第13話 それぞれの想い

その後、撮影も終盤になり何とか無事に終わる事が出来た。


だけど、もう二度としたくないと思った撮影だった。


ある日、竜助君が学校に訪れた。



「時間ある?」

「あ、うん…」



私は竜助君に連れられ向かった先は、カラオケだった。


既に、悠次と由美は来ていた。



「えっ?」




ズキン

私の胸の奥が痛む。




「何?」

「みんなでカラオケ行こうって悠次が」

「…そっか…」



二人のツーショットに何故か胸が痛む。


私達は二人の元へ。


普段通り過ごす。




数時間後 ――――



「あっ!」



事務所から連絡が入っていた。



「すみません…お疲れ様です。はい、分かりました」




電話の内容は、事務所に寄って欲しいとの事だった。



「ごめん、事務所に行かなきゃならないから先に帰るね。今日はありがとう」

「あ、おいっ!待てっ!魅琴!」

「悠次、俺が行くよ。由美ちゃん送ってやって。魅琴ちゃん!」




グイッ

腕を掴まれた。



「魅琴ちゃん!」

「うわぁっ!ビックリした!竜助君」

「悠次に由美ちゃん任せてきた」

「そっか…」

「アイツが良かった?」


「えっ?」

「それよりカラオケ、楽しんでいる様子じゃなかった気がしたけど…」

「…竜助君は…凄いね…」

「えっ?」

「だけど大丈夫だよ。楽しめ…」




グイッと抱きしめられた。



ドキン



「無理しなくて良いから…」

「竜助君…」

「取り合えず付き合うから」

「…うん…」



私達は事務所に移動した。




「悠次君、良かったの?」

「えっ?」

「いや…魅琴のボディーガードみたいなものなのに…」


「竜助がいるから…一人で行動しなきゃ良いわけだし」


「そっか…」





そして、事務所に行き ―――




「魅琴ちゃん、是非!君に!という出演依頼の話があるんだ」

「恋愛じゃないなら喜んで引き受けますよ」

「その恋愛なんだが」

「そうですかぁ~。じゃあ失礼しま~す!」



私は帰り始める。



「魅琴ちゃん!」

「絶対に嫌で~す!」



私は笑顔でありながらもピクピク引きつっている。


「そこを何とか」

「私じゃなくても、沢山女優さんいらっしゃるしゃないですかぁ~」



笑顔で言うも、すぐにスッと真顔になり



「それなのに何故私なのかが理解出来ません!」



「魅琴ちゃん!」

「絶対にお断りして下さい!」



私は帰る事にした。



「おかえり、魅琴ちゃん」

「竜助君。ただいま」

「大丈夫だった?」

「大丈夫だよ。だけど聞いてくれる?」



私は竜助君にさっきの話をした。



「恋愛ドラマ?」

「そう!」

「無理!俺、絶対にテレビ見ないよ!」



私はつい笑ってしまった。



「まあ、とは言うものの見るんだけど…ファンなら絶対欠かせないし」

「そう?」

「だけど…最近…分からなくなってきてんだよなぁ~」


「えっ?」


「魅琴ちゃんの事をファンなのか…恋愛感情なのか…」


「えっ!?」


「あっ!ごめん……えっと……」

「その気持ち分からなくないかも」

「えっ?」

「あ…いや…」

「悠次の事?」



ドキッ


名前を聞いて胸が大きく跳ねた。



「それは……」


「魅琴ちゃんが、そういう気持ちなら悠次もそうなんじゃないかな?アイツ、女優さんに気に入られてるから、いつも頭悩ませてるし好きとかそういう想い気付かないかもしれないよ」


「アイツが好きになる訳ないよ」

「魅琴ちゃん……付き合ってみる?」

「えっ!?」


「俺達。魅琴ちゃんは多分、悠次に気があると思う。俺は、自分の想い気付いてないし、アイツも自分の想いに気付くチャンスかもしれないし」


「竜助君…」


「3人の想いに気付く機会かもしれないよ」



「………………」


「無理しなくて良いから!自分のペースで自分達の想い気付いていくと良いと思う」



竜助君と私は、それぞれお互いの想いを理解するかのように付き合ってみる事にした。


何が正しいのかは分からない。


未来は見えないのだから………













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