ジェスのプロポーズ

「な!何がどうなったらそうなるんだ!?意味が分からん!!」


ジェスがパニック気味に騒ぐのに対し、クロードが静かに答えた。


「別に·····私がミカを好きだから、キスをしていただけだ·····。」


「いやいやいやいや!待て待て!クロ!そもそもミカは男だし!?色々おかしいだろ?!」


クロードの回答にますます混乱するジェスに、ミカが慌てて答えた。


「ジェス!落ち着いて!順番に説明するから!ところで、ソフィアは?」


「ああ、ソフィアはナンシー達と飯食いに女子寮の食堂へ行ったから、俺も2人を誘って飯食いに行こうと思ったら·····これだよ!衝撃だよ!ええ!?」


「ごめん!色々黙っていたのは悪かった!順を追って説明するね·····まず、私は女だ!」


「へ!?ミカが女!?」


ミカはシャツのボタンを脱いで、包帯をグイッと下ろそうとしたら、クロードに手で遮られた。


「見せなくていい·····事故の後、ミカエルとミッシェルが入れ替わったんだ。理由については私から説明しよう·····。」


クロードは、海の民にミカエルとジェームズが暗殺されて、その犯人を探すためにミッシェルが男装したと説明した。


「つい先日、男装してることが分かり、私はその度胸に対し、ミッシェルに惚れ直したって訳だ·····。」


「んー?なんか釈然としねぇなぁ。ミッシェルは、犯人探す目的だったら、男装してミカエルの振りする必要なんてねぇんじゃねぇか?別に女のままでも犯人探しできるだろ?」


ジェスに鋭いツッコミをされて、オタオタしながらミカは答えた。


「えーっと、ミッシェルのままだと、クロードに避けられてるって気づいてたし、いっそミカエルになった方が色々都合いいかなぁって思って·····。」


「そうか。ミッシェル·····色々大変だったんだな·····俺、全然気づかなかったぜ!お前すげぇな!ミ、ヵ、ミッシェル····って今更言い難いから、今後もミカって呼ぶぞ?周りにもバレない方が良いんだろ?」


「ああ。イーサン王を騙したから、女性だとバレたらマズイ立場だから、協力してくれ。」


クロードの言葉にジェスが、からかい口調で返した。


「そんなら、こんな所でイチャイチャしない方がいいと思うぜ!」


「まったく、その通りだな·····返す言葉がない·····ミカが可愛いくて、つい·····。」


赤くなりながらのクロードの言葉に、ミカも顔がほてってしまった。


「おーおー!見せつけてくれますなぁ!まぁ、良かったんじゃねーの?クロードの恐怖症も治り、めでたしめでたしだ!ついでに報告すると、俺はソフィアにプロポーズしたからな!」


驚くミカとクロードの声が重なる。


「ええ!?」

「プロポーズ·····」


ミカがあたふたしながら、ジェスに言った。


「ちょっと、まだ2人付き合ってもないのに、プロポーズって早くない?」


「俺はまどろっこしいのが嫌いなんだよ!ずっと一緒にいたいと思った!だからプロポーズした!以上だ!」


「ソフィアの答えはなんだって?」


ミカの問いかけに、ジェスは少し自信なさげに言った。


「ちょっと考えさせて欲しい·····とさ。」


「そりゃ、そうだよ。ソフィアにとっては告白もされてなかったのだから、寝耳に水の話だよ。」


ミカが答えると、ジェスが切り替えたように明るく言った。


「まぁ、そうだよな!気長に待つぜ!」


クロードはなにやら、別のことを思案してる様子だ。


「なるほどプロポーズ·····そういう手もあるな·····だが、順を追って可愛い反応を楽しみたい気もするな·····」


クロードが思案顔で顎に手をあてて、つぶやきながらチラリとミカを見たので、ミカはドギマギした。

ジェスがその様子を見て頭をかいた。


「だぁあっ!俺の前でイチャつくの禁止!見てて痒くなるわっ!ほれ、さっさと飯食いに行こうぜ!」


ジェスの素直な反応に、ミカとクロードは顔を合わせて苦笑したのだった。


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