第6話 マンホールの蓋の下
出かけるのが怖い。
アパートの前のマンホール。
蓋の下から僕だけに聞こえる声。
どんなに切り刻んで水に流しても、
処分できない君の執着心。
すべて流したはずなのに……。
留まってるはずはないのに……。
今日も聞こえる「なぜ?どうして?」
君の最期のまなざしや声が、
まざまざと瞼に浮かび
僕を凍り付かせる。
僕は、慌てて部屋に戻り、
家じゅうの蛇口を開ける。
毎日、毎日、その繰り返し。
おかしくなりそうだ。
僕は、どうすれば良かった?
振り払っても振り払っても離れない君を。
僕は、何もしていない。
見て見ぬふりをしていただけだ。
気づかぬふりをしていただけだ。
声が聞こえなくなるまで放置していただけだ。
そして、処分しただけだ。
それなのに、なぜ、こんな目に合う?
彼は、気づいていない。
その声の主は、内なる罪悪感。
どんなに正当化しても、
内なる罪悪感は誤魔化せない。
その声は、彼の心のマンホールの蓋の下。
彼自身が閉じ込めた
暗い暗い闇から発せられていることを。
そして、今日も、
闇の声は問い続ける。
「先に壊れたのはどっち?」
「先に壊したのはどっち?」
「最初から間違っていた?」
「なぜ?どうして?」
居なくなっても、尚、
呪いのように付きまとう『君』が
僕をマンホールの下へと誘う……。
ー完ー
あぁ……
救いが無くてかたじけない_(._.)_
PC仕様のため、スマホでは改行が見苦しいかも……。
それも、加えて、かたじけない_(._.)_
桃色不老婆~《モモイロフロバー》の金曜日。。。Ⅲ 姑兎 -koto- @ko-todo
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