第7話―秋の息吹―

長い休暇を話すのが苦手意識を持つ俺だったが気づけば口角が上がっているのが分かって自覚する。

思い出を振り返って夏休みは思ったよりも萩川といることに。


「なんだか萩川と週に1回以上は必ず会う夏休みじゃないかな?」


「ふふっ、そうかも」


少しは夏を有意義に過ごせたと誰かに自慢したい気持ちだ。こんな話を聞いた奴は迷惑な顔して何が楽しいんだと訝しむだろう。


「ねぇ、あそこに座らない?立ったままだと申し訳ないから」


提案する萩川。何をと疑問に思ったが萩川は図書委員の席に座ったままで前に俺が立ったまま。


「分かった…いや、やっぱり無しだ。こんな場面を誰かに見られたら誤解をさせてしまうじゃないか!」


「だ、大丈夫だと思うよ。今日は誰もこないはずなので…」


それは恋人関係に等しい相手に使うべきものじゃないかと思いながらも俺は頷く。並べられた机から中央に椅子の方も同じく中央へ座る。

こうして正面で目で合うと恥ずかしいものがある。


「わたしが好きな夏休みは祭りから離れた花火が良かったと思います」


「んっ…ああ!アレか。花火大会があるから遠くから眺めるスポットに行くと偶然にお互いいた。

約束していないから私服で」


「そう。本当にバッタリ会うよね!もし吉良がいるなら着物にしていたのに」


珍しく快活な声で惜しいと悔やむ。コミュ症だからか発言に所々に危ういのが含まれている。


「帰りに一緒に食べたリンゴあめは美味しかったよね」


「ああ、確かにあったな。

この辺に区切りをつけて、お互い帰らないか」


壁時計をチラッと確認すると長針が想像したよりも進んでいたことに驚き変な声が出た。


「そうだね。バイバイ」


「ああ。またな」


微笑をして小さく手を振る。俺は恥ずかしながらも明日と口にして別れを告げる。

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