京都に行かないとな!

【おい貴様、氷室と言ったか?顔を見せろ】


「は?」


神が唐突に思考し始めて3分ほどたったとき、不意に俺は名が呼ばれてびっくりしていた。

さらに顔を見せろと言われれば誰でも驚く。

それでも氷室は驚きを顔に浮かべるが、下を見ていた顔を上げて神の方を見る。

すると神は顔を一瞬近づけてからすぐに離し、気になる一言をぼそっと言った。


【やはり、


確かにそう言ったのが氷室の耳には僅かに聞こえていた。

そして、氷室に念話も同時に届いた。


『我が主よ、主殿の友の3人が学校にいる人たちをなるべくこの場から避難させに行ったので全力を出して戦っても大丈夫なのじゃ!』


「その情報はありがとう猫恩。おかげでこいつをどうするかの手段が増えた」


と、このようなやり取りをしたが氷室は初めて【極式魔法】を使用した時に話しかけられた、が言っていたことを思い出し、使うかどうかをためらっていた。

今まで使っていたからわかるが、この魔法は使うと俺以外の何者かの力を使っているのがだいぶまずくなってきている。記憶が無くなるのは最初からだが性格が変わったり人格まで豹変しているらしいからな。


【今までの『魔道王』の職業保持者の一人】と言う事と【ああ、俺たちはそんな奴だったな】の二つのことだ。

俺たち、の言葉も気になるが『魔道王』の所持者の一人と言っていることが示唆するのは、他にもいたってことだ。

俺の仮説だと、もおそらく持っているであろう。

理由はあいつ、、、若干俺に似ていることと、少し親近感を覚えるからだ。

まあ、神があいつあいつ言っているのは、おそらくなごんだろう。

クリスとアルスもなごんが創ったらしいからな。

あ、そういえば貰っていたわ、、忘れてた。

それは置いといて、後『魔道王』の所持者が俺以前にいたってことは、前にも神が攻めてきたことがあるはずだ。

なのになぜ、


「まあ、それもこいつをどうにかしねえとな」


氷室は口角を少し上げながら、ボソッと呟いたのだ。

そしてそのまま氷室は神に問いかける。


「なあ、お前ってこの結界のことどう思う?」


不敵に少し笑いながら、思案している神に対して問いかける。

神は一瞬答えるか悩んだ後、氷室の方を向き答える。


【人にしてはいい出来だが、正直この程度の結界やろうと思えば一太刀で砕ける】


神はまるで当然のことのようにさらっと言う。氷室はそれを聞いて、今のままでは勝てないと確信したが【極式魔法】を使う気はないのでどうしようかと考えようとする前に一応神に応答しておく。


