第5話 逃避行

人気ひとけのない駅のホームに二人。

見送る人も無い旅立ち。



あなたが居なくなってしまう…。


その知らせは

私を狼狽させ、

そして…

初めて気づいた『想い』


あなたの存在は、

点滴のように

少しずつゆっくりと

私の細胞の隅々に染みわたり…。

いつの間にか

私の一部になっていた。


あなたの他には何も要らない…。


矢も楯もたまらず

何もかも捨てて

逃げてきたけれど…。


あなたは…


着の身着のままで

取り乱した私を

涙ごと抱きしめてくれたけれど…。


今更ながらの不安…。


すべての予定はキャンセル。

早晩、私たちのスキャンダルは

世間を賑わすだろう。


ローカル線に乗り換えて

更に1時間。

あなたの故郷は

私を受け入れてくれるだろうか



駅のホームで、

二人分け合ったカップみそ汁は

少し甘口の田舎みそ仕立て。

その、優しい味わいは

不安な心を

少しだけ 温めてくれた。




この逃避行の行く末は…。

カップみそ汁

もとい

紙のみそ汁

もとい

神のみぞ知る。


ー完ー


着地点が見つからず…。

また、最後にふざけてしまった…^^;エヘヘ








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