壊される操り人形たち

銀竜は絶望の感情よりも驚きの感情の方に今、襲われていた。

何故なら、仲間を完全に操ってやり操れなかった者たちも気絶させて、片腕も奪ってやった奴に完全に形成逆転されたからだ。


「な、なぜ私がこんな目に合わなければならぬのだ、、、何故なのだぁーーーーー!!!!!!」


「それはな、お前は俺を、、、怒らせた、、、からだ!」


ふっ、きまった!内心そんなことを思っていた氷室だったが、そんな余裕も銀竜の言ったによって失われた。


「なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ??????????????何故私がこんな目に合わなくてはいけないのだ?」


「え?」


俺が銀竜の声を聞いてふと声が出た瞬間、


「なぜなのだぁーーーーー!!!」


壊れろクォルテット操り人形たちマリオネッツ


禍々しい魔力を放つ声で銀竜がスキルを発動した時と一緒だった。


ビシッ、バシッと氷が砕かれるような音がした。

そのすぐ後、いきなり俺の方に4人の人影が飛んできた。


「何で!?猫恩とオカジノイシェルが気絶させたはずだろ!?」


俺は唐突に表れた4人の人影を見て言った。

なぜならその人影は、園部、小栗、道雄、葉杜華さんだからだ。


「オカジノイシェル!猫恩!銀竜は任せた!俺は4人を止める!」


「わかったぜい」


「了解なのじゃ!」


俺は即座に猫恩とオカジノイシェルに指示を出し、4人の行動を止めに行く。


「何でまたこんなめちゃくちゃに強いやつらと戦わないといけないんだよ!?」


「お前もたいがいだよ!」


「オカジノ!お前はそっちの戦闘に集中しろよ!?」


俺は一人で叫んだだけの言葉にオカジノが普通に反応してきたから、そっちの戦闘は大丈夫なのかと思った。まあ、そんなことを考えていられる時間などもうないけどな。


『風魔法 翡翠色のジェイド嵐風ゼラセス


俺は4人を相手に戦おうとすると前の二の舞になってしまい、再生魔法がもう今日は使えないので本当に死んでしまう。

だからこそ、俺は風魔法を限界まで使用して多対一から一人ずつ戦闘できる構図までもっていく。


「さすがに死にたくはないし、まずは危ない小栗から気絶させていくか」


風を操って、まずは小栗を高速回転させて平衡感覚を失わせる。と、何も表情を変えずに氷室はしているが心に中のミニ氷室は、

「これ、今は操られているから良いけど、それが解けたらめっちゃ吐きそうでやばいぞ、コレ」

と、なかなかの惨事になりそうなことが思いついてしまい、どうしようか悩んでいるがまあ、一回したし全員するしかないなぁ〜


「もう面倒くせえし、全員一気にするか」


風がとてつもない強さで吹き荒れているから氷室の髪は暴れ狂っているし、されている残りの3人もすごいことになっている。笑いそうになるのをこらえているから、体がプルプル震えているんだよなぁ


「さて、オカジノイシェルと猫恩のフォローしにいくか」


俺は全員が完全に平衡感覚を失ったので感電させて気絶させる。


『雷魔法 麻痺電流弾スタンガン


人を気絶させるのには十分な電力が含まれた1cmほどの弾丸が四つ生成され、それぞれが放物線をえがいて4人に飛んでいく。

しかし、小栗は平衡感覚がないのにもかかわらず操られているので自分の周りに闇を展開して覆うことによって電流弾を防ぎ、葉杜華さんは結界を展開、園部と道雄は気絶したがその二人は気絶しなかったので氷室は、


「何でこうも俺たちの周りの女性陣は強いんだよ、、、」


と呟いた。

でも、そのつぶやきが失われたのはすぐだった。

刃物が風を切るような音が聞こえたと同時に、氷室の背にクナイが刺さっていたからだ。


「ウッ!ゴハッ な、何でだ?」


すぐに後ろを振り向くと気絶させたはずの4人が立っているからだ。

氷室が呆然としていると、4人が動き出し氷室に攻撃する。

葉杜華さんは神木の枝、小栗は闇の弾、園部はクナイ、道雄は、、、猪突猛進

それぞれの攻撃が、一人に操られているので完全な連携で波状攻撃を仕掛けてくるので氷室は防戦一方になっているが、結界魔法でほとんどを防いでいるので銀竜が使った『壊れろクォルテット操り人形たちマリオネッツ』がどんな効果だったのかを考えている。


