今まで苦労してた時間返せ!

「おらぁ!」


肉を殴打するような鈍い音が、この場に鳴り響く。

オカジノイシェルが銀竜をぶん殴り、吹き飛ばそうとするが氷を展開されてうまく衝撃を軽減している。

猫恩にコンボをつなげようとしているのにつながらなくて、オカジノイシェルが無理やり銀竜に攻撃しているので反撃の隙を与えてしまっている。

その反撃を猫恩がカバーしているので今のところは優勢だが、いつ劣勢になるかは分からない。


「チッ、こいつ理性を失っているくせにしぶてえな」


「生き物としての生存本能が働いているからだと思うのじゃ」


「確かにそうだな、でも氷室まだ来ねえの?遅くね」


「我が主に対して文句を言うなのじゃ!」


「わかったって、いちいち氷室を話題に出したらキレるのやめてくんねえか」


「無理なのじゃ」


「あ、そう」


反撃の散弾のような氷の弾を砕きながら猫恩は言い、弾きながら攻めて行っているオカジノイシェルも言う。銀竜は氷を砲弾のようにして飛ばし、さらに冷凍光線を発射してオカジノイシェルの特攻を妨害するが光の鎧を巧みに使い光線は反射させ、氷の砲弾は猫恩の遠隔妖魔の顎(下位)によって粉砕される。

オカジノイシェルの光の鎧は防御力自体はそこまで高くないがうまく光を変化させることで魔法を受け流すことができる。

え、何でアンデッドの戦闘の時は使わなかったって、それはアンデッドは受け流そうとしても物量で攻めてくるし、普通に有利な戦闘だから使うまでもなかったんだ。


「おうらぁ!」


銀竜の顔面にオカジノイシェルが拳をクリーンヒットさせる。

が、銀竜はオカジノイシェルが攻撃してきた瞬間に溜めていた魔法を使用する。

その魔法は、


『氷魔法 絶対零度の吹雪アブソルブリザード


銀竜から、絶対零度の吹雪が襲い掛かり少し離れていた猫恩は少しのダメージで済んだが、銀竜に接近していたオカジノイシェルは直接喰らってしまい、光の鎧でも受け流しきれず体のいたるところが凍り付いている。


「オカジノイシェル!」


「が、、、あ」


「まずいのじゃ!」


銀竜はオカジノイシェルの拳がクリーンヒットしたはずだが氷を巧みに使って痛みを軽減していたから、凍り付いているオカジノイシェルに対して止めと言わんばかりの氷の砲弾を発射しようとしているから、猫恩はすぐに走り出し妖魔の顎ではなく、かまいたちを使い風の爪で氷の砲弾を破壊して即座に銀竜に追撃を喰らわせてオカジノイシェルを咥えて逃げる。


「ついてくるんじゃないのじゃ!オカジノイシェル!このまま我が主のところまで行くからそれまで耐えるのじゃ!」





そのころ氷室は、、、


「氷魔法で4人とも足を固めて動きを封じたいが氷だとあの紋様のせいで逆に操作されるからなぁ~、やっぱ雷魔法しかないなあ、でもそれだとロマンが」


などと、完全に前に腹をぶち抜かれ今は無い左腕が小栗にやられたことなんか忘れて、ふざけた発言をしている。

しかし、それでも4人を完璧にいなしている。

道雄は直線的な攻撃が多いが威力が高いので回避し、園部は忍術が逃走用などと前に言っていたが高火力の攻撃を出せることに気づいていなかっただけなのか、火遁や水遁で巨大な火の玉や水を滝のように出したりなどの攻撃は結界魔法で防ぐ。

小栗の闇は結界ごと飲み込んでくるから一番警戒して回避するが、一回大規模の闇で攻撃すると数分のインターバルを挟まないと闇を展開できないから一度避けてしまえば数分は安全だ。

