第三章 神々の遊戯 16
{戦闘後より少し前~}
園部と道雄、小栗たちは走りながらこんなことを喋っていた。
「何で、俺たちは撤退しないといけないんだろな~」
道雄が不満そうに言うと小栗が、
「仕方ないんでしょ。おそらく戦いの余波に巻き込まれただけで死ぬかもしれないからじゃないかな」
「なるほどなぁ」
道雄が納得していると、園部が何かをしているように見えたから、
「園部は何をしているんだ?」
園部は、
「何も。ただ戦闘を『千里眼』で見ているだけだけだ。かなり凄まじい戦いだな、
俺たちを撤退させる理由がわかるよ。巻き込まれたら死ぬね」
園部が平然と言うが、
「なあなあ!どんな戦いなんだ!」
道雄がワクワクしている声で聞いている。
「まあ、氷室と葉杜華さんが何かを詠唱した直後に光に飲まれて、二人とも見た目が変わったみたいだ」
「見た目が変わった!?どうなっているのよ!」
園部が言った直後に、道雄ではなく小栗が聞いた。
「氷室は黒と白の混ざったローブを着ていて、葉杜華さんは髪の毛と瞳の色が変わった」
「マジですかぁ」
小栗が小栗らしからぬ腑抜けた声で言ったから、少し園部は笑ってしまう。
「ふっ」
「何よ!笑ったでしょ!」
「何も笑ってなどいないが?」
「確かに笑ったわよ!小さい声だけど聞こえたもの!」
「しつこいな、何も笑ってなどいない」
「本当にぃ~?」
少しだけ怪しむような目で園部を見るが、鋭く冷たい園部の目つきに負けて、
「そうですか」
と、小栗が折れた。
「何楽しそうに喋ってんだよ、お前ら付き合ってんのか?」
道雄が単純に感じたことを言うと、
「そんなわけないでしょ!」 「そんなことはない」
小栗は叫びながらいい、園部は変わらず冷静な声で言った。
「そうか」
道雄が言った後、3人は走ることに集中し始めた。
{時は戻り、戦い後~}
「う~ん、はっそうだあの神は!」
俺は目が覚めた後、状況が理解できていないのでその場にいた保健室の先生に、
「神と戦った後、どうなったんですか!?」
聞くと、保健室の先生(
「う~ん、先生は詳しいことは何も知らないのよ。
でも、君が保健室にいるなら勝ったんじゃないかな?」
少し悩みながらも先生が答えてくれたので俺が安心していると、
扉が勢いよく開く音がして、猫恩が俺の腹に飛び込んできた。
「ぐはっ」
俺は吐血したような声を出して、少しうずくまっていると、
「病人のおなかに突撃したらダメだよ~」
と優しい声で猫恩を俺から引きはがして叱る。
「ぐぅ、我が主に突撃しただけのじゃが、、、」
先生は、『我が主』の言葉に反応して、
「氷室君!こんな小さい子に我が主とか言わせて、何してるんですかぁ~~!!」
と普段の優しい一面では考えられないほどの怒りを込めて怒鳴ってきた。
それを俺はうまくいなして、
「俺は何も言ってないんですよ。
勝手にこいつが言っているだけで、俺が命令したわけではないですからね」
俺が弁解すると、
「本当ですか?」
といまだに少し怒りの帯びた声で俺と猫恩に聞く。
それを俺は猫恩が変なことを言わないか不安だったから『念話』を使って猫恩に、
「お前、絶対にふざけたことを言うなよ、、、マジでキレるからな」
「はっ、ハイなのじゃ」
と、先生にバレない様に俺は猫恩に命令する。
俺は、「本当ですよ」
猫恩は、「本当なのじゃ」
と言うと先生は、
「そうですか、てっきり氷室君がこんな小さい子を調教でもしているのかと考えて、多少刑務所に入れてやりましょうか、、と思いましたがね」
先生がそう言ったので、
「もしかして、先生って変態なんですか?」
俺は先生が『調教』って言葉を使ったからそんな発想変態にしか思いつかないよな、と思って聞いた。すると
案の定少し焦りながら、
「そ、そ、そんなことありませんよ」
「あれ?先生焦ってますよね、てかロリコンでもあるんじゃないですか?」
俺はカマをかけると、
「い、い、い、いやそんなわけないですよ、変態でロリコンとか救いようがないじゃないですか」
先生はそう言うが、内心は(な、何でバレかけているの~!絶対にバレないように学校では抑えているのに、、、)
と思っているのはお見通しだ。
何で心がわかるだって?念話の応用で自分の気持ちを遮断して、
相手の気持ちだけを読み取るようにしているのさ。
「まあ、そんなことはどうでもいいとして俺はもう保健室から退室しますね」
と言って俺は保健室を後にした。
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