第10話 恋愛ごっこ

数日後、由美に悠次の事を話した。



「そうなんだ」

「だから良いんじゃない?」

「そっか」


「それより聞いて~。今度、恋愛の学園ドラマの

出演以来があるんだけど、私、恋愛ドラマって初の試みなんだよ」


「そういえば…魅琴の恋愛ドラマないっけ?それに、魅琴の恋愛話を聞いた事がない」


「それなのに恋愛ドラマってどう?私、絶対無理」


「だけど、ドラマ出演するんだよね」

「うん。自信は一切ないけど、女優魂が…」

「女優魂がね」

「恋愛の勉強しろって言われた」

「悠次君に協力してもらったら?もしくは、竜助君」


「ええっ!?協力っ!?どんな協力?」

「恋人役」

「恋人役っ!?」

「良いんじゃない?」

「いやいや…無理だよ」



私達は色々話をする。



その日の学校帰り。



「魅琴」



グイッ

肩を抱き寄せられた。



「きゃあっ!な、何?」

「魅琴と恋愛ごっこしようと思って」

「ええっ!?」



「ドラマの為の、シチュエーション」

「えっ?いや大丈夫だから」

「でもしていた方が良いだろう?だって、お前恋愛疎いじゃん」

「そ、それは…」

「だから俺が相手してやるって言ってんの。それとも竜助が良い?だけど、アイツは多分緊張して無理だろうな」



私達は色々話をしながら帰る。



その途中 ――――





「魅琴…ちょっと」

「えっ?」



グイッと腕を掴まれ路地裏に入り込むと私をセメント壁に押し付け抱きしめるようにした。




ドキーッ




≪ち、近…≫




「悠…」


「しっ!」


と、人差し指で自分の唇を押さえるような仕草をした。




≪し、心臓がもたないよ…≫




少しして………




「帰るぞ」



私は崩れ落ちそうになる。


悠次はグイッと抱き止めた。



ドキッ

至近距離にある悠次の顔に胸が大きく跳ねた。



「大丈夫か?」

「大丈夫……じゃない……」


「おんぶしようか?」

「だ、大丈夫だし、恥ずかしいから!」




クスクス笑う悠次。




「魅琴、行きはともかく帰りは単独行動は辞めた方が良い」


「えっ?」


「さっき後つけられてた気がしたから隠れたけど」


「えっ?私てっきり恋愛ごっこの一環かと思った」


「いや、今のはガチでリアルに危険を避けたやつだから。事務所に報告しておきな」

「うん…分かった…。でも…誰だろう? …私…逆恨みするような事したかな?」


「業界関係なんじゃ?」

「業界?」

「女同士とか?」

「そんな訳ないよーって……断定出来ないのが……」



≪女同士?まさか……彼女じゃねーよな?≫



俺は一瞬、俺と同じクラスの彼女が過った。


疑いたくはないが、なくはない話だろうと ―――




私達は話題を変え色々話をしながら帰った。










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