第3話 ジェーナ①

「ガルアレーア、そろそろ休もうよ」

「そうね、あそこの岩陰で休みましょう」

そう言ってガルアレーアとジェーナは岩陰に移動するのです。

そこで二人は座り込むのですが、ジェーナは不安な顔をしておりまして、

ガルアレーアはそんなジェーナの事を心配そうに見つめているのです。

そうするとガルアレーアが突然立ち上がると、ジェーナは驚きながらも警戒をしているのです。

そして、ガルアレーアは空を見上げると急に険しい顔になり、

ジェーナの事を抱き抱えると空高く飛び立つのです。

いきなりの出来事なのでジェーナは何がどうなっているのかわからずにいるのですが、

そんな事お構いなしにガルアレーアはどんどん上空へ上がって行くので次第に怖くなり始めたのか、

大声で叫んでいるのです。

「きゃぁぁああっ!」

そして、ガルアレーアは急降下して行くのです。

ジェーナは怖くて目を瞑りながらも必死にガルアレーアにしがみついているのですが、

それでも怖いのか悲鳴を上げているのです。

「きゃああっ! いやぁぁぁああ~っ!」

そんな悲鳴を気にせずにガルアレーアは地上に降りるとジェーナは地面に倒れ込んでしまい、

そのまま気を失ったのです。

「ジェーナ、起きて」

「う、うぅん……」

ガルアレーアに起こされたジェーナは、目を覚ますと辺りをキョロキョロと見回しているのです。

そうするとガルアレーアはジェーナの事を心配そうに見つめているのです。

そこでジェーナは、立ち上がりながら首を傾げているとガルアレーアがこう言うのです。

「ねぇ、ジェーナ、どうして私から離れたの?」

そう聞かれてしまうとジェーナは、目を泳がせて下を向いて黙っているのです。

そして、ガルアレーアは悲しそうな顔をしながらこう言います。

「もしかしてだけど、私が怖いとか?」

そう言われてしまうとジェーナは俯いてしまうのですが、それでも小さな声で呟くように答えるのです。

「怖くはないけれど、いきなり空に連れて行かれたらびっくりするよ」

それを聞いて安心したのか安堵の表情を浮かべると今度は嬉しそうな顔になり、笑顔でこう言うのです。

「そうだよね、いきなり空を飛んだらびっくりするよね」

そう言われてしまうとジェーナは、ガルアレーアの事を睨みながらこう言うのです。

「うん、本当にびっくりしたよ」

するとガルアレーアは申し訳無さそうにしながら謝るのでジェーナも謝罪するのです。

そして、二人は仲直りをするのですが、そこでジェーナは疑問に思った事があるので質問してみる事にしたのです。

「ねぇ、ガルアレーアって魔族なの?」

と聞くとガルアレーアは不思議そうな顔をして首を傾げるとこう答えるのです。

「えっ? そうだけど何か問題でもあるの?」

と言うとジェーナは少しだけ後退りしてしまいまうのですが、それでも勇気を出して聞いてみることにしたのです。

「えっとね、私は人間だから魔族に会うのは初めてだし、ちょっと怖いかなって思って……」

「大丈夫よ、何もしなかったら怖くないわよ、

それにもし襲って来たとしても返り討ちにしてあげるから安心しなさい」

と言いつつもジェーナの体をジロジロと見てます。

それに対してジェーナは、ビクビクとしてしまっているのです。

それを見てガルアレーアはクスッと笑うとジェーナは顔を真っ赤にしてしまいます。

そうして、ジェーナとガルアレーアは旅を続けているのですが、ジェーナはふとある事に気付きました。

それを口にしてみると、その答えは意外なものでした。

何故そう思ったのかと言いますと、ジェーナ達は今、森の中にいるのですが、

木々の隙間から射す光がキラキラと輝いているので綺麗だと思ったからです。

そして、それが風に揺れていますので、とても幻想的な光景になっているのです。

それを見たジェーナは思わずうっとりとしてしまいますが、ここで重要な事を思い出したのです。

それというのは、ガルアレーアとの出会いについてなのですが、

その時、ジェーナが見た風景には、こんなキラキラしたものはなかったはずなのです。

それと言うのも、その時のジェーナは暗い檻の中にいたのです。

そこでのジェーナは、毎日、暴力を振るわれていましたので、外の世界を見る余裕がなかったのです。

それで、やっと外の世界に出られたと思ったら、何故か、この綺麗な森の中にいたという訳なのです。

そもそも、ジェーナが奴隷になったきっかけなのですが、

ある日、突然、見知らぬ人達に襲われた事で奴隷になってしまったのです。

その後、とある場所に売られたのですが、そこで、

大勢の人に酷い目に挙げ句の果てに殺されてしまったと言うわけです。

ですが、どういう訳か、転生してから、今まで生き長らえておりまして、不思議な事があるものです。

