道雄、怒ったら怖すぎだろがぁぁぁ!!

「そういえば、小栗は普通に読めてた気がするんだが」

「うん?前に『闇魔法を記した本』を渡したとき、確かに読んでたな。何で小栗は読めたんだろう?」

「本人に聞けばいい。呼んでくる」


園部がそう言い、千里眼を使用して魔石を回収している小栗の場所を確認して、音もなく消えた。


「呼びに行ったか」


俺がつぶやくと、


「のう我が主よ」

「うおっ!猫恩か」


俺は完全に存在を忘れていた猫恩に話しかけられて、とっさに魔法を使用しそうになった。


「何か用か?猫恩」

「ここにいる魔物たち、今のところ我の住んでいた妖魔界にいた奴らと同じなのじゃ」

「そうだったの!?」


俺は猫恩が唐突に言ったことに様々な考えを張り巡らせていく。


「と言うことは、この迷宮を作ったと思うなごんは少なくとも1回は猫恩たちが暮らす妖魔界に行ったことがあるのか」


俺はそのことを考えていると、


「園部が呼びに来たけど、何かあったの?」

「ああ、小栗。この本の表紙の文字読めるか?」


俺は小栗に『腐食魔法を記した本』を見せる。


「読めるけどそれが何?」

「じゃあ一応読んでくれ」

「えーっと、腐食魔法を記した本?腐食魔法ってさっきのボスが使ってた魔法かしら」


当然のように読んだので、俺は自分がこの字を読めるのが神を殺したからではないと確信した。

そして思った、という疑問だけが残った。


「ところでこの本、誰が使うの?」

「今のところ、誰とは考えてないけど道雄と葉杜華さんは絶対に使わせないけどな。絶対に暴走するし、、、」

「それは想像しやすいわね」


俺は誰に使った方がいいのかまだ考えてなかったが、ボスが使ってたのを見て、道雄と葉杜華さんが獲得してしまったら、絶対に自滅すると思ったからだ。


「お~い!全部集めたぜぇぇ!」

「うん?何か影が、、、やべっ」


俺はとっさに動き、その場から離れる。そして避けた瞬間に上から人が降ってきた。

(これ、避けてなかったら俺かなり瀕死だったんじゃ、、、)

俺はそう思い、落ちてきた道雄に言う。


「お前、俺が避けてなかったら危うく死にかけるところだったぞ」

「そうか?氷室なら避けると思ったし、いいじゃねえか!」


サムズアップして笑いながら言われると、少しイラついた。


小稲妻ミニボルト

「あぎゃぁぁぁぁ!」


俺は道雄に向かって弱い雷魔法を使う。


「なにすんだよ!氷室!」

「えっ、そりゃあお前に対する天罰を神に代わって下しただけだ」


俺は白々しく言い切るが道雄の怒りは消えてなかったので、


『半狂戦士化』

「えっ」

「ついでに、『魔道具 炎精の戦斧』起動」

「は?」

「消し飛べ、氷室ぉぉぉぉ!!!」

「はぁぁぁぁぁ!!??シャレにナンネェェェェ!!!???」


道雄が俺の渡した魔道具を起動して、狂戦士化も使って襲い掛かってくる。

それを見ている小栗、園部、猫恩、葉杜華さんはその頃、


「どうしますかぁ?もうこの螺旋階段から降りちゃいますか?」

「そうするか」

「そうですね」

「そうするのじゃ」


と全員の意見が一致し、氷室が道雄に追われて死にかけているのを見るが無視して螺旋階段を降りていく。


「ちょ、みんな何で降りてくんだよぉぉぉ、助けてぇぇぇ」

「ちょこまかと鬱陶しいな!さっさと当たれぇぇ!」


斧が高速で振るわれ、纏っている炎が衝撃波に重なって飛ぶ。

明らかに、当たると死ぬレベルの魔力が籠っている。


「当たってたまるかぁぁ、てかお前狂戦士化したら自我を失うんじゃねえのか!?」

「職業が変わって、半分だけ狂戦士化してんだよ!しかも魔力が増えたからこの斧めっちゃ使えるんだぁぁ!」

「はあ?チートかよお前、ふざけんなぁぁ!」

「氷室、おめえもたいがいだろぉぉ!」

「そうでしたぁぁぁ、あっぶねえ!」

「よっしゃ!当たる!!」


道雄が完全に俺の逃げる場所を読んで斧を振り切る。

しかし、金属がぶつかり合う音がして道雄がすぐに斧をぶつけるのをやめた。


「そういえば、氷室はその刀を持ってたんだったわ」

「そうだわ」

「お前も忘れてのかよ!」


一見するとかなりの殺し合いだが、喋っていることは場に合ってなさすぎる。

しかし、その戦いも終わる。


『風魔法 風神の暴風ウィンドストーム


その場を大人でも余裕で吹き飛ばせるレベルの暴風が吹き荒れる。


「吹っ飛んでたまるかぁぁ!」


道雄は足を本来刺さってはいけない迷宮の地面に突き刺して風の暴威に耐える。


「耐えたぜ氷室、喰らえぇぇぇ!」

「お前、斧の刃の部分見ろよ」

「は?斧の葉の部分だって、はあ!?炎が消えている」

「俺の暴風でかき消した。これで一旦は頭を冷やせ」

「おう」

「とりあえず、降りるか」

「そうだな!」


俺は道雄に螺旋階段を降りるように言うと、すぐに降りて行った。


「そういえば道雄、職業が変わったとか言ってたけどどうゆう事だ?」

『神の使徒が率いる軍勢』展開


俺がそれを言うと、目の前に10このウィンドウが開く。


「えーっとこのウィンドウかな?あってるあってる」


俺が今しているのは、パーティー設定しているみんなのステータスを確認しているのだ。


藤村道雄 18歳

職業 狂魔戦士 高校生

ステータス

HP 4391 力 2736 防御力 3226 魔力 1843 魔法防御力 1948 素早さ 1762 運 782

スキル 身体強化 職業スキル 狂戦士化(派生 半狂戦士化)

魔法 無し

称号 脳筋 魔道具を使いし狂戦士 高校生


「なるほど、確かに職業が『狂戦士』から『狂戦士』になってるわ」


俺は納得したが、その後すぐに目線が別のウィンドウに移った。


「え?」


俺が見たところに書いてあったのはだ。


「なになに『強制融合解除中』後、1日15時間39分?融合の解除にそんなに時間がかかるのか!?」


俺はそう言えば、ずっと保健室のベッドで寝ているクリスとアルスを思い出した。


「あいつら、おいてきたんだった。起きたら念話入れて呼ぼうか」


そう決めて俺は螺旋階段を降りて行った。

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