在の美しい姿ではなくむしろゴブリンに近くドワーフ原型でもある。


 また、イギリスやアイルランドでは妖精全般を指す。

耳が長く尖っている云々は妖精・小人・悪魔全体の特徴で日本で言う幽霊の足が無いのと同じでこの世に在らざる者を示す記号であった。


 エルフの特徴である尖った耳はエルフ耳もしくは単に長耳と呼ばれ、耳が尖っていればエルフでなくともエルフ耳と呼ばれることが多い。


 指輪物語などの西洋ファンタジーにおけるエルフの耳は少し尖っている程度だが、日本周辺のアジア区域におけるエルフの耳はアンテナのようにぴんと長く描かれることが大半である。


 さらに、悪魔のモチーフである尖った耳を持つ妖精の容姿が描かれた海外のゲームや、ペーパーバック小説のイラストを通じて「エルフの耳は長いもの」というイメージが日本人の間に定着し、日本製のゲームや小説などには耳の長いエルフの絵柄が頻繁に登場するようになった。


 特にそのイメージに強固な影響を与えた代表例として、1988年刊行の小説『ロードス島戦記』の挿絵に登場する出渕裕の描いたエルフのディードリットのキャラクターデザインが挙げられるが、この「ロードス島戦記」の長い耳のエルフのモチーフは、1982年の映画「ダーククリスタル」だと語られている。


 アンテナタイプのエルフ耳に関してはこの影響を受けているのではないかと言われているが定かではないが、日本におけるファンタジー作品のエルフはロードス島戦記発表後、アンテナタイプの耳が爆発的に増えることになった。


 だが、エルフのイメージは必ずしも耳が尖っていると決まっているわけではなく、本来的にはそのような認識は誤りである。


 長耳は前からあったが所謂ミスタースポック程度だった。

外国版エルフと、出淵版エルフ耳には長さではなく、大きな違いがある。


 外国版エルフが全て「人間の耳の先端を尖らせた」ものの延長であるもの

(だから耳は側頭部に張り付く形になる)のに対し、出淵氏のそれは正面から見たら耳が水平に近い形で左右に広がる(つまり人間の耳をモチーフにしていない)所にあった。

D&Dリプレイ時のディードの耳も左右に広がっていた。

その人間とは違う独自の要素が出淵氏のオリジナル要素であったのではないか。



 ゲームや漫画でよく見るエルフの特徴としては「魔法と弓をよく使うが力は人間に比べて弱く、森を愛し金属製の道具を嫌う」等の性質が挙げられる。


 しかし、これらのうちほとんどの設定は日本に輸入されてから作られたものであり、特に和製RPGにおいて他の種族との差別化を図るために盛り込まれたものが多い。


 原典というべきトールキンの作品に登場するエルフは魔法と弓だけでなく剣も人間以上によく使い力も強く、また鍛冶の腕前もドワーフと同等かそれ以上に巧みで彼らが作った道具は「エルフの手による」というだけで悪しきオーク等の敵に対する強力な力を手にするほどにその存在は人間とかけ離れて強く万能無敵の存在である。


 こんなのがRPGの世界に登場してしまうとバランスブレイカーもいいところであり、人間やドワーフの面目は丸つぶれであるため、ゲーム等の物語に登場するにあたってマイルドな調整を受けたのが現在の主要なエルフ像であると言える。


 また、イラストやゲームなどで見た目にエロスを多分に含んだエルフのエロ、

もしくはエロいエルフはエロフと呼ばれることがある。

ファンタジー作品で文明を持つ種族としてその界隈に市民権を得て幾星霜、日本に概念が輸入されて魔改造された結果がこれだよ!


 スレンダーすぎたりモデル体型(無乳に近いといった方が正しいだろうか)だったりした海外での描き方は、どちらかといえば浮世離れというか人としてはエロスを感じ辛いものが多い。

…とはいえ、数百年単位で夜の技を磨いた結果、その系統のエルフと致すと人間は

その絶技で十中八九腹上死していく、とかいう設定がついてる古典ファンタジー作品もあるにはある。


 種族的に痩身だとか貧乳コンプレックスを抱えたりなどの設定が無い限り、なんだかもう胸部装甲が大変なことになってどうやって支えてるのそれというレベルとか尻神様と拝みたくなる肉感的な腰周りを備えたりとか、オークに狙われるエルフとか(最近はオークの方が紳士的な事が多くなったが…)、そんなカオスの結果がエロフである。


 どうしてこうなった!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る