また、新しい神かよ、、、

氷室たちが迷宮から出る十数分前~ (深夜)


《保健室~》


「うーーーーん、やっと業務が終わったぁぁぁ」


保健室の先生である松尾 綾まつお あやは伸びをしながら声を上げていた。

神が攻めてきてから、魔物などが出現したため生徒が戦闘をするようになったので、学校内で唯一の職業だからかなりの激務に襲われている。

しかも、生徒を治癒するときはけがをした部分を触れなければならないため、校内でも屈指の可愛さを誇るのが相まって男子生徒がちょっとした怪我でも治癒されに来るから朝から夕方まではその仕事で死にかけている。


「はぁ~やっと英気を養えるぅ~」


怪しい言葉を言っているがこの人の英気を養うは、、、可愛く寝息を立てながらベッドで寝ているクリスとアルスを見て、可愛さ成分を補給することだ。

そもそもがあまり大人っぽさがないことを自覚しているので人前ではあまり可愛いものを見たり持たないようにしているので、一人の時の反動が凄い。

ただ眺めているだけなのに表情が溶け、よだれも若干こぼれているしテレビでは放送禁止にされていてもおかしくないレベルだ。


「そろそろ寝ますか」


表情を一瞬で戻し、少し垂れていたよだれを拭い、保健室の余っているベッドに横になり寝息を立て始めたころ、が保健室に入ってきた。


【こいつらか、姉君が言っていたは】


男の声のように聞こえるが、鳴っているのではなく直接頭に響くような声だ。

その人物は自らを覆う闇から一振りの刀を出し、クリスに振り下ろそうとしたとき不意に後ろから声をかけられたことにより刀を振り下ろす手を止めた。


「何してるんですか?突然保健室に入ってきて」


声の主はつい先ほどまで寝ているはずの松尾先生である。

松尾先生は結界師の結界魔法で保健室に侵入者が来たら警告するようにしているがそれが反応しなかったにも関わらず、本能で何か起きていると感じて目が覚めたのだ。


【おかしいな、この部屋に張っていたお粗末な結界は完全に通り抜けたはずなのだがな】


「本能ですかね!」


【面白いやつだな】


保健室に入ってきた人物は少し笑いながら松尾先生に言う。

しかし、その殺気は消えておらず眠っているアルスとクリスに注がれている。


【まあ、この二人は殺させてもらうがな】


殺気を出し、邪魔をすれば殺すと脅すようにして松尾先生の動きを止める。








そして無慈悲にもアルスに刀が振り下ろされてしまった。

刀で無残にも首を斬られ、血がとめどなく流れその場に血特有の匂いが漂う。

松尾先生はその光景を目にして精神的ショックが強すぎたのか気絶してしまう。

顔色は青白くなっておりホラー映画などを見たかのようになっている。

闇を纏ったかのような人物は気絶した松尾先生を見て、少し興味がそがれているようだ。


【もう一人も殺すか】


刀をもう一度振り上げ、クリスの首を切り落とした。

首から血が滝のように流れ出し、保健室に血特有の錆臭い匂いが漂い、ベッドのシーツが赤く染まる。


【終わったな、そういえば姉君が言っていた人物はいないのか】


役目は終わったと闇を纏ったかのような人物は保健室から出て、学校の敷地から飛んでいこうとしていた時、氷室が一人だけ早く飛んできて話しかけた。


「なあ、お前って?」


氷室はスキルを使ってアルスとクリスの生存確認をしたところ、二人とも死んでいることを確認したので学校の中に万物感知を使ってを持った人物の場所に一人だけ早く駆け付けたのだ。

氷室の声は怒気を感じ、普通の人ならビビッて逃げてしまいそうなほど殺気に満ち溢れている声だ。


【そうだがそれがどうかしたか?あのような紛い物生きる価値すらない】


闇を纏ったかのような人物はさらりと言った。


「やっぱりそうか、、、じゃあ死ね」


親指で首を掻っ切る動作をしながら言い切った氷室は即座に葉杜華さんが使っている結界魔法を鑑定して使えるようになっていたので、今出せる最大量の魔力を注ぎ込んだ断絶結界を張る。


【、、、人にしてはなかなかやるではないか】


「そりゃあな!俺はここに攻めてきた神をぶち殺してやったからな!」


俺は明らかに前に戦った菅原道真よりも強そうなオーラを放っているに対して虚勢を張るために意気揚々と言ったが、その神は俺の言った言葉に反応して聞こえるか聞こえないかのぎりぎりの声で不穏なことを口走った。


