第8話 廃墟に佇むホテル〜まさかの誘惑
「あぁ、そろそろ、最上階に到着しますよぉ。ここは天界と言われるエリアになります。黄泉の国のセレブと天界の住民だけが住む事が許される場所になります。くれぐれも、綺麗な女性が手招きしても誘惑に負けないで下さいよぉ。すぐに現世に戻されてしまいますので…」
「えぇ?どう言う事ですか?」
「誠に申し上げにくいのですが…これ以上はお伝え出来ません。下に戻る際はこちらのエレベーターにお乗り下さい。では、お部屋の鍵になります。」
「あぁ、どうも有難う。」
「ガチャ。えぇ!どうなっているんだぁ?部屋の中が草原になっているじゃないかぁ。部屋なのに、草原って…それに、白馬もいるとは…本当に部屋なのかぁ…?」
「おぉ〜い!大丈夫ですかぁ?ご主人様。お姫様を待たせているのに…ここでボケッとして大丈夫かぁ?」
「えぇ?えぇ!!馬が喋った。ビックリしたぁ。」
「あぁ、ごめん、ごめん、外界から来たんだったなぁ。ここではご主人様をもてなす為に存在するすべての物や食物などに言玉を飲む事が許されるんだよぉ。言玉を飲むと喋る事も自由に動く事も出来るのさぁ。といっても、外界ではこれでも侍だったけどなぁ。」
「えぇ!侍ですか?そうなんだぁ。もしかして、黄泉の国では償いの場所もかねているのですか…?」
「どうかなぁ…償いねぇ?まぁ、「死ぬ時に人間になりたくない!馬になって自由になりたい」と呟いた事が原因かなぁ…。でもなぁ?やっぱり人間が良いって…気付いてもここでのお勤めが終わらなかったら戻れないんだぁ。でも、それも今日で最後になる。有難うなぁ。さぁ!早く乗って?草原の先に部屋があるから…」
「あぁ、有難う。」
「すごいなぁ!この草原はどのくらいあるんですか?」
「10キロだよぉ。他には、湖や山などあらゆるものが存在するんだよぉ。もちろん、外の世界は危険だからやむを得ないけどねぇ?」
「どう言う事?黄泉の国は人口760億人いるんだよぉ。その中でも選ばれた人だけがこのような場所に住める。もちろん、部屋の中ではねぇ?たいていは外界と同じで貧富の差があったり犯罪や学歴社会があったりと醜いところなんだよぉ。それに階級制度が存在する。といっても、外界の行い一つで黄泉の国では階級が決まってしまうのさぁ。例えば、たくさんの人を殺したら殺し屋が集まる世界に行く事になるし、自分の事よりも他人の幸せを求めた人なら黄泉の国ではセレブが住むエリアに住み色々な人が味方になり幸せを運んで来てくれるのさぁ?でも、たいていは、すぐに外界に行く事を願ってしまうけどなぁ。そうそう、黄泉の国もこのエリアに来れるのも極僅かな人だけなんだよぉ。それに、このホテルは天界が運営している唯一のホテルなんだよぉ。とはいっても、セレブエリアはかなりセキュリティーが厳重でこのエリアに入るのも外界で他人の為に頑張ってきた人なんだよぉ。外界でどんなにセレブでも行いが悪ければ黄泉の国の外界に飛ばされてしまうだよぉ。」
「そうなんだぁ…黄泉の国の外界とは?」
「黄泉の国の外界は通常の行いをした人が住む世界さぁ。人口が多いので人間が住んでいた外界よりも治安も悪いし、税金も高いし、超学歴社会で大変なんだよぉ。さっき話した殺し屋が集まるエリアがあったり、犯罪者が集まるエリアや貧困層が集まるエリアなど様々だなぁ。あぁ、そろそろ部屋に着きますよぉ。」
「部屋の中に部屋があるのは複雑だなぁ…ここだけで良いような気がするけど…」
「気持ちは解りますが…こうまでしなければ黄泉の国では旅行気分を味わえないのが現実何ですよぉ…。」
「そうなんだぁ…黄泉の国って…大変なんだなぁ。」
「ですねぇ?では、私は部屋の外でお待ちしてますので。支度が出来ましたらすぐに戻りましょう。」
「そうだねぇ。ガチャ。」
「はい、はい、どうも、ご主人様。シャワーにする?それともベッドにいきます?」
「えぇ?どうなっているんだぁ。」
「私はこの部屋のメイドですよぉ。といっても、自分の事は自分でしてもらいますけど…」
「おいおい、そんなメイドはいらないでしょ?」
