第32話 私と戦闘
幸い、近くに小さな村があり、そこで食料を買い揃える事が出来たので、
何とか飢え死にせずに済んだのです。
次に、旅支度を整え、いよいよ出発の時を迎えました。
行き先は、東にあるという大きな森を目指す予定です。
なんでも、そこには古代遺跡があると噂されている場所があるそうで、
そこを目指して進む事になったのです。
途中、何度かモンスターに襲われる場面もありましたが、
その都度、仲間と協力して撃退する事ができ、無事に目的地に到着する事ができました。
森の中に入ると、空気が一変したように感じました。
木々の間から差し込む木漏れ日、鳥のさえずり、川のせせらぎなど、
自然の音しか聞こえなくなり、とても癒される空間になっています。
そんな中を歩いていると、前方に大きな岩山が現れました。
頂上付近を見上げると、巨大な城のようなものが建っている事に気付き、
あれが目的の場所なのだと確信を持ちました。
早速、山を登り始める事にしたのですが、途中で体力的に限界が来てしまい、
休憩を取る為に近くの木陰に座り込みました。
息を整えながら休んでいると、不意に声をかけられたのです。
振り向くと、そこには一人の女性が立っていました。
年齢は二十歳前後に見える綺麗な人で、銀色の髪をポニーテールにまとめ、
動きやすそうな軽装に身を包んでいます。
背中に弓を背負っているところを見ると、狩人か何かなのでしょうか?
それにしても、どうしてこんな場所に一人で居るんでしょう?
疑問を抱きつつも、とりあえず話を聞いてみる事にしました。
話を聞く限り、彼女もまた、自分と同じ目的でここに来たのだそうです。
しかも、自分よりもずっと前から来ているらしく、
色々と知っている事があるような口ぶりでした。
なので、詳しく話を聞かせてもらう為、一緒に行動しないか誘ってみました。
そうすると、快く承諾してくれたので、晴れてパーティーを組む事ができたのです。
ちなみに、彼女の名前は、ミレイアさんと言うらしいです。
職業は、レンジャーだと言っていました。
見た目とは裏腹に、結構アクティブな性格の持ち主みたいです。
そんなこんなで、新たな仲間を加えて、改めて冒険を再開する事になりました。
目指す先は、もちろん、あのお城です。
果たして、あそこには何があるのか、期待に胸を膨らませつつ、一歩ずつ進んでいきます。
しばらく歩くと、目の前に大きな門が現れました。
見上げる程の高さがあり、とても頑丈そうだという事が一目見ただけで分かります。
おそらく、この先に何か重要なものがあるのは間違いないでしょう。
意を決して、中に入ってみる事にします。
門をくぐり抜けると、そこは広い庭園になっていました。
色とりどりの花が咲き乱れ、美しい光景に目を奪われます。
さらに奥へと進むと、今度は噴水のある広場に出くわしました。
水飛沫を上げながら流れる水が太陽の光を浴びてキラキラと輝いていて、とても幻想的な光景です。
その後も、様々な場所を巡りましたが、結局、これといって収穫はなく、時間だけが過ぎていきました。
仕方なく、今日はここで野宿をする事に決め、テントを張って一夜を過ごす事にしました。
翌朝、目を覚まして外に出ると、既に朝食の準備が出来上がっていました。
テーブルの上に並べられているのは、パンやスープ、サラダなどの簡単なものでしたが、
どれも美味しく、朝から元気が出ます。
食事を済ませた後、今後の方針について話し合う事にしました。
今のところ、手掛かりは何も見つかっていないため、
どうしたものかと思っていると、 ミレイアさんが提案をしてくれました。
それは、近くにある街に行って情報を集める事です。
確かに、その方が効率的だし、何より安全ですから。
早速、出発する事にしましょう!
街の近くまで来たところで、異変が起きました。
なんと、入り口の前に大勢の人たちが集まっているではありませんか。
何かあったんでしょうか?
気になったので近づいてみると、門番らしき人に止められてしまいました。
理由を聞くと、どうやら、この街に入るためには、身分証が必要らしいのです。
どうしよう……そんなもの持ってないよ……。
困り果ててしまったその時、救いの手が差し伸べられました。
なんと、ミレイアさんが持っていたのです。
さすがですね!