葉杜華さんも木の枝?で攻撃してくるけど一回一回が大振りだから目で見てすぐに回避できる。

が、この4人は無理矢理力を引き出しているのではなく、使だから園部は忍術が強くなっているのだ。

しかしそんなことは知らない氷室は


「やっぱ4人の攻撃を防ぐのは難しいな、右腕しかないから結界魔法の発動をミスったら詰むし、ところであいつらの方は大丈夫かな?」


そんなことを思っていると、猫恩からの念話が届いた。


「おい、猫恩何「オカジノイシェルが銀竜にやられたから今そちらに向かっているのじゃ!我が主!」


「はあ!?おい!、、、マジかよ」


唐突に銀竜が猫恩と猫恩が運んでいるオカジノイシェルを追いかけて、こっちに向かってきていることを知って、どうするかひたすら考える。

考える考える考える回避する考える考える考える回避するを繰り返し続け、遂に猫恩と銀竜が見えてきた。


「思っているより戦っているうちに離れていたんだな、よし!どうしよう!」


魔法で止めようと思っても4人は止まらないし、、、仕方ねえなここは【極式魔法】で銀竜を倒すしかないか。


『禁忌を秘めし、魔法よ、我の奥底の力により、【はーーーい!ストップ!】


「はあ!?」


俺が極式魔法を使用しようと詠唱し始めた瞬間に突然時が止まり、目の前にあのと名乗った奴が現れた。

猫恩とオカジノイシェルはなぜか止まった時間の中動いて俺のところまでやってきた。

4人と銀竜は止まっているのにだ。

なごんがオカジノイシェルとを見た瞬間に、


【私の創った使がこんなにボロボロとは、まあ友から教えてもらっただけだからなぁ、、、】


】ボソッ


最後の面影があるねという言葉は本当に小さな呟きだったから氷室には聞こえていない。


「お前ってもっと荘厳だった気がするんだが」


【ああ、あの時はキャラを作ってみただけよ、これが普段の私さ】


「何でお前がいきなり出てきた?そしてなぜ時間を止めたんだ?」


【まあ、ちょっとした問題が発生してね、私が解決しに行くと面倒くさいことになるんだよ。あと、そろそろ解除されると思うよ、ほら】


なごんがそんなことを言った後、止まった時間特有の色褪せた世界が元の世界の色に戻ったのだ、しかし4人と銀竜だけは色褪せたままだ。


「4人と銀竜だけ時間が止まっている?」


【正解、君は世界に対して時間を止めているけど本当はあのように指定した物や生物だけ止めることができる。ちなみに、時間停止が解除されたのは今君たちの学校で眠っている、2を殺しに来ている神が解除したんだ】


「紛い物の神だと!?クリスとアルスのことか!」


なごんが言った紛い物の神があの二人であると導き出した氷室はそのまま問い詰める。


「何でお前は神なんかを創り出せるんだよ!」


【それは言わない、けどあの2人のことなら言えるよ。あの2人は僕が見つけた親に捨てられて亡くなった兄弟だった。私はそれが可哀そうだったから紛い物ではあるけど万物を創り出す神の力と万物を破壊する神の力を与えた。けど他の神に見つかって私は隠れたんだ。で、その後は気にが知るまま。ちなみに後数分で彼女たち


なごんから告げられた内容があまりにも濃すぎて俺は脳の処理能力が一時的に止まった。

数十秒後俺はなごんの言っていることが本当ならばあの二人を助けに行かなくてはいけないと思った。

断定した理由は前にステータスを見たときに『女神(創造神?と破壊神?)の加護』となっていたからだ。


「わかった、もしあの二人が死ぬとしても限界まで神に抗いたいからとっとと、4人にかかっているスキルを解除して迷宮から出してくれ」


【OK、あ、あと腕を治してこれも持っていきな】


なごんがおそらく再生魔法を使ったのか、俺の無くなった左腕が戻った。


「おっ、ありがとな」


何度か腕をふったり、手を握ったり指を動かしてきちんと動くかの確認をする

腕の確認をしている間に、4人の紋様が無くなった後、なごんが突然一振りの刀を投げ渡してきた。


「おい、この刀は何だ?」


【迷宮をクリアしたら渡そうと思っていた刀だよ、鞘から抜いてみなよ】


俺が鞘から刀を抜いてみると


「この刀、銘は何て言うんだ?」


【雷切、雷神を斬ったとされる伝説の刀の名を冠している、これから神と戦うにはいいでしょ】


「俺にはこの刀があるんだけど、、、」


俺は腰に佩いている菅原道真から奪った刀を見せるとなごんは


【そんな全然強くもない刀を使うつもり?しかも君は神二刀流が合っていない。その刀捨てていきな】


「マジで?そんなにこの刀強くないの?」


【うん、その刀と雷切をぶつけてみな】


なごんに言われたとおりに宝剣「天國」、宝剣「神息」と雷切をぶつけると、ぽきりというような音がして、宝剣「天國」、宝剣「神息」が簡単に折れてしまった。


「なっ!?」


【やっぱりそうなるよね、あ、剣術は直接スキルとしてあげるよ】


俺が驚いている間に勝手に話が進んでいて、突然スキル獲得のウィンドウが目の前に現れた。


【スキル 人道無念流剣術を獲得しました】


「おお!ありがとう、これで神を倒しに行ってくるぜ!」


【仲間の4人には直接脳に教えているから状況把握できてると思うよ。あと最後に天使まがいを治してと、よし頑張れよ】


「おう!なごん、お前って意外といいやつだな!バイバイ!」


氷室たちが迷宮から転送されていったあと、なごんは


【私がいいやつ、、、かそんなことを言われるのは久しぶりだな。だって仲間を


迷宮にはなごんのつぶやきが響いていた。





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