「はぁ?呆れるなぁ…。メイドでも人権がありますよぉ?もしかして、お帰りなさいませ?ご主人様を期待しました?ここはかなり広いですよぉ?案内係のメイドは必要ですけど…あぁ、そうそう、ちなみにここは玄関になりますけど…」
「えぇ?ここが玄関って…シャワーや洗面台や部屋やパジャマや冷蔵庫やテレビなどあらゆるものが備えてあるのに…私は満足ですよぉ。」
「そうですか…この玄関を抜けると竹林があり、竹林院西園寺がありまして日本庭園と湖がありまして、東西南北、日本の四季を感じる事が出来ますが…」
「もしかして、この部屋自体がアミューズメントパークみたいなぁ?感じなのかい?」
「そうですねぇ?アミューズメントパークといえば東京ディズニーランドって…ありましたよねぇ?外界では…。」
「確か…あったと思うけど…。」
「東京ディズニーランド4つが入るかなぁ…かなり広いので部屋だとは思わなくなりますよぉ。中心に展望台があるのでそこからの眺めは絶景ですけど…確か、15メートル程ありますよ。バンジージャンプも楽しめますよぉ。」
「なるほど…すごい世界だなぁ。しかし、堪能する気分はないんだぁ。ごめんなぁ。すぐに、戻らないとならないんだぁ。」
「そうなんだぁ…せっかくカートを用意したので部屋を案内しようと思っていたのに…残念だなぁ。」
「本当にごめんねぇ…。玄関にあるシャワーを借りてすぐに戻るよぉ。有難う。」
「いえいえ、寧ろうらやましいですよぉ。こんなに素敵な世界が広がっているのに…そんな誘惑に負けないなんてぇ…すごく魅力的な女性なんですねぇ?」
「そうだねぇ。逢いたくて逢いたくて逢いたくて仕方がない程素敵な女性何ですよぉ…。」
「パンパン パンパン パンパン。ヒュ〜パンパンパン!パンパンパン!!」
「えぇ?どうしたのですかぁ?」
「今のは花火よぉ。祝福の花火よぉ。もしもし、こちらをご覧になってますよねぇ?美砂さん?」
「はい、はっきりと見てますよぉ。よしさん、本当に有難うねぇ。とてもうれしいです。早く降りて来てねぇ?」
「解った。シャワーを浴びてからすぐに戻るからねぇ!待っててねぇ?」
「ふぅ、サッパリした。では、このまま帰るとするよぉ。ありがとう。」
「この部屋に泊まらないのですか…?」
「もちろん、泊まらないよぉ。これ以上、彼女を待たせる訳にはいかないからねぇ。」
「あぁ、そんな素敵な女性に巡り逢えるとはうらやましいなぁ…でも、この世界に来る機会があったら、今度は美砂さんと堪能して下さいよぉ。」
「そうだねぇ。そうするよぉ。ありがとう。」
「あれぇ、早かったですねぇ?」
「そりゃ、そうさぁ!今まで、逢いたくて、仕方がなかったんだからねぇ?部屋の入口まで飛ばしてもらえるかい?」
「もちろんだよぉ。飛ばすよぉ。しっかりとつかんでいてねぇ?」
「ありがとう。」
「ついたよぉ。部屋の入口に!」
「ガチャ。えぇ?どうなっているんだぁ。フロントって…これから、エレベーターに乗るはずだったのに…あれぇ、5分しか経過してないのかぁ…」
「ビックリした?黄泉の国の住民(セレブ層と天界)の協力で時空を超える為に、寄付を募ったのぉ?先程のやり取りはライブ中継されたけど…私も逢いたかったから…」
「では、2人ともこちらにお越し下さい。
いやぁ、よしさん、黄泉の国の誘惑に負けずに美砂さんを一途に愛するとは感動しましたよぉ。
是非とも、こちらにお越しの際は、美砂さんと末永く幸せになって頂きたいと思っております。」
「美砂…」
「よしさん…」
「逢いたかった。」
「ありがとう。」
「あぁ、見てられないなぁ…素直になって?」
「おぉ!」
「ブラボー!」
「では、皆さん拍手をお願い致します。」
「パチパチパチパチパチパチ…」
「あぁ…よしさん、そろそろ、こちらの世界の扉が閉じる時間になるわぁ。とても、寂しくなるけど…」
「こちらの世界にとどまりたいよぉ。駄目なのかぁ…」
「駄目よぉ…正式な手続きを踏まないと…私達は一生逢えなくなるわぁ。」
「解ったよぉ。待っててなぁ。ありがとう。」
「チェックアウトはこちらになります。」
カランコロン カランコロン〜…
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