第5話 再婚相手

「…魅琴ちゃんボディーガードつけようと思う」

「えっ!?」

「…これ…」



パサッ

写真がテーブルの上に置かれる。



「………………」



「これ…この前のロケの写真だよ。マスコミ以上の写真だよ」

「事務所に送ってくる位だから」



「す、凄い良く撮れてますね。有り難い事じゃないですかぁ~」


「魅琴ちゃん!」


「もう少し待って下さい!」

「魅琴ちゃん何を躊躇うんだい?」

「君を危険に晒す訳にはいかないんだよ!」

「そうなんですけど……今の環境を壊したくないんです」



「………………」



「すみません……私の我が儘で……だけど……お願いします……」




ある日の学校帰りの事だった。



「魅琴、魅琴。ドラマの撮影かな?」




私の親友・緒木田 由美(おきた ゆみ)



「ドラマの撮影?」



私が目を向けた視線の先にはドラマの撮影中と思われる。


撮影現場には


古須木 哲尋(こすぎ てつひろ)。23歳。

俳優さんだ。


私達は少しの間、見学していた。





ある日の事 ――――




「あっ!魅琴ちゃんだ!」

「行ってらっしゃい」

「付き合い悪いなぁ~」

「俺は興味ねーんだよ!」

「そう言わないで」



俺は親友の竜助に連れられて行く。




「魅琴ちゃん、可愛い~♪」

「はいはい」

「もっと興味持ってよ!」

「興味ねーものはねーの。むしろ、俺はプライベートの方が気になるけど?」


「プライベートも変わらないよ~」

「そうか?」




≪やっぱり業界の顔しか知らないよな?≫





パシャ




パシャ






≪隣では写真撮りまくりだし≫

≪まさか…コイツじゃねーだろうな?ストーカーの何とか?≫




「良いよ~♪その顔…ずぅーーっと、そのままの君でいてねーー。魅琴ちゃん♪」




「………………」




パシャ




パシャ




シャッター音が聞こえる。




「竜、俺、帰るわ」

「えー、帰るの?」

「また明日な」

「分かった。じゃあ、また明日」

「ああ」



俺は先に帰る事にした。




「どいつも、こいつも馬鹿ばっか……みんなテレビの彼女しかを知らないからなぁ~……」





その日の夜。




「魅琴」

「何?」

「魅琴に会わせたい人がいるの」

「会わせたい人?」

「ええ」





会わせたい人?


男の人だろう?


私の母親は父親が他に女をつくって出て行ってしまい、女一人でで私を育ててくれた。



「再婚するの?」


「籍だけは入れようと思って…一緒に住む事はまだ考えていないけど…」


「だけど、いずれそのつもりなんでしょう?」

「…それは…。一応、魅琴の都合のつく日に合わせるから」

「…うん…分かった」


「あっ!そうそう。向こうも事情があってあなたと同じ位の男の子がいるらしくて」


「えっ!?そう…なんだ…」




≪男の子≫



「とにかく都合の良い日教えてね」

「うん…」




そして、日程を報告し私はママの再婚相手と子供に会う事になったんだけど ―――




「………………」



「父さん個室って…個室にしなきゃならない理由あんの?」





そして ――――




「マジかよ……」




≪嘘……≫




「つまり、そういう事だ」





相手の子供


たまに顔を会わせている男の子


早深 悠次君。


お互いまさかの相手に驚くしかなかった。


















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