第15話 彷徨いと戦闘と彼女

どうやら、この洞窟の奥に進むにつれて魔物も強力になってくるようです。

だから私達は一刻も早く洞窟の奥へ向かわなければいけないんです。

しかし、この状況でどうやって切り抜けたらいいのか見当がつきません。

そんな時、サナトスさんがおもむろに懐から何かを取り出しました。

それは宝石のようなもので、キラキラと輝いていました。

それから、彼女は私達に声をかけてきました。

なんでもこの宝石の力を開放すれば、強力な味方が現れるらしいのです。

私達は期待と希望を込めて彼女の行動を見守ります。

そうすると不思議なことが起こり始めたんです。

何とその宝石が光輝き始めたかと思うと、急に輝きを増していき、

最終的には目を開けていられないほどの眩い光を放って、消えてしまいました……!?

しかし、その瞬間には今までとは全く違う種類の存在感が現れておりました。

まるで別人のような気さえします!?

外見は同じではあるものの、纏っている雰囲気が違うと言いますか、

とにかく何かが明らかに違っているのです。

そして、その新たな存在から言葉が発せられます。

どうやら、彼女が私達の為に召喚したのは、特殊な力の集合体と言うべき存在のようです。

しかし、その力を全て開放すれば、この洞窟の中にいる全ての魔物たちを倒すことが可能だろう、と言います。

私達は期待しつつ、力を開放するように指示します。

そして新たな力を解放することに決めました。

そうすれば全ての敵を一掃できるはずなのです。

最初のうちは順調に進んでいきましたが、段々と厳しくなっていきました。

なぜなら、こちらの攻撃が通じなくなってしまったからです……!?

更には攻撃力もかなり高めのものでしたので、苦戦を強いられることになりました。

このままでは私達の命も危ない状況になっていきます。

どうするべきか考える猶予も必要ですが、今はそんな時間もありません。

そんな時に彼女から声が聞こえてきました。

「私も加勢させてもらうわ」

その言葉を聞いた私は驚きましたが、確かにその通りです。

一緒に戦ってもらうしかない、そう思いました。

まず最初に彼女が先陣を切って攻撃を開始してくれました。

そうすると、次々に魔物たちが消滅していくではありませんか!

凄い威力に唖然とします。

しかも、魔法一つで敵を薙ぎ倒していくその姿を見た私は、興奮すら覚えます。

それからしばらく戦闘は続きましたが、結果は明らかでした。

彼女の協力もあって無事に勝利することが出来たのです。

(まさかこんなにも簡単に片付くなんて……)

本当に信じられない気持ちでいっぱいです。

サナトスさんには感謝しきれないくらい恩を感じます。

しかも、私達が脱出したら消えてしまうと言うのですから、

なるべく早く出口に向かって進みましょうと意気込んだのです。

そして、私達は洞窟の最深部へ向かいました。

そうすると、そこには大きな空間が広がり、そこには多くの魔物たちが待ち構えていました。

私は、少し怖気付きながらも、何とか冷静さを保ちながら戦い続けました。

しかし、一向に数が減っている気配はなく、逆に増えているような気がしてきます。

それでも諦める訳にはいきませんから、必死に戦い続けたんです。

次第に体力が尽きかけましたが、途中で見つけた宝石で魔力を補充して、

どうにか立ち上がることが出来ました。

改めて前を向くとそこには一匹の巨大なドラゴンが現れたのです。

おそらく敵の中で一番強い存在であるのでしょう、その存在感たるや圧倒的で、

到底人間一人では倒すことができないように思えるほど強大なものでした。

私とガルアレーアはすぐに降伏の意を込めて剣を下ろしてしまったのですが、

そんな私達にも容赦なく襲いかかってくる様子に恐怖を感じつつもただ逃げまとうことしか出来ません。

そうすると後ろからサナトスさんが剣を振りかざして、ドラゴンに立ち向かっていく姿勢を見せました。

私やガルアレーアはその背中を見た瞬間に、絶対的な安心感を覚えました。

きっと何か勝算があるのだろうと感じていたからです。

しかし、それでも強敵を相手に苦戦しているように見え、

もしかしたら彼女でも厳しいのかもと思ってしまいましたが、

それでも私達は最後まで見届けようと心に決めたんです。

そうすると、先程まで優勢に見えた彼女に異変が起こり始めました。

一瞬フラついたように見えたかと思えば、次の瞬間には地面に倒れ込んで動かなくなってしまったのです。

突然のことで慌てて駆け寄ると彼女は意識を失っているようでした。

(やはり無理だったみたい……)