【と言うことは、こいつが姉君の言っていた人間か、、、少し遊ぼうとするか】と。


「そうか、遊ぶか、、、じゃあこっちからいくぜ!」


『氷魔法 氷雪の舞』


氷と雪が結界の中を埋め尽くし、舞い踊りながら神に対して高速でぶつかり続ける。


「これならどうだ?」


【、、、児戯】


「は?てめえ何言ってんだ?結構な火力があるんだがな」


【この程度のお粗末な魔法など、触れる前に魔力となり消え失せている】


「と言うことは消えないぐらいの大量の魔力を使った魔法なら効くってことだな!ちょっと早いが、やるしかねえ」


『偉大なる豹よ、氷と雷、双方集めて怒り狂え!』

『複合魔法 氷雷豹カルガの怒り』


氷室は豹のような形をとった生物を召喚魔法を応用して魔力で作り上げ、それに複合魔法を合わせることですさまじい量の魔力を含んだ魔法にして、神にぶつけたのだ。





しかし、


【ほう、本当にちょっとだが攻撃が通ったぞ。誉めてやろう】


「マジかよ、、、」


氷室は絶望したような顔をしているが内心は、これであいつの周りにある魔法を魔力に分解する結界が無くなったと。


【これで終わりか?】


神に問いかけられた氷室はニヤリと獰猛な笑みを浮かべ、真夜中なのに大声で叫んだ。


「小栗!今だっ!」


俺が念話も合わせて声を飛ばすと、それに呼応して直径30㎝ぐらいのがさっき俺が飛んできた方向から豪速で飛んできて、俺の張った断絶結界を神に直撃した。すぐに確認したかったが結構な量の砂埃が巻き起こっているので確認する前に、


「よしっ!ナイスだぜ、小栗!」


「ちゃんと当たったの?」


「うん!これでだいぶアドバンテージが取れ、、、た、はず」


念話で小栗に当たった報告をして少しは有利になったかと思って、直撃した衝撃で巻き起こった砂埃が消えて、神を見ると、、、全くの無傷だったのだ。


【この程度の攻撃が聞くとでも思ったのか?哀れだな】


「は?」


【おかげでこの結界の仕組みも分かった、それではこちらから行くぞ】


神が宣言した瞬間、俺の首に薄く刀で斬られたような傷ができていた。

それは神が俺の知覚して反応できる速度を圧倒的に超える速度で動けることを分からせるために、わざと薄皮一枚斬るだけに留めたことが分かってしまった。


「ははっ」


もう、俺は乾いた笑いしかすることはできなかった。

神は俺が戦う気を無くしたと思い、唐突に質問をしてきた。


【お前はどうやって神の中でも一番の雑魚だが、人の身では勝てないあいつに勝った?】


「知るかよ、、、偶然だ」


俺は適当に答えたのだが、神は何やらどこかへ戻ることをやめて、その場で考え始めた。

これをチャンスと思った俺はその隙に打開策を練り始める。


【姉君が言っていた人間ではあるが何故姉君はこんなやつを目に付けたのか?】


そんなとき、園部や小栗たちは~


「ねえ、さっさと倒しに行った方がいいんじゃない?」


「そうですよ!あの結界は氷室君が言っていたように、あの神らしき人物だけを阻むだけだから入れるんですよ!」


「いや、ちょっと待て氷室から念話が来た、、、了解。今あいつに対する策を考えているらしい、あいつも少しの間動かないと」


氷室と神がいる結界の位置から、600メートルほど離れた位置の木の立ち並ぶ場所で、

小栗が攻めることを提案して、葉杜華さんもそれに乗ったが安全第一な園部は個人的に氷室と念話を繋いで状況を聞いて、二人を宥めた。


「なあ、この学校の生徒たちを避難させるべきなんじゃね?」


道雄がふと呟いた一言が三人に聞こえた瞬間、


「「「そうだ!!!」」」


「道雄にしては鋭いな」


「道雄にしてはってなんだよ!」


「学校にいるのは基本もう寮で寝ている生徒しかいない。だからすぐに寮に向かう。だから、ここは猫恩さんとオカジノイシェルに任せる」


「任されたのじゃ!」

「オッケー」


そうして、三人は行動を始めた。








さあ、氷室は神をどうするのだろうか、、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る