彼視点

 もう少し恥じらいが欲しいなと、なんとなく思う。

 えっちする前は、こう、お互いに下着とかバスローブとかの上からさわったりして、その上でゆっくりお互いに着ているものを脱がしあうとか、そんな感じの情緒が欲しい。そういう雰囲気に憧れる。


 あっ。ほら来た。


 彼女。いっつも、こう。なんというか、躊躇がない。


 すっぱだかで勢いよく洗面室から飛び出してきて。


 ベッドにうつぶせで寝てる俺を優しく素早く蹴飛ばしてあおむけにして。


「いひいい」


 今から犯罪しますよみたいなやばい音を、綺麗な声で出すから。


「あっ」


 でも、彼女のキスが。うねる舌が。いつも熱いから。それ以降は何も言えなくなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

15秒前(※えっち注意) 春嵐 @aiot3110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る