第6話 協力者

ある日の事だった。



トントンと背後から誰かが叩く。



振り返る私。




「悠次」

「なあ、今日の予定は?」

「ない!帰るだけ」

「そっか」




私達はお互いの親が籍だけを入れて、まだ一緒に住む事はしていない。


お互い名前を呼び合うようにし学校もそのままで過ごしている。


ストーカーの方は、まだ解決していない状況なのだ。


今の所は何もないけど油断出来ないのは確かだ。


悠次にもボディーガードつけろ!と常に言われているんだけど ―――




「ストーカー大丈夫か?」

「うん…まあ今の所は動きないけど」

「なあ、一緒に暮らす方が良くね?」

「えっ?」


「いや…俺は別に、その方が二人の為にも良いと思っているんだけど」

「でも、今、建設中なんだよね」


「まあな。そこに住むようにしてるみたいだけど、お前の状況からしてみると危険過ぎだろう?早目に引っ越す方が良くねーか?」


「まあ、一応、今の状況を話しておこうと思って。近々、事務所に行こうと思っている所」


「そうか。じゃあ俺はここで」

「うん」



私達は別れた。





―――― 数日後 ――――




「お疲れ様でーす」

「お疲れ様。魅琴ちゃん今日はどうしたの?」

「ちょっと、お話がありまして」

「何?彼氏でもできた?」

「ち、違います!」


「そうなの?」

「そうです!」



私は今の状況を、話す事にした。




「お母さんが再婚?」

「はい」

「籍だけは入れて相手と別に暮らしていて、今、新築建設中で」

「なるほど」

「ちなみに相手には私と同じ位の男の子がいるんですけど……」


「バツイチ同士の再婚なんだね」

「はい」

「まあ、いずれにしろ引っ越してからの生活環境変わるだろうし」

「そうですね」





――― その日の帰りの途中 ――――




「魅琴?」

「悠次」


「えええっ!マジでぇぇっ!本物ぉぉぉっ!?」


「あっ!コイツが魅琴バカの、都地屋 竜助」

「わ、わ、わ…は、初めまして!」

「初めまして!」

「か、か、可愛い~♪俺見て話してくれた~♪」




≪ここまで喜んでくれると私も嬉しいんだけど≫




「仕事帰り?」

「ううん、事務所帰り」

「事務所?」

「仕事、始めるんですか?」

「ううん。今の所は未定だから」


「そうなんですか?最近、テレビで見る事なくて、今、隣にいるのが信じられないんだけど」


「そう?」


「はい!」


「今、色々あって仕事も続けるべきか迷ってて」


「魅琴さん辞めちゃうんですか?」

「ハッキリと決まってなくて」

「ストーカーの件、含め何があるんだ?」


「ストーカーぁぁぁっ!?」


「声、でけーよ!」

「悪い!」


「高校卒業したいから、卒業するまで仕事するの控えようかな?と思って…業界の仕事は嫌いじゃないんだけど普通に高校生活を送りたいのもあるから」


「それは事務所に言ったのか?」

「まだ。家庭環境の変化を話してきただけだから」


「あー、家庭環境ね…」


「聞いたよ。コイツと兄妹になるんだよね?良いよなぁ~…悠次…俺の愛しの魅琴ちゃんと同居ってさ。なあなあ、悠次」


「何?」


「さっきストーカーとか言ってたけどさ、俺の愛しの魅琴ちゃんのボディーガードしてやってよ!そうすれば安心して仕事出来るんじゃ?」


「ボディーガード…ねぇ~」


「あっ!魅琴ちゃん、コイツ見掛けによらず頼りになると思うよ」


「えっ?」


「コイツ、体鍛えてるから強いよ!」

「そうなんだ」

「ストーカー、あっという間にやっつけちゃうよ!」


「そんなに?」

「うん。だけど性格変わるけど」

「変わっちゃうんだ……」

「男の俺もカッコイイって思うよ」

「へぇー」



≪そんなに人、変わっちゃうんだ≫



「で?どうした方が良いの?」

「えっ?」

「ボディーガードやるべきなわけ?」

「いや…それは…」

「まあ、俺は別に良いけど。ボディーガードしてもらう会社に事務所には当たってもらって多少サポートは出来るかもしんねーけど」


「いやいや、是非とも悠次が魅琴ちゃんを守ってよ!」


「それはお前の独断だろう?コイツの思いは知らねーけど」



二人が騒ぐそのやり取りを見て笑う。




≪二人仲良いんだなぁ~≫




「じゃあ、俺がボディーガードなったら、竜、魅琴のマネージャな」

「マネージャーぁっ!?無理、無理!無理だからっ!」

「やれよ!」

「マネージャーなんて務まらないから!」

「ずっと一緒にいられるぞ!」

「それは嬉しいんだけど…」


「ちなみに、もし、ボディーガードする事になったら、魅琴、引っ越せ!学校も、と言いたいけど流石にそれは負担が大きい。一緒に暮らすなら協力出来ない訳じゃないと思う」


「えっ?」


「一緒に住んだ方がボディーガードされる」



私達3人は色々話をしなから帰るのだった。






























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