「う~ん、なんだろうな、気絶させたはずの4人が目覚めたし顔にある紋様がさっき戦った時とは比べ物にならないほど光ってるんだよなぁ~」


そう、氷室が言った通り4人の顔にある紋様が先ほどよりも眩しく白金色に光っている。

その光から感じる魔力が美しい光に反して先ほど銀竜が放った禍々しい魔力を感じるのだ、さらに明らかに限界を超えた魔力量を感じるのだ。

しかし、その魔力はほんの少し、ほんの少しずつ減っていっていることに気か付いた氷室はこう結論した。


「さっきの銀竜の使ったやつは、自らが操っている生物のだ!」


そう、氷室はその結論にたどり着いたが正解である。

なぜ”ほぼ”なのかは後でわかる。






そのころオカジノイシェルと猫恩は銀竜相手にかなり不利な戦いを強いられていた。

なぜなら、銀竜が狂ったことにより先ほどまでは理性があったから戦いやすかったのだが理性を失うことにより、ただ俺たちを殺すことだけを考えて行動しているからだ。


「ハハッ、コワレロコワレロコワレロォォォォォォォ!!!」


『氷魔法 氷槍の乱舞』


氷が周りから集まり、凝縮され普通の氷ではありえない温度にまで冷やされた槍が銀竜の周りに約百本ほど生成された。これをみてもオカジノイシェルと猫恩はまったく動じずに互いにうなずき合った後、オカジノイシェルが魔法を使う。


『穢れなき結界よ』

『聖光魔法 聖域サンクチュアリ


オカジノイシェルと猫恩を覆うようにダイヤモンドのような結界が展開されて、氷の槍を防ぐ。


「やっぱり、バカみたいな火力だよ!何で俺の中でもかなり上位の結界を張ってんのに若干冷気が来るんだよ!」

「仕方ないのじゃ、大体狂ったやつは普段よりも強くなる、後先考えないからなのじゃ」

「あ~あ、早くあいつ来ないかなぁ~」

「そんなこと言ってられる暇は無いのじゃ!」

「は、はい」


オカジノイシェルは氷室が来るまで結界の中で籠ろうと考えていたのだが、猫恩が何でもかんでも主に任せるのはいけないと思って、オカジノイシェルに怒ったら思ったよりビビってしまったのだ。


「氷の槍が無くなった瞬間に、結界を解いて攻撃開始するのじゃ!」

「おう!」


作戦を話した後、猫恩は普段の猫又モードに戻る。

猫又になると、体長が2~3メートルほどになる。まあ、巨大な猫になる、尾は二又だがな。

オカジノイシェルは、

『天使に宿りし聖なる魔力よ、我が双手に宿れ』

『聖光魔法 聖なる加護ホーリーウェイブル

『天翔ける猛き翼よ、我が背の翼に、力を与えろ』

『聖光魔法 天翔ける翼サンクトフレス

『光り輝く聖なる鎧よ、我を覆い、強化せよ』

『聖光魔法 天を守る鎧サンリアルアーマー


三つの強化を施して、準備を完全にする。

今のオカジノイシェルは、両手に籠手の形になった聖なる魔力を纏い、背から生える二対の羽が光光と輝き大きくなる、さらに普段の白のブラウスの上に聖なる魔力でかたどられた鎧まで纏って完全装備だ。


「さあ、ここまでしたんだから氷室が来るまでに片付けるかっと」

「そうするのじゃ!」


と二人の決意を感じる言葉が聞こえると同時に氷の槍の雨がやみ、結界が解除されて銀竜に攻撃をし始める。


「魔法の詠唱なんてさせるかよ!」


猫恩も相当な速さなのにそれを追い越して、オカジノイシェルが銀竜に強い腹パンを竜のはらに打ち込む。


「グエ!?」


理性を失い暴れるだけだった銀竜が驚きの感情を孕んだ声を出しながらもだえる。

しかし、銀竜は即座に氷を操りオカジノに対して巨大な岩のような大きさの氷の塊を砲弾のように飛ばしまくる。

しかし、銀竜が怒りオカジノを攻撃することはわかっていたのだ。

だから、猫恩が自らの魔力を顎に纏わせて放つ『妖魔の顎』は回避できない。


「ガハッ!?」


銀竜は怒り狂ってオカジノのことしか意識になかったので、猫恩による『妖魔の顎』は対処することができずにさっきオカジノに喰らった腹にまた強大な一撃が加えられ、一瞬意識が飛ぶ。


「よし!やっぱ理性を失っているから、ただの獣だな!いくらでかくて強くても!」

「だからって調子に乗るんじゃないのじゃ!」

「わかってるよ、だからこの隙に、、、一気に畳みかける!さっさとこの長ったらしい戦いを終わらせる!」


オカジノイシェルがサムズアップしながら言い切った。



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