そう思いながらぼんやりとしていると、不意に声をかけられてしまうのです。

それを聞いた途端、ジェーナは、ハッと我に返るのですが、それと同時に羞恥心に苛まれてしまい、

顔が真っ赤になってしまったりするのです。

その一方で、その様子を見ていたガルアレーアが不思議そうな目で見つめていて、

ジェーナは、その視線に耐えられずに思わず顔を背けてしまいます。

「ジェーナ、キスしよ」

「えっ?」

突然の事で、ジェーナは驚いてしまい、

呆然としているとガルアレーアは、ジェーナに抱きつきます。

そして、そのまま唇を重ねると舌を絡ませてくるので、

ジェーナは驚きつつも受け入れてしまうのでした。

それから暫くの間、二人はキスを続けていたのですが、やがて唇を離すと唾液が糸を引いておりまして、

それが途切れると同時にガルアレーアはジェーナの事を押し倒すのです。

「ちょ、ちょっと待ってよ」

と言いながらも抵抗しないジェーナなのですが、それでも恥ずかしいのか顔を背けているのです。

そんな様子のジェーナを見てガルアレーアはクスリと笑うとこう言うのです。

「可愛いわね」

そう言って再びキスをしてくるのでジェーナは受け入れるしかなくてされるがままになっているのですけれども、

次第に気持ち良くなって来たのか自分から求め始めたりするのですが、そこでふと我に返るのでした。

(あれ? 私って何をしているんだろう)

「ねぇ、ジェーナ」

「な、何?」

「大好きよ」

そう言われてしまうとジェーナは顔を真っ赤に染めて俯いてしまうのですが、

それでもガルアレーアの事を見つめてしまうのです。

そこで、二人は再び唇を重ねるのですが、今度は先程よりも激しいものでした。

そして、それから暫くの間、二人の濃厚な時間が続いたのでした。

その後、落ち着いた二人は素肌で抱き合いながら横になっているのですけれども、

不意にガルアレーアがこんな事を言い出します。

それは一体どういう事なのかと言いますと、どうやらガルアレーアはジェーナの事を

気に入ったらしく奴隷から解放しようと言う事なのですそうです。

しかし、ジェーナは戸惑いつつもこう答えました。

「私はもうご主人様に飼われている身だから今更そんな事言われても困るよ」

それを聞いたガルアレーアは驚いた表情をしていましたが、すぐに笑顔になるとこう言うのです。

「大丈夫よ、私が何とかしてあげるから安心して頂戴」

「う、うん」

ジェーナはガルアレーアの優しさに感動しつつ、感謝の気持ちでいっぱいになるのです。

そして、二人は再び唇を重ねるとそのまま眠りにつくのですが、

翌朝になるとガルアレーアがジェーナの事を優しく起こすと朝食の準備をし始めるので、

ジェーナは急いで身支度を整えると手伝う事にしたのです。

それから二人で楽しく食事を済ませると出発の準備を始めるのですが、

その時にガルアレーアはこんな事を言い出すのです。

「ねぇ、ジェーナ」

そう言いながら手招きをするものですから、

ジェーナは首を傾げながらも近付いて行くと突然抱きしめられてしまうのです。

「えっ? ちょっと何するのよ?」

と言って抵抗しようとするものの力が強くて逃れる事が出来ずにいると今度はキスされてしまうのでした。

そうすると何故か力が抜けてしまいまして抵抗する気力を失ってしまったのか、されるがままになってしまうのです。

そうして、暫くの間キスをされ続けた後ようやく解放されたと思ったら今度は耳元で囁かれるのです。

「ジェーナ大好きよ、もっと舌を出して、キスしてあげるからっ」

「えっ? あっ、うん」

ジェーナは言われるままに舌を出すとガルアレーアに絡め取られてしまい、

そのまま何度も唇を重ねられるのです。

そして、暫くの間キスを続けていたのですが、

やがて満足したのかゆっくりと唇を離すと唾液が糸を引いておりまして、

それが切れてしまう前に再び唇を重ねてくるのです。

それを何度も何度も繰り返している内に、次第にジェーナの頭の中には靄がかかったようにボーッとし始めてきてしまうのです。

(あれ? 何だか頭が働かないよぉ)

そんな状態のままされるがままになっていると今度は、首筋にキスをされてしまうので

ビクッと反応してしまい思わず声が出そうになるものの何とか堪える事に成功するのですが、

それでも体は正直に反応してしまうものでして、段々と息遣いが激しくなっていくのがわかる程だったのです。

そこでふと我に返ると恥ずかしさのあまり顔を真っ赤に染め上げながら俯いてしまうのですが、

そんな様子を楽しそうに見つめるガルアレーアの視線を感じると、

更に恥ずかしくなってしまい顔を上げられなくなってしまうのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る