これで問題なく入れそうです。
ホッと胸を撫で下ろし、いざ、街の中へ足を踏み入れると、
そこには見たこともない光景が広がっていました。
建物は石造りで、道幅が広く、馬車などが通れるくらい余裕があります。
行き交う人々も多く、活気に満ち溢れています。
その光景を見て、ますますワクワクしてきました。
さて、どこから見て回ろうかと考えていると、不意に袖口を引っ張られ、
そちらに目を向けると、ミレイアさんが微笑んでいました。
どうやら、行きたい所があるようです。
お任せすると、連れて行かれたのは、とあるお店の前。
看板には、"武器屋"の文字。
なるほど、そういう事でしたか。
納得しつつ、店内へと入って行くと、中には様々な種類の武器が置かれていました。
剣、槍、斧、杖、弓、etc.ざっと見渡しただけで、
これだけの種類を見つけられるのですから、相当な数だと思います。
その中でも、特に目を惹くものがあったのです。
それは、一本の刀でした。
鞘に収められている状態にも関わらず、圧倒的な存在感を放っています。
それを手に取った瞬間、全身に電流が流れたかのような衝撃を受けました。
まるで、運命のようなものを感じたのです。
店員さんによると、これは伝説の鍛冶師によって打たれたものらしく、
値段もかなり高額なのだとか。
しかし、どうしても欲しいという思いを抑えきれず、購入を決意しました。
支払いを済ませると、店を出て、次はどこへ行こうかという話になったのですが、
その前に、一つ気になることがあったので尋ねてみることにしました。
それは、何故、わざわざ武器を買わなければならなかったのか、という事です。
それに対して、彼女はこう答えました。
曰く、この世界において、武器というのは非常に重要な意味を持つものなのだとか。
その理由については教えてもらえませんでしたが、
きっと、いつかわかる時が来るだろうと信じ、今は深く考えないようにしました。
気を取り直し、次なる目的地へと向かうことにします。
向かった先は、図書館です。
ここには、世界中のあらゆる書物が集められているとのことだったので、
是非とも訪れてみたいと思っていたのです。
中に入ると、そこにはたくさんの本棚が立ち並んでいて、圧倒されるほどの量でした。
一つ一つ確認しながら、ゆっくりと奥へ進んで行くと、ついに目的のものを発見しました。
それは、世界地図が描かれた本でした。
手に取って開いてみると、大陸の形や位置関係、
そして、各地域の特徴などが細かく記されていました。
中でも、特に興味深かったのは、中央に位置する王国の名前とその所在地、
そしてその国の文化について書かれた箇所でした。
そこには、この国の歴史や成り立ち、現在の状況に至るまで、
様々な情報が記載されていました。
それらを読んでいくうちに、この国の素晴らしさを再認識することができ、
ますますこの国が好きになりました。
他にも、色々な本を漁ってみた結果、わかったことは、
この国では、 主に二つの種族が存在していて、それぞれ対立関係にあるということです。
一方は、人間族と呼ばれる人種で、もう一方は、エルフ族と呼ばれています。
どちらも古くから存在している民族なのですが、長年に渡って争いを続けているせいで、
互いに憎しみ合うようになってしまったようです。
その原因というのが、過去に起きた戦争が原因だったようで、
元々、仲が悪かった両種族の間に、決定的な亀裂が生じてしまい、
それが現在まで続いているのだということを知りました。
そうするとミレイアさんが、私に声をかけてきました。
その内容を聞いて、私は驚愕すると同時に、深い悲しみに襲われました。
何故なら、それは、私にとって、最も聞きたくない言葉だったからです。
なぜなら、それは、私の両親を殺した犯人の名前だったからです。
その人物こそ、私を奴隷商人に売り払った張本人であり、
私の人生を狂わせた元凶でもある人物、つまり、私の仇そのものなのです。
その事実を知った瞬間、激しい怒りと共に、復讐心が激しく燃え上がっていくのを感じました。
絶対に許さない、許すものか、そんな思いだけが頭の中を駆け巡っていました。
それと同時に、これからどうすべきかを考えなければなりませんでした。
選択肢としては二つあります。
一つ目は、このまま黙って引き下がること。
そうすれば、少なくとも命だけは助かるかもしれません。
でも、本当にそれでいいのだろうか?
もし、私が逃げたことを知ったら、奴らは必ず追いかけてくるに違いない。
そうなれば、今度こそ間違いなく殺されてしまうだろう。
それだけは絶対に嫌だ、死ぬならせめて、自分の手で決着をつけたい、
そう思ったからこそ、逃げることを選ばず、戦うことを選んだんだ。
覚悟を決めた私は、すぐに行動を起こすことにしました。
まずは、敵のアジトの場所を突き止めるため、街中を探し回り、
怪しいと思われる場所を徹底的に調べ上げました。
そして、ついに見つけ出したのです。その場所こそが、まさに敵の本拠地であったのです。
あとは、どうやって攻め込むかを考えるだけです。
相手は、かなりの人数がいる上に、強力な兵器まで持っていると聞いています。
普通に考えれば、勝ち目はないように思えるかもしれませんが、それでも諦めるわけにはいきません。
たとえどんな困難が立ち塞がろうとも、必ず乗り越えてみせる、
そんな強い意志を持って、今、ここに立っているのです。
決意を固めたところで、早速、作戦会議を開くことにしました。
場所は、宿屋の一室を借りて行うことにしたのですが、
部屋に入るなり、いきなりとんでもないことを言い出した人がいたのです。
その人は、なんと、この国の王女様だったのだと言います。
しかも、私のことをずっと探していたらしく、ようやく見つけたと思ったら、
まさか、奴隷になっていたなんて、夢にも思わなかったと言われてしまいました。
その言葉に、胸が締め付けられるような痛みを感じながらも、
なんとか平静を装って、その場をやり過ごすことに成功しました。
その後は、お互いの近況報告などをした後、明日に備えて早めに休むことにしました。
翌日、朝早く起きると、身支度を整えてから、再び、例の場所へ足を運びました。
昨日と同じように、辺りを見渡してみたものの、やはり、人の気配は全く感じられません。
諦めて帰ろうかと思ったその時、ふと、視界の端に何かが映ったような気がしたのです。
気になってそちらの方へ目を向けてみると、そこには、古びた扉があったのです。
恐る恐る近付いてみると、鍵がかかっていなかったらしく、簡単に開けることができました。
中を覗いてみると、薄暗い部屋の中に、埃を被った古い書物がたくさん積まれているのが見えました。
どうやら、ここは倉庫のような場所のようです。
奥の方へ進むと、一番奥に、一つだけ他とは違う雰囲気を放つものが置いてありました。
それは、一冊の大きな本でした。
表紙には、複雑な紋様が描かれているのみで、タイトルらしきものは一切書かれていません。
不思議に思いながら、手にとって開いてみると、そこには、見たことのない文字がびっしりと並んでいました。
内容は、全く理解できませんでしたが、なぜか、妙な既視感を覚えたのです。
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