第三章 神々の遊戯 4

{クリス&アルス 目線~}

【何か神じゃないから、いつもより全然戦いにくいね】

と、クリスがそう言い

【あの、、、融合するの忘れてない?】

アルスのするどいツッコミ(ごく小さい声)が決まる。

【あっ、わっすれってた~】

とても、戦闘中とは思えない間が抜けすぎている声が戦場に響く。

【双生児の融合】

そう言った直後、二人が光に包まれて光が収まるころには一人になっていた。

【何が起きたのです?】と神の人形が言った隙に、

『我が右腕に、炎の渦よ、我が左腕に、渦潮よ、融合せし、神の木偶を打ち滅ぼせ』

『プロミネンス・ウェイルズ・エクス』

炎の渦と渦潮が融合し、とてつもない水蒸気爆発で僅か数秒で二人の人形を倒す。

しかし、最後の一体が、

【神の加護は我にあり】

と詠唱し、いきなり速度や膂力、力が増し、魔法を詠唱する暇を与えない。

【非常に戦いにくいな】【戦いにくいねぇ~】

と二人で一つの体を使っているから、何か変に感じる。

『ライツシールド』

クリスとアルスの融合体、略してクルスが光のバリアに守られる。

神の人形が、バリアを破壊しようと突きを繰り出すがなかなか壊れずに、とどまっていると

『黒く底知れぬ闇よ、全てを消し去る光よ、合わさりて、木偶の人形を消し尽くせ』

『複合魔法 深淵の闇と先淵の光』

神の人形が、光で焼かれ光によってできた闇に食い尽くされた。

【融合解除】

そう言った後、またも光に飲まれ光が消えるころには、二人に戻っていた。

【案外、最後の奴は倒しがいがあったかな?】

クリスがそう言い、アルスが

【作られた使徒にしては、強かった】と言った。

そして、氷室が連絡をしてきたところだ。


{藤村 道雄目線~}


「はぁ~。こんな美人を倒さないといけないのか」

そう言いながら、狂戦士としての力をフル活用して撹乱する。

【くっ、ちまちま面倒くさいですね】

神の人形がそう言いながらも、三体同時に神速の突きを繰り出す。

「なかなか決定打が出ないな~仕方ねえ」


『狂戦士化』


道雄の体がバキバキと骨や筋肉が肥大化する音がして、身長が2メートルを超え、体中を血管が浮かび上がる。

動かないのを好機と思ったのか、それとも得体の知らない恐怖を感じたのか分からないが神の人形が、一体急いで突きを繰り出す。

しかし、道雄の筋肉に阻まれ、謎の金属でできたレイピアが高い音を出し折れる。

【なっ】

そう言った瞬間、道雄が残像が残るほどの速度で動き、気が付くと首の骨が折れ肉がもがれて倒れる神の人形。

【氷白の葬送歌】

神の人形がそう言い、白い死の吹雪が吹き荒れる歌が流れる。道雄はそれを気にせず神の人形に対して走る。

道雄の腕が凍り動かなくなったところを、神の人形が突きを繰り出し両腕の肘から上を無くす。しかし、狂戦士化により高速再生能力を手にしている道雄の腕は骨が再生された後筋肉がその周りを覆い肉が再生され元通りになる。

それを見て、一瞬固まった神の人形の目の前に道雄はとてつもない跳躍をして飛び、そのまま首をもぎ取る。

最後の一体は、【神の加護は我にあり】

と詠唱した直後神々しい光に包まれ、道雄の速度に追いつく突きを繰り出した。

さらに、魔法の威力も上がっていて、かなりの苦戦を強いられている。

道雄は狂戦士状態だと考えることができないので単調な攻撃しかできない。

なので、道雄の体はレイピアで切り傷が数えきれないほどある。

これ以上、戦闘が続くと狂戦士化が解け、道雄の負けが確定する。

【ここまでです】神の人形がそう言った。

           【使徒の断罪】

神々しい光を放つ鎌が現れ、道雄の首を落とそうとする。

【死んでもらいます】

「それは、困るんだよね」謎の声が聞こえ、道雄を気絶させる。そして、

           【反逆者に光あれ】

と、中性的とも言える声とともに人工的だが神々しい光が盾となり、鎌を止める。

さらに、バスタードソードの形になり、神の人形ごと鎌をも切り捨てる。

「これでいいか。かなり良い力を持った人間が多くてうれしいね」

謎の者が現れてそう言い去ろうとしたその時、

「お前は何者だ!道雄に何をした!」

と、氷室が道雄の安否を確認しに来て、謎の者に対して叫びながら問いかける。

「ああ、眠らせているだけだよ」

「お前は何者だ?」 氷室が問い詰める。

「今は、名乗れないから、『なごん』とでも言っておくよ」

謎の者がそう言い、霧に包まれていき、霧が晴れるころには謎の者は消えていた。

「何だったんだ。今のは」

俺はそう思いながら、道雄に飛行魔法をかけて他の皆のところに飛んで行った。


そして、この後あんな奴と戦うとは、思ってもいなかった。

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