第9話―白きファンタジア―
私は誰かと関わり合いを持つ事が苦手だ。こういう性質なので人知れずにいるなぁと思われる程度が理想的だった。
そんな花の女子高生と、意味もなく持て囃されても我関せずと読書をゆっくりする加えて静寂な場所を
そうしたら屋上のドア前に来た。
(…この辺でいいかな)
私こと萩川満月は本だけが友達で世界を見せてくれる唯一無二の
親であり教師でもあった。
(ここは誰もこない。壁にもたれていると没頭できる。これが屋上の外なら音や風で没頭の妨げになるからね)
ある日、男子高校生が階段を上がってきた。
(また興味本位とか何か)
残念だけど屋上は退屈だよ。
外壁は
顔が合い会釈する。
欠点が多く長所を探さないといけないほどの屋上。翌日になると、その人はやって来た。
きっかけは些細、その人は吉良義央。
――クリスマス。物語のようにはいかない。特別なきっかけとかなく会う約束をした。
(これが普通なのかな…)
恋愛経験は本から学んだ。現実は知らないし興味もない。膝丈の高さの花壇の縁に腰を下ろして読者して待つ。
「おーい、萩川!」
「えっ?」
驚いた私はスマホを確認したら約束した時間より2時間前だった。
「驚いているみたいだけど本来は俺の反応だろ」
「ど、どうして吉良ここに?」
「何を変な事を、約束したからだろう?」
「そうだけど、そうじゃなく…
私が思った時間よりも早くて」
「はあ…ああ!そういうことか。
誰かが待つ事を苦手な俺が現れるのはギリギリか遅れて来るものだと思ったんだな?」
「はい…い、いえ。そうではなく」
本音が口に出てしまった。
「いいよ気にしていない。
それで?萩川はいつここから」
「い、一時間前でしょうか?」
正面で顔を見て返事をするのを良心が痛く視線を避ける。
「俺は想定内…ところか。萩川は生真面目だから約束した時間よりも早く行くと思ったからな」
「…そうなのですか」
逆も然り。吉良も私を考えていた。
「忘れていた、俺とした事が。
萩川おはよう」
挨拶だった。それがわたしと吉良を繋ぐ魔法みたいだ。
「はい!おはよう吉良」
「うおッ!?元気だな萩川。
それと見違えるほど可愛いぞ」
「あ、あああ――ありがとう!?」
クリスマスデートだからね。気合を入れた。美容院に寄ったりした。ファッション誌や化粧品など勉強していた努力が実を結んだ。
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