「やっぱそうか、結構全力なんだけどな」


神にそう答えることで自分の実力を過少に見せて、次に戦うときに自分が有利に立ち回れるようにしっかり準備しておく。


『結界解除』

「からの、『全身体能力限界強化』」


俺はなごんに貰っていた、『雷切』を即抜刀すると同時に猫恩とオカジノイシェルに念話を送って攻撃するように言う。


「【妖魔の顎】なのじゃ!」 「おらあ!」


猫恩が巨大な猫の姿になった後、跳躍しながら神にかみつきに行き、オカジノイシェルは俺の意図を理解していたのか隠れている間に魔法を限界まで重ね掛けしていたようだ。


攻撃が決まった瞬間、肉を千切り採るような音と体が凹む音がしたので俺は、勝ったか?と思ったがそれは完全なフラグになってしまうことを忘れていた。


すると、攻撃を決めたはずの猫恩とオカジノイシェルがをつけられた状態で吹き飛ばされてきた。


【これは、何故こんな人間の味方に妖怪、、、いや妖魔かどっちでもいいがな。と天使がいるんだ?】


そう言い歩いてきた神は、だ。

神はその右手に神々しくも闇を纏ったかのような刀を持っており、明らかにこの刀で猫恩たちを斬ったということが一目でわかった。


が、俺は神が疑問を言った瞬間に踏み込み、なごんに勝手に与えられた剣技を使う。


『人道無念流剣術 無念気斬』


俺はおらゆる感情を消し去って、相手に動きを全く認識させない斬撃を放ったはずなのだが、神は刀を合わせてきた。


「不意を突いたはずなんだがな」


【この程度の斬撃など、やはり人は面白くない】


「面白くねえなら、追い詰めて面白いと考える暇を無くしてやろうか?」


【はっはっはっ、神を愚弄しようとでもいうのか、、、面白い人間だな】


神は俺の言葉を狂言と受け取ったのか笑いながら棒立ちだ。

しかし、棒立ちなのに威圧感は変わらずいや、さっきよりも強くなっているのでむやみに切り込みにいけねえ。


「お前、笑っているくせに内心ビビってんのか?さっきよりも威圧が駄々洩れだぜ」


俺は神の冷静さを失わせようとして言ったのだが完全に裏目に出てしまった。

神の威圧感が強くなった時よりも、3倍いや5、6倍ぐらいに膨れ上がり、迷宮で感じたことがある痛みが左腕に走った。


「っ!?」


俺は痛みが走った瞬間に反射的に自分の左腕を見た。

すると、当然のように肘から下が

血が滝のように流れ出て、一瞬で貧血に陥るが即座に治癒魔法で止血するがまだ一日たっていないから再生魔法は使えない。


「痛ってえが前に味わったことがあるからな、そこまで戦いには影響しねえからな、、、これでも喰らってけよっと」


『氷魔法 氷槍百連射ハンドレルベーファ


俺の周囲に長さ1mほどの氷でできた槍が百本ほど生成され、全ての槍が別々の軌道で神に向かって飛んでいく。その間に俺は白熊の魔物の時に使った特別製の弾を右足のホルスターに入っている銃に装填し、神に向けた。

氷の槍はそのための時間返せ義に使うつもりだったので全く期待はしていない。


【ほう、なかなかの量だな、しかしその程度の相殺など片手間にできる】


『月魔法 月のルナ餅つきパウンディング


神の足元に巨大な臼が出現して、上空から同じぐらいのサイズのきねが振り下ろされて全ての槍が砕かれたが、当然神には何の影響もない。


「それはただの時間稼ぎだ、本命はこっちだぜ!」


俺は神に銃を向け、確実に頭に銃口をあわせ発射した。当然時空間魔法で空間を捻じ曲げているので特別なスキルか時空間魔法を持っていない奴には認識できないのだが、そこはやはり神なのか雷速の弾丸を認識して避けた。が俺は残っていた3発をすべて使うつもりだったので後の2発を神の動きを予測して発射し、最後の一発を神に命中させた。


【なっ!?】


神は頭ではなく首を銃弾で貫かれ、驚愕の顔を浮かべるが貫かれて空いた穴は少しずつ塞がっているので俺は、やはり自然治癒を持っているんだなと確信した。

しかし、何故普通の魔法はあまり意味をなさないはずなのに【複合魔法】を使って複合させたのは職業スキルの【極式魔法】と同じように


「ま、それは置いといてだ。おい神、人に傷をつけられた気分はどうだ?」


神はそこまでキレてはいないようだが若干怒気が溢れている。その証拠に体を纏っている闇の動きが心なしか激しくなっている。


【はい?姉君、、、今何と言いましたか?】


「え?」


神の体を纏っている闇の動きが突然治まったかと思いきや、何故か誰かと喋り始め攻撃が止まった。

俺はいきなりの状況に頭の処理が追い付かず、フリーズしている。


【はい、わかりましたよ姉君】


神が了承したのか会話が終わり少しため息をついてから、神がこちらを見た。


【おい氷室とやら、私はこれから京都に戻らなければならなくなった、、、命拾いしたな、が私を殺したいなら京都に来るがよい、後私は月読つくよみと言う三貴神さんきしんの一人だ】


そう言い残し神は纏っている闇を球体にして瞬間移動した。

何故瞬間移動だってわかったか?それは時空間魔法で観測した空間のゆがみがあったからだ。

俺はとりあえずは生き残ったことを喜びつつ、あの神が何で京都に行かなければならなくなったんだ?ということだな。


「まあ、京都に行ってあいつを次はぶち殺してやるよ」


そう言い俺は猫恩とオカジノイシェルを担いで保健室のところまで行き、おろした後クリスとアルスの亡骸を裏山のてっぺんまで俺と一緒に瞬間移動させて埋葬した。


そのときに俺は







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