そう思いながら彼女の容態を確認すると、外傷は無く息もあるようでしたからひとまず安心して

洞窟を出ようという話をして一旦退却することを決めたのでした。

このまま留まっていても危険が増すだけだと思ったからです。

私達3人は一緒に行動し続けていますが、ガルアレーアはずっと無口になってしまい、

サナトスさんが意識を失っている現状では、精神的にも体力的にもとてもキツい状態でした。

出口に向かって進んでいたはずなのだが、いつの間にか奥深くまで迷い込んでいたようです。

道を間違えてしまい、脱出まで至らずにこうして洞窟の中を彷徨い続け、

最終的にたどり着いたのが洞窟の最奥だったのだと思います。

(どうしよう……)

絶望的な状況ですが、どうにかして脱出しなければなりません。

こんな時、誰か助けてくれる人でもいれば良いのですが……。

そんなことを考えながら歩いていると、どこからか人の話し声が聞こえてきましたので、

耳を澄ましてみるとそこには女性が一人佇んでいる姿が見えましたのです。

私は一目散に駆け寄り声をかけました。

女性の方も見知らぬ私に警戒することなく親しげに話してくれたのです。

「あなた達、どこから来たの?」

私はどうやって説明すればいいのか分からなくなったのですが、

それでも詳しく話しを聞いてくれた上で納得してくれました。

それからしばらくして、一人の女性が現れたのです。

しかし、彼女は服装がボロボロになっていることや

同行者が意識を失っていることなどから何かを察して警戒態勢になっていました。

そして、その人は私に声を掛けてきました。

その女性が言うには、ここは非常に危険な場所であり、少しでも早く脱出した方が良いと諭してくれました。

それに同意して私達も離れ離れにならないように一塊になって歩き出しました。

その道中で私が魔法やスキルが使える事について話したら興味深そうに耳を傾けてくれていましたが、

最終的に信じてもらえたようです。

洞窟内の魔物達に対抗できるほどの手立てが見つかったとしても、極度に危険なことには変わりないです。

つまり、気が抜けない状態での移動になっています。

少しでも気を抜かないようにはしているものの、やはり消耗してしまいます。

そして、何かを考える時間も少ないまま探索が続き、

一気に私達は強力な魔物達に追い詰めれられてしまうのです。

私はもう助からないのかもしれないという気持ちで、膝を折っていましたが、

サナトスさんが優しく励まそうとしてくれたのです。

その言葉のおかげで勇気を取り戻した私は戦う覚悟を決めると、

敵の出方を探りながら冷静に行動する事が大切だと考えるようになりました。

そうして戦っている最中だったんですが、突然巨大なドラゴンが現れたんです。

今までで最も強力なモンスターであり、私達だけでは絶対に太刀打ちできません。

どうにか逃げ延びなければ……と思っていたのですが、それは叶わなかったのです。

なぜなら目の前に現れたドラゴンによって再び身動きを封じられてしまい、

絶体絶命の状況に立たされてしまったからです。

私は自分の無力さを感じつつも、どうにかこの場から抜け出そうと必死になって抵抗を試みました。

しかし、相手の力や恐怖に押され思うように体が動きません。

段々と心が折れそうになります。

(もう駄目だ……)

と思うものの諦め切れない自分がいますが、絶望がすぐそこまで来ていることには気づいていました。

それでも最後の最後まで戦うことは忘れていません、

潔く敗北を受け入れるよりも足掻いてみようかと試行錯誤しながら戦っている中、

現状を一変させる存在が登場しましたので驚きます。

それがなんとサナトスさんなのです……!

私達と一緒に行動していた彼女はいつの間にか姿を消したかと思えば、

突然の事で私もガルアレーアもびっくりしてしまいましたが、

その理由を知る由もなく今は目の前にいるドラゴンに集中し直さなければなりません。

そんな中、とんでもない衝撃を受けることになりました。

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