第23話 彼女との愛
だとしたら一体何のためにこんなことをしているんでしょう?
不思議に思いながらも内容を見てみると、これもまた同じような内容でした。
しかも、同じ筆跡のような気がします。
ということは、同一人物の仕業という可能性が高いです。
一体誰がこんなものを送りつけているのでしょうか?
そんなことを考えているうちにいつの間にか眠ってしまっていたようですが、
翌朝目が覚めると枕元に一枚の紙が置かれていることに気付きました。
そこに書かれていたのはこんなことでした。
「おはようございます、ご主人様!」
ああ、やっぱり来たかと思いながら内容を確認すると、そこにはこう書かれていました。
おはようございます、ご主人様!
本日もお勤めご苦労様でした。
ゆっくりお休みいただけましたでしょうか?
もしまだ眠られているようであれば、引き続きごゆっくりどうぞ。
また、朝食の準備ができておりますので、いつでもお呼びください。
それでは失礼いたします。かしこ。
この手紙を読んでいるということは、既にお気づきのことと思いますが、
私の目的はただ一つ、貴方様に私の愛を伝えることです。
その為ならば私はどんな手段も厭いません。
例えそれが貴方様の意思に反することであろうとも、です。
ですからどうかご安心ください、私が必ず貴方様を幸せにしてみせます。
そしていつかきっと、私のことを好きになってもらえるよう努力いたしますので、
それまで待っていてくださいね?
それではまたお会いできる日を心よりお待ちしております。
追伸:ちなみに今日の朝食のメニューはフレンチトーストとコーンスープでした!
美味しかったですか?
もしよろしければ感想をお聞かせいただけると嬉しいです♪』
以上が今朝届いた二通の手紙の内容であるのだが、
一通目に関しては特に変わった点はないものの、問題は二通目の方だ。
まず最初の方だが、こちらは至って普通であり特におかしな点は見受けられなかった。
しかし最後の部分だ。
これは一体どういう意味なのだろうか?
いや、考えるまでもないだろう。
これは明らかに脅迫状だ、それもかなり悪質な部類に入る方だと思う。
その証拠に差出人の名前も書かれていないのだから、
これでどうやって注意を促せというのか?
そんなことを考えていた時だった、不意に頭の中に声が響いたような気がしたのである。
それはまるで直接語りかけられているような感覚であり、とても不思議な感覚だったことを覚えている。
そして次の瞬間には意識が遠のいていき、気がつくとベッドの上に横たわっていたのであった。
どうやら気を失ってしまっていたようだ。
だが幸いにも怪我などはしていないようで安心したが、問題はそこではなかった。
なんと目の前に見知らぬ女性が立っている。
しかも素肌で!
(え!? 誰!?)
思わず叫んでしまった私だったが、その女性は特に気にする様子もなく話しかけてきたのである。
彼女は微笑みながらこう答えたのだった。
そう、彼女こそが私のご主人様であると……。
私は驚きのあまり言葉を失ってしまったが、そんな私に対して彼女は続けて言ったのだ。
「初めましてご主人様」
そう言ってお辞儀をする彼女に呆然としていると今度は彼女が口を開いたのである。
「私、本日からご主人様の身の回りのお世話をするメイドでございます」
そう言って頭を下げる彼女に対して私は戸惑いながらも問いかけた。
彼女は笑顔で答えてくれるのだった。
「はい、その通りですよ?」
そう言われてもまだ信じられなかったのだが、それでも一応確認してみることにした。
まず最初に聞いた質問としては、彼女の名前についてである。
しかしそれに対しては答えてくれなかったため、次なる質問をすることにした。
それはどうして自分に仕えることになったのかということであるが、
これに対しては意外な答えが返ってきたのである。
なんと彼女は元々この屋敷の使用人として働いており、
その仕事の一環として私の世話をすることになったのだというのである。
それを聞いて納得していると今度は彼女がこんなことを言ってきたのである。
それは私が彼女に何か命令すれば従うというものであり、
つまり何でも言うことを聞いてくれるということだと理解した瞬間、
私の心の中で何かが弾けたような気がしたと同時にある欲望が生まれた気がしたのです。
そして、気が付けば口が勝手に動いていたかのように言葉を発していたのである。
「それじゃあ、服を脱いで素肌になってみてくれないかな?」
私がそう言うと、彼女は何も言わずに頷くとその場で着ているものを全て脱ぎ捨ててしまいました。
その姿を見た瞬間、私は興奮してしまいました。
何故なら目の前に現れた素肌はとても美しく魅力的であったからです。
私は我慢できずに彼女を押し倒してしまいました。
「キスしてもいいかしら?」
「はい、もちろんです」
そう言って目を閉じてくれた彼女にキスをすると、
彼女もそれに応えるように舌を絡ませてきました。
お互いの唾液を交換し合うような激しい口づけを交わしていると次第に気分が高揚してきて、
もっと先に進みたいという衝動に駆られてしまったのです。
「もっとキスしましょう」
「はい、喜んで」
それからしばらくの間、私たちはお互いの愛を求め合い続けました。
「好き、大好き」
何度も何度も繰り返し呟いているうちに、次第に意識を失ってしまいました。
気が付くと私はベッドの上に寝ていました。
隣を見ると素肌の女性がいて、彼女もまた目を覚ましたようでこちらを見て微笑んでいました。
どうやら夢ではなかったようです、その証拠に彼女の首には私がつけたキスマークがありますから。
それからというものの、彼女との幸せな生活が始まりました。
朝起きると彼女がいて、一緒に食事をしたり、買い物をしたり、
散歩をしたり、お風呂に入ったり、夜は同じベッドで寝るといった具合です。
そして毎日のように愛し合ったりもしていますが、
最近は少しマンネリ化してきたような気がしますので何か良い方法はないかなと考えているところです。
そんなことを考えていたある日のことでした。
突然、彼女がこんなことを言い出したのです。
「ご主人様、お願いがあるのですが聞いていただけますか?」
何だろうと思って聞いてみるとその内容は驚くべきものでした。
なんと私以外の人と関係を持って欲しいというのです。
最初は何を言っているのか理解できませんでしたが、
話を聞いているうちに段々と理解できてきたと同時に怒りが込み上げてきました。
「どうしてそんなことを言うのよ?」
そう聞くと彼女は悲しげな表情を浮かべていました。
そこで私はあることに気が付きました、彼女の眼が赤く染まっているのです。
まるで血のように赤く光輝くその色は とても綺麗でしたが、
同時に恐ろしさを感じさせるものでもありました。
そして、しばらくの間沈黙が続いた後で彼女が口を開きました。
「申し訳ありません、ですがこれは貴方様の為でもあるのですよ?」
そう言って謝る彼女の顔を見ていると何故か涙が溢れてきました。
それでもどうにか心を落ち着かせると改めて聞き返してみることにしました。
今度は真剣な眼差しでこちらを見てくれましたので、
安心して質問を続けることができそうです。
けれど次の瞬間、衝撃的な話を聞かされて唖然としてしまい、
すぐに言葉を発することが出来ませんでした。
そして全てを聞き終えた後、私は彼女に向かって問いかけていました。
そんな私に対して彼女は微笑みながら返事をすると服を脱いでしまったのでした。
ただし、素肌ではなく上着だけは着たままでしたけれど、
それだけで十分すぎるほど刺激的すぎる姿を披露してくれていて
私の心をドキドキさせるには十分すぎたようです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます