第4話 廃墟に佇むホテル~初出勤!部屋の中で…
「ジリジリ ジリジリ…カッコぉ、カッコぉ、ピヨピヨ。オッハョ~よぉ。オッハョ~よぉ。こんにちは。」
「はい、はい、起きますよぉ。はぁ、今日から仕事かぁ…。ふぅ、身体が重いなぁ。」
「かしこまりました。ご主人様…。」
「えぇ?ベッドが喋った?」
「はい、ご主人様。では、マッサージをしますねぇ?どうですか?力加減は調度良いですか?」
「あぁ。気持ち良いよぉ。あぁ、極楽。極楽。最高!あぁ、ありがとう。」
「いえいえ、どう致しまして。」
「ところで、君のように喋ったり、動いたりする家具は存在するのぉ?」
「ここにあるすべての家具や家電はご主人様の指示で動き喋りますよぉ。」
「えぇ、そうなのかぁ…。いやぁ、でも、大丈夫ですよぉ。ありがとう。たいていは1人で出来るから…」
「では、私は必要ないとぉ?」
「いやいや、そんな事はないよぉ。ありがとう。」
「良かった…。もう、必要ないと言われたら、ベッドから引きずり出して、みんなに襲ってもらうところでしたよぉ。」
「えぇ、マジかぁ?危なぁ…!みんなはとても大事ですから、寧ろ気楽にして下さい。」
「良かった。みんな、気楽にして大丈夫ですって…よし、解散。解散。」
「えぇ?解散、解散って?」
「ここには仕事できていますが…ご主人様が1人立ちする為に集められまして…」
「そうなんだぁ。誰の依頼でぇ?」
「それは…秘密です。個人情報保護法ですか…最近は、むやみにお伝え出来ないんですよぉ。すいません。」
「そうかぁ。そうだよねぇ?なるほど。」
「あのぅ、解散しても本当に大丈夫ですかぁ?必要ならまだおりますが…これからの予定は?」
「えぇ?大丈夫だと思うけど…歯を磨いて、顔を洗って、シャワーを浴びて、朝食を食べるだけだからなぁ…」
「ちょっと、ちょっと、あるじゃないですか…?」
「さぁ!みんな、ご主人様の為に、手分けしてかかるわよぉ。」
「イエッサー!」
「はい、椅子。スタンバイ。ご主人様どうぞ?洗面台までお連れします。」
「歯ブラシと歯磨き粉は用意出来てますか?」
「はい、大丈夫です。」
「ゴシゴシ、ゴシゴシ…磨き残しなし!」
「コップはスタンバイ大丈夫?」
「大丈夫です。はい、お水です。うがいをどうぞ。」
「グチュ、グチュ、ペェ。ちょっと、ちょっと、ちょっと、待って!歯磨きとシャワーは自分でも出来るし、たいていの事は…出来るから必要であったら頼むよぉ。ごめんねぇ?」
「そうですかぁ…でも、ここにいるみんなはやっとお仕事を与えられて居場所を見つけた物たち何ですよぉ。居場所がなくなるのは生きる希望を失う事になりますが…」
「えぇ?そうなのぉ?そんなに厳しい世の中何ですか?」
「そうよぉ。昔は無機質に生きていたから、感情もなかったし、寧ろそれの方が幸せだったと思うけど…」
「解ったよぉ。お願いするよぉ。ありがとう。この部屋に居場所があるなら…」
「ありがとうございます。やっと、私も1家の大黒柱として仕事にありつけました。では、続けますねぇ?」
「はい、水です。」
「グチュ、グチュ、ペェ。」
「はい、水です。」
「グチュ、グチュ、ペェ。」
「はい、もう1丁。」
「グチュ、グチュ、ペェ。」
「ほらぁ、来た。」
「グチュ、グチュ、ペェ。」
「もう1丁、ほらぁ、ほらぁ、ほらぁ、ほらぁ、最後に素敵に。グチュ、グチュ、ペェ!」
「グチュ、グチュ、ペェ。」
