猫恩の活躍 からの形勢逆転

「なぜその、二人が気絶していないっ!?」


「そりゃあ、俺が召喚したからなっ!」

片腕失ってるし、、、もしかしたら召喚失敗してこいつら死んでたかもな


突然俺が魔法陣を二つ組み、気絶させたはずの二人を召喚したから銀竜が狼狽える隙に攻撃を加える。

俺は抜刀した宝剣「天國」に炎魔法を一時付与インスタントグラントする。


『炎魔法 不知火』


宝剣「天國」が白い炎を纏い、陽炎が波打つ。

俺は両足を迷宮の氷の大地が割れるほど力強く構え一気に銀竜に刃を突き付けに行くッ!


「くっ!」


銀竜がとっさに離脱し、刃から離れたが体には刀で斬られたような傷ができている。

しかし、俺は完全に存在を忘れていた白熊の魔物4体に襲われる。

が、


「あまい、あまいぜ!まるでチョコレートに砂糖を大量にかけ、蜂蜜もかけたような甘さだぜ!」


『炎魔法 焔蛇』


俺が魔法を発動すると、右手から凄まじい熱量を孕んだ焔の蛇が現れ、白熊の魔物たちを全て飲み込んで消えた。

消えた後には何も残っていなかった。




そのころ、、、


「なあ、これって無理やり倒して行動不能にさせたらダメなんか?」


「ダメなのじゃ!我が主が言っていたのじゃ!だから、傷つけてはいけないのじゃ!」


「そんなこと言ってたっけ?」


オカジノイシェルは道雄と園部を相手し、猫恩は小栗と葉杜華さんを相手している。

四対一だった氷室の時とは違い、二対一だからだいぶ余裕がありそうだが傷つけてはならないというのがだいぶ行動を縛っていて苦戦しているようだ。


「これは、、、魔力を直接流し込んで気絶させる?」


「そうした方が良さそうなのじゃ!」


「よっし!やるかぁ!近接戦は得意だからな!」


オカジノイシェルが言っているのは多量の魔力を一気に流し込むことで、魔力回路の暴走によって体が動かなくなる現象を利用する。

ちなみにこの現象はでは常識だ。


「全然接近できねえ!イライラするわ!」


オカジノイシェルが魔力を右手に溜めて、園部に向かって接近して流し込もうとすると、意識があるときは忍術の使い方が分からないから全く使わなかったのに、操られているから物凄く的確な使い方をして接近させず、自らはクナイを投擲し、オカジノイシェルが結界魔法で防御すると、道雄が攻撃してオカジのがまた魔力を溜めると、道雄が離れ追いかけると園部の妨害が入る。

という、とんでもない連携をこなしている(操作されている)から、ストレスとイライラが蓄積されてゆく。


シュッ!

刃物が薄皮を切り裂いたような音がするとともに、


「ぐっ!?」


オカジノイシェルの痛みを耐えるような声が聞こえた。

園部の投げたクナイがイライラしていて冷静じゃなかったオカジノイシェルの腹を少し切り裂いたのだ。オカジノの動きが止まった時には、道雄が暴虐的な炎を纏った斧を振り上げていた。


「あっ、、、」


そして








斧が振り下ろされた。

が、その斧は届かなかった。

なぜなら、


「やっとこっちは終わったのじゃ~」


猫恩が炎を纏った斧をの魔力を宿した片腕で受け止めていたからだ。


「なあ、」


「うん?何なのじゃ?」


「お前って意外と強キャラなの?」


「そうなのじゃ!」


「マジかよ、、、」


腑抜けた会話が発生するのはいつも通り。

そんな会話をしていると、園部と道雄が操られているはずなのに笑いをこらえているようなそぶりを見せている。

が、魔力の胎動が感じられると、そのそぶりが消え、またも戦闘態勢に入った。


「お前がそんなに強いなら、全部任せるわ。じゃ頑張ってね~」


オカジノが言った後、結界魔法で自分を覆ってから、その場に座り込んだ。

猫恩は何も文句を言わず、魔力を両手に溜めながら、身体強化魔法で高速立体軌道をし始める。

猫又であるから、その柔軟性や反射速度を最大限使用した戦いを展開する。


「まぁだ、まぁだ、トゥップスピィードォォォォォじゃなぁいのぉじゃぁー!」


猫恩は高速移動をしているので声が物凄い震えている。

明らかにふざけているように聞こえるがその間にもう、園部は魔力を流し込まれ気絶している。

道雄は炎を纏った斧を振り回し、自分に近づけないようになっている。


「これはどうするのかなぁ~」


オカジノはずっと観戦してるだけで自分は何もしていない。はたから見るとただのニートである。

猫恩はそんなこと気にせず、魔力で巨大な顎を創り出し、手を体の目の前で縦向きに合わせる。

すると、顎が道雄を挟む。

道雄は斧で防御しようとするが、弾かれ無防備になった瞬間猫恩が懐に飛び込み、片手をぶつけて魔力を流し込み気絶させた。


「終わったのじゃ、オカジノイシェル」


「お、おう、、、マジで強すぎね?」





???視点~


「うーん、僕が直々に回収してきた銀竜はやっぱり強いね。片腕を失った状態でどうやって、勝ってくれるのかな?」


謎の人物は氷室が銀竜と戦っているのを、空中にスクリーンのように映し出して見ている。

その人物の横にはが置いてある。


「この刀を渡したいんだけど、これでもまだ神を殺すに至らないからなぁ~。極式魔法は確実に神を殺せるし、前の菅原道真なんて神の中でクラスだからあんな変な魔法が効いたから、変な勘違いをしてそうだな」


意味深な言葉を呟いたその人物は、今いる部屋から鍛冶場のような部屋に入っていった。






氷室視点~



「はぁ、、はぁ、、、」


今の氷室は体のいたるところが凍傷になり、息は荒く右目は氷が当たったのか血を流している。

もう、このまま死んでしまうのではないかと思うほどの状態だ。


「やっぱり片腕を失った状態で私に勝とうなど無理なのだ!」


「でも、俺はまだ死んでねえからな!ここからお前に勝ってやるよ!でも、、、」


ふと、周りを流し見た後、


「俺一人じゃねえからな!」


「なっ!?」


氷室が叫んだ瞬間に、銀竜に向かって三つの魔力の爪が飛ぶ。

銀竜はとっさに氷を自らの眼前に展開し、防ぐが視界がふさがれてしまう。

その隙に、後ろから打撃を喰らってしまう。


「ガハッ!後ろ、、、だと?」


「やっと来たのか、猫恩、オカジノイシェル」


猫恩の頭を撫でながら俺は言う。


「俺が完全に足手まといだったけど(ボソッ)」


「うん?なんか言ったか?」


「いや何も言ってないけど」


「そうか」


俺は息をしっかり吸い込み、銀竜に向かって言う。


「今の俺は一人でお前には勝てない、だがな!俺には頼れる仲間たちがいるんだよ!」


氷室がそう叫び、3対1の構図になり逆転したのだ。

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