第7話 環境の変化
その後、私達は必要な荷物類を持って引っ越しをした。
新築の家の方も随分と完成していたのもあり1ヶ月以内には引っ越し出来るとの事だった。
ある日の事、悠次をとある店内で待っている時の事だった。
「彼女、何してんの?」
「えっ?」
私の前に二人の男の人が声をかけてきた。
「彼氏待ち?」
「い、いいえ」
「つーか…何処かで見た事あんだけど?」
「えっ!?」
≪ヤバイ…バレる?≫
≪こんな所で騒動になりたくないよ≫
「す、すみません!」
私は店を出ようと席を立つ。
グイッと私の手を掴む。
「や、やだ!は、離して下さいっ!」
「良いじゃん!遊びに行こうよ」
「友達か彼氏か知らないけど連絡しなよ」
私は、押し退けると店を飛び出した。
「魅琴っ!」
グイッと腕を掴まれた。
≪えっ?≫
「何してんだよ!」
「悠次っ!?」
「彼女ー、逃げなくて良いじゃん!」
「遊びに行こうよ」
「…そういう事かよ…竜、魅琴頼む!」
「了解!」
私を竜助君に頼むと、悠次は私達の前に立ち塞がった。
「ねえ、お兄さん達」と、悠次が尋ねる。
「何だよ!」
「そこ退けよ!」
「無理っ!」と、悠次はハッキリと言い放った。
「はぁっ!?」
「お前、最初に声掛けた俺達から彼女を横取りすんのか?」
「横取り?人聞きの悪い…あんたらこそ許可とってんの?」
「はぁぁっ!?許可って何だよ!意味分かんねーし!」
「彼女に気軽に声掛けんの禁止なんだけど?」
「うるせーなっ!彼女を渡し…」
言い終える前に悠次は彼等に言う。
「…禁止っつってんのに、許可もとってねぇなら尚更だ!俺達の前から失せろよ!」
ドキン
≪悠次…≫
悠次の違う一面を見た気がした。
「正直、余り騒動起こしたくねーんだけど?」
「そんな事知った事じゃねーし!」
「素直に彼女を渡してくれれば良いんだよ!」
「渡せる訳ねーだろ?彼女はお前らとはレベルが違うんだよ!」
「テメェ…」
彼等の一人が、悠次に襲いかかってきた。
「面倒くせー奴等だなぁ~」
ドカッ
悠次は彼等とやり合い、相手側の二人は逃げるように走り去った。
「お前隙ありすぎだろう?もっと警戒しろよ!」
「だ、だって…突然だったから」
「………………」
「待ち合わせ場所変えた方が良いようだな」
「魅琴ちゃんの学校に行く!」
と、竜助君。
「決定な!お前は、学校で待ってろ!着いたら連絡するから!」
「えっ?あ、うん…」
「良いな!」
「わ、分かった!」
私達は、帰る事にした。
その後、新居に引っ越し、今後の相談をしに事務所に行く。
「業界からしばらく離れたい?」
「はい。普通の高校生活を送りたいんです。勿論、復帰はする予定なんですけど」
「この業界から、一回離れたら復帰するのは大変だよ。今、この波に乗ってないと復帰が出来ない訳じゃないけど…正直…難しくなるんじゃないかな?」
「…検討してください。お願いします」
「魅琴ちゃんの気持ちは分かったよ」
「それでは失礼します。お疲れ様です」
私は事務所を後に帰る。
その途中 ――――
「魅琴ちゃん?」
「…竜助君…」
「一人?」
「うん」
「単独行動は出来る限り避けた方が良いんじゃないの?」
「…あ、うん…そう…だね…」
私達は、肩を並べて帰る。
「………………」
「どうかした?」
「えっ?」
「いや…様子がおかしいから」
「えっ!?」
「だてにファンしてないから俺。悠次よりは察知出来る方だと思うよ」
確かに竜助君は、ファンとしての業界の私しか知らない。
本当の姿の私を知ったら、どうなるんだろう?
悠次には、ありのままを出してるつもりだけど……
「そっか……ねえ、竜助君」
「何?」
「業界って…やっぱり続けた方が良いのかな?」
「えっ?魅琴ちゃん、もしかして辞めるの?」
「えっ!?あ、いや…辞める訳じゃないけど……しばらく普段高校生過ごしたいなぁ~って」
「まあ、それは魅琴ちゃんの事だから俺からとよかく言うべきじゃないけど……ファンや視聴者は楽しみにしてる人いたりするから」
「そうだよね……」
私は下にうつ向く。
私の顔をのぞき込む竜助君。
ドキン
「何か不思議だなぁ~」
「えっ?」
「だって隣にあの女優の魅琴ちゃんがいるんだなぁ~って思って」
「竜助君…」
「いつも遠くから見て、ワァワァ言って、悠次にうるさいって言われるけど、隣にいるのに騒がない自分がいる」
「クスクス…そう?だけど、騒がれたら大変だよ」
「それもそうだね」
私達は色々と話をしながら帰る事にした。
その日の夜 ――――
「お前良かったのか?」
「えっ?」
「まだ確実じゃないたろうけど、芸能から離れるって?」
「うん…高校は卒業したいし……」
「だけど、続けていた方が良いと思うけど?第一今、人気ある時に芸能界辞めたら……」
「事務所の方からも似たような事言われた」
「俺はボディボードつけてでも続けるべきだと思うけど?」
その後、私は迷ったあげく続ける事にした。
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