第4話 見習い守護霊

真っ暗な闇の中に墜ちていく。

辺りの声や音も遠くなっていく。


そして何も聞こえなくなった。


......そうか。

わしは死んだのか。


もっと幸広に色んなのことをしてあげたかった、もっと側で見守っていたかった。


例え死んだとしてもあの世からでも見守っているよ。


さようなら......幸広。


そしてわしは光に包まれた。



暫くすると声が聞こえてきた。


[お疲れ様でした。あなたの今世は現時点をもって終わりました。


本来であればまた別の人間として役割を選んで転生していただくのですが、あなたは今世でお孫さんへの未練があるので、このまま転生するよりも守護霊としてお孫さんの側に付いていて下さい。]


光の中で聞こえる声はそう言った。


[わしは幸広の側にいれるんですか!

これ以上ないはからいありがとうございます。]


その光から、どこか温かいものを感じた。


[守護霊の切り替え手続きは済んでいますのでお孫さんをより良い方向へ導いてあげて下さいね。


守護霊としての役目を果たした時にまたお逢いしましょう。]


目の前が一瞬眩しく輝いた。

気が付くとそこは病室だった。


ベッドには自分の体が横たわっていた。


[何か不思議な感じがするわい、こうしてられん!早速、幸広を導く役目を果たさんとな。]


幸広は悲しげに俯きながら泣いていた。


[悲しい思いをさせてしまってすまない。

じいちゃんがお前を絶対に幸せにしてやるからな!]


こうして、わしは幸広の守護霊となって共に人生を歩むサポーターになったのだった。



わしが死んでから数日が経った。

幸広はまだ落ち込んでいるようだ。


[気分転換でもしないと、潰れてしまうな。

わしの声は直接伝えられないし、触ることも出来ないからなぁ、どーするかのぉ]


守護霊は生きている人間に直接振れること、会話をすることは基本的には出来ない。


一部、例外もあるようだが、幸広にはそんな能力はないであろう。


[何とかしてわしの部屋に来てもらわねばのぉ。]


[そうだ!やるだけやってみるかの!]


自分が生前住んでいた部屋にスーッと入り、物音を立てた。


物音に幸広は反応している。


[よしよし]


次に幸広の耳元に口を近づけてひたすら囁くことにした。


[じいちゃんの部屋に行けー、机の引き出しを開けろー。]


20回程囁いたら、何とか伝わったようだった。


[やれやれ、一苦労じゃわい。]


幸広は机の引き出しからノートを手に取り読み終えると少し落ち着いたようだった。


[わしに感謝の言葉を言っていたなぁ。

本当に幸広は可愛い孫じゃわい。]


可愛い幸広の為に一肌脱ぐことににしよう。

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