死ぬかもしれねえ
俺は銀竜の位置を把握した後、そこが氷の洞穴ではなく
「ああ、もう!じれってぇな!」
俺は銀竜の位置が分かっているので早く倒しに行きたいのに、道雄や園部が操られているからこその途轍もないノータイム連携が俺を逃がさない。
でも、俺は補助魔法よりも攻撃魔法の方が得意だからノータイムで魔力を練りあげて距離をとろうとする。
『氷魔法 大氷壁』
俺は氷魔法で厚さ4~5メートルはある壁を創り出して、飛行魔法を使った。
これで道雄や園部、あと多分他の皆の追撃は避けられるだろうと思っていたが、甘かった。
額の紋様が怪しげに発光したと思ったら、洞穴の壁や地面の氷が二人の周りを舞い氷の翼を作り上げ、背に付いた。
「えっ、もしかしてそれで飛べるってやつですか、、、ふざけんなぁぁぁぁ!!!」
俺は道雄たちを操っているスキルがあまりにもチート過ぎてキレた(俺のスキルや魔法もたいがいだが)
俺が飛行魔法にそそぐ魔力を増やして速度を上げても、あっちは氷を増やして密度を上げ、速度を上げてくらいついてくる。園部はクナイを投げながらだし、道雄はスキルを強制使用されたの狂戦士化して追ってくる。狂戦士化した道雄は普通に飛んでいた時の2~3倍の速度で飛んできて、巨大な爪を振るう。
「うおっ!あっぶねえな!」
俺はぎりぎりで道雄の爪を回避したが、腹の部分の制服が少し切られた。
あと少し反応が遅かったら、今頃胴を切断されて死んでいただろう。それを自覚した瞬間、俺は背筋がひやりとする感覚に襲われた。
死の感覚が恐ろしかったので俺は飛行魔法に使う魔力量を増やして速度を上げて、一気に銀竜のもとに向かう。
いきなり俺が速度を上げたので、道雄や園部はまた周囲の氷を集めて翼を大きくし、追いついてくるが、
「まだついてくるのかよ、でもあともう少しで銀竜のところだっ!」
俺は万物把握で銀竜の位置が分かっているので、もう少しでゴールだということが分かっていた、だからこそ高揚して注意をおろそかにしてはいけなかったのだ。
俺は何もその時感じていなかった、、、なのに胴を貫かれていた。
「なっ!?グフッ、、、ガハッ」
俺は腹を見ると、木の枝が胴を貫通して血が木の枝にべっとりとへばりついている。とっさに腰に佩いている宝剣「神息」を抜き枝を斬る。
しかし、あまりにも大量出血をしていたので頭がクラっとして視点が定まらない。
治癒魔法を唱えようとするが、またもや木の枝が大量に襲い掛かり、園部のクナイに道雄の連撃が続く。
俺は無理やり体を動かして回避するがどうやってこの場を切り抜けるかを考えようとするだけで意識が飛びかける。
時間を止めてしまうと逃げることはできても魔法を使えないし、またいきなり時間を動かされたらたまったものではない。だから俺にできることは枝を抜かず、その場に強力な断界結界を張ってこの場だけ外界から隔離してから、治癒魔法ではなく再生魔法で回復する。
「ふうっ、、、ッ!」
俺は枝を抜いたが、抜いた瞬間に大量の血が流れ出て貧血で余計に頭が動かなくなるが、気合で魔法を使う。再生魔法が効き始めやっと一息がつけるが、まだその場をしのいだわけではないと俺は気を引き締める。(ちなみに再生魔法は1日1回しか使えないが全ての傷などを治せる)
傷が消えた後に現時点で操られている仲間を確認すると、園部、道雄そして葉杜華さんの3人が操られていた。
「一番厄介なのは葉杜華さんだよなあ」
俺は葉杜華さんの枝に氷が付いて速度や威力がさらに上がっていることに気が付いていたので、葉杜華さんの場所を結界の中から確認しようとしたとき、目の前の結界に大量の闇が津波のようにぶつかってきた。
「これは、、、小栗か!あいつに覚えさせた『闇魔法』がこんなことになるとは、マジで俺死ぬかも」
俺は今の戦力差を考えるが、まだ猫恩にオカジノイシェルがいるがそれは操られることは無いと確信している。
なぜなら、パーティーのステータスを確認して二人だけずっと麻痺状態だからな。
「何で銀竜は俺が近づいているのに逃げないんだ?」
銀竜の位置を把握しなおしたが全く動いていないから、ふとその疑問が浮かんだ。
俺がそのことについて考えていると、ガラスが割れるような音がして俺を守っていた結界が割れた。
「あっやべ、、、死ぬ」
そう思ったときにはもう遅かった。
結界を襲っていた闇の波がその勢いのまま俺を飲み込み、左腕を消した。
「えっ、、あああああああああああああああああああああああ!!!!!」
俺はいきなりの出来事に正気を失い、叫びながら魔法を使う。
体にまとわりついた闇を振り払うように光魔法で自らの体から光の爆発を引き起こし、闇をはがす。
俺は自分の左腕があった場所を見て嘔吐する。
「ガハッ、、、ゲホッ、はぁ、、はぁ、、、、」
俺は正気を取り戻し、治癒魔法を使いながら道雄、園部、小栗、葉杜華さんの猛攻から逃げる。
『治癒魔法
腕の断面がふさがり、血は止まるが腕を治すためには再生魔法を使わなければならないが、さっき使ってしまったので今日は使えない、だから
「これさ、詰んだくね?」
俺はいきなり発狂状態から正気を取り戻したからなのか、いつも以上に冴えた頭で全く勝てるビジョンが浮かばない。唯一の可能性は
でも、この魔法は使うと俺の意識が飛ぶからみんなを殺す可能性があるから使いたくない。
「はっ、仕方ねえな右腕だけで銀竜含めみんなに勝つしかないな!」
俺は負けのビジョンを切り捨てて、出来るだけやろうと心に決めて叫んだ。
諦めの感情も少しあったが、みんなを見捨てることだけはできなかったから俺は精一杯の気合を入れて魔法を起動した。
「よし、やるか!」
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