第11話 親友の勝負~告白~

その後、台本をもらい、出演者の都合に合せながらゆっくりと撮影が始まるんだけど ―――


台本を見てみるとしばらくは出番はなさそうだ。


私よりも忙しい他の出演者を優先にしているからだ。



ある日 ―――



「魅琴、話があるんだけど」

「うん、何?」

「悠次君に告白してみようと思うんだ」

「うん、良いんじゃない?」

「でも、どう呼び出したら」

「学校行く?」

「えっ?」



「私が連絡先を教えてあげても良いけど、当人同士で交換した方が良いだろうし」




私は悠次の学校に行く事を連絡した。


すると悠次がこっちに来るとの事。




――― 放課後 ―――



「魅琴ちゃん!」

「あっ!竜助君、久しぶりだね!」

「久しぶり!どうドラマの撮影」

「まだ私の撮影始まってなくて」


「恋愛下手だからな」

「そうだね」


「えっ!? 認めた!?」と、悠次。


「事実だから。ねぇ、竜助君、私と恋愛ごっこしない?」

「えっ?む、無理!!」

「いや、悠次よりも良いと思う」

「えっ?」

「楽しませてくれそう。リアルデートしてみない?私にこうドキドキ感を……」


「いや…ファンの俺よりもファンじゃない悠次が良いと思うけど…」



竜助君と話す中、由美が悠次を連れて行く。



「あれ?二人は?」

「ちょっと色々と。先に帰って良いみたいだから途中まで一緒に帰ってくれる?」

「あ、うん」

「単独行動するなって怒られるから」

「俺も悠次に頼まれてるから。アイツみたいな強い用心棒じゃないけど」


「一人で行動するよりもマシだよ」

「確かに」



私達が帰ろうとすると、事務所から連絡が入る。


急遽、撮影が入ったらしく来るように言われた。




「撮影?」

「うん」



私は竜助君と事務所に移動する。



「ありがとう」

「いいえ。じゃあ」

「うん」



私達は別れた。




そして、撮影中 ――――




「カットーっ!魅琴ちゃん表情が固いよー」

「すみません…」



慣れない恋愛の撮影は四苦八苦しながら、何度も何度も撮り直した。



撮影が終わり、家に帰宅。



「もう…やだ…」



私は部屋の出入り口を背中にベットに横になる。



「最悪だよ…」



泣きそうになった。



「魅琴、入るぞ!」

「うん…」

「撮影だったんだって?」

「うん…」

「どうだった?」

「…聞くだけ無駄だから…」

「まあ、空気が見れば分からなくないけど……」


「そっちは?」

「えっ?」

「告白……されたんでしょう?」

「まあ…友達から付き合ってみる事にした」



ズキンと胸の奥が痛んだ。


その時は、まだ自分の想いに気付かなかった。




「そ、そうなんだ。由美、良い子だよ。由美の事宜しく。つー事で出て行って」

「えっ?」

「一人になりたいの!」

「分かったよ」



悠次が出て行く。



「恋愛ドラマなんて…私…向いてない…本当…最悪だ…」



その後、私のボディーガードとして雇われた

緒々谷 瞬(おおたに しゅん)さんの送迎で、ドラマの撮影が始まる。


撮影がうまく進まない日々、1日の休みを貰った。


悠次は由美と出掛けるらしく家に一人いた。


そこに訪問者が来る。



「竜助君?」

「出掛けない?」

「えっ?」

「それとも家でゆっくりしておく?悠次が魅琴ちゃんの事、心配してた」

「そっか…私の心配なんて良いのに。由美の事だけ考えれば良いのに…」

「まあ、アイツもアイツなりに心配してるんじゃないかな?どうする?」



私は出掛ける事にした。




その日の別れ際 ――――



「少しはストレス発散になった?」

「うん、お陰様で。ありがとう」

「いいえ、少しは元気になったみたいだね」

「うん」


「それじゃあ」

「うん、本当にありがとう!」



私達は別れた。










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