「ありがとうございました。感動しましたよぉ。最高!こんな素敵なぁ…「グチュ、グチュ、ペェ」出来るって尊敬しますよぉ。いやぁ、生まれてきて良かったよぉ。ありがとう。ありがとう。皆さん、ご主人様に盛大な拍手をお願い致します。」
「パチパチ パチパチ…。ブラボー!アンコール、アンコール!アンコール!アンコール!」
「どう致しましょうか?アンコールが鳴り止まないですが…」
「解ったよぉ。」
「へぇ、皆様、盛大な拍手、アンコールを頂き誠にありがとうございます。アンコールにお応え致しまして「グチュ グチュ ペェ!」を2回行って頂く事が出来ました。それでは盛大な拍手をお願い致します。」
「パチパチ パチパチ パチパチ…」
「では、いきますよぉ…。お静かに…」
「はい、お水です。」
「グチュ グチュ ペェ!」
「はい、お水です。」
「グチュ グチュ ペェ!」
「ブラボー!パチパチ…パチパチ。感動をありがとう。」
「カシャ、カシャ、カシャ!」
「なお、今回に限りまして、ご主人様のプレミアム生写真を販売致します。1枚300円で販売致します。なお、ネット注文でも販売しますので宜しくお願い致します。」
「ご主人様?お手数ですが…こちらにサインをお願い致します。そうそう、そこですねぇ?」
「はい。はい。」
「あぁ、ありがとうございます。」
「いや、いや。そこまで感動されたり、拍手されるのはうれしいけど…」
「はい、次は私ねぇ?」
「あれぇ、いつの間に裸になっているんだぁ。」
「ここでは一瞬よぉ。ほらぁ、遠慮しないでねぇ。早く、早くぅ。」
「あらぁ、素敵な身体ねぇ?鍛えたら自信が付くわねぇ?」
「本当ねぇ?きっとイケメンになるわぁ。」
「えぇ?誰が喋っているのですか?」
「決まっているでしょ。シャワーとシャンプー、コンディショナー、石鹸よぉ。」
「私達が綺麗に洗うわよぉ。ウフフ。」
「あらぁ、素敵ねぇ。私も触りたい…すぅ、すごい。」
「あぁ…ありがとうございました。」
「素敵なモノまで見てしまって刺激的。」
「はい、はい、次は俺達だなぁ。」
「ほらぁ、ほらぁ、テーブルに。」
「まずは、突撃隊の牛乳!スタンバイ出来ているかぁ?」
「大丈夫であります。」
「よし、ぶち込んでやれ!」
「イエッサー!」
「よし、次はジャム中隊、バター伯爵出番だぁ。」
「えぇ?階級なんてあるんですか?」
「もちろんありますよぉ。使う頻度や出番の回数で階級がありますよぉ。階級が高いのは使う頻度が低いファグラ大王、トリフゥ王女などですねぇ。シャンパン姫君に、ワイン王子など様々です。階級が低いのは塩や胡椒などのよく使われるモノですねぇ?」
「ちょっと待って下さいよぉ。使う頻度や出番の多さで階級や身分があるのは違うでしょ。みんな必死に生きているじゃないですか…。」
「気持ちは解るけど…人間が決めたルールだからなぁ。今更、これを覆すのは世界が壊れない限り無理だなぁ?」
「そうなんだぁ。」
「でもねぇ、俺達は幸せだよぉ。」
「そうなんだぁ。」
「そりゃそうさぁ。俺達は必要とされている居場所や家族などがいるし、孤独ではない。だから、家が貧しくても裕福でも幸せの価値はモノそれぞれなんだよぉ。」
「なるほど…。」
「では、こちらの目玉子焼きには私達の出番ですねぇ?」
「すまない。醤油でお願いします。」
「えぇ!マジですか…あり得ない。あり得ない。あり得ないって…」
「ほらぁ、ほらぁ、塩と胡椒は今日は出番はないからぁ、下がって、下がって。醤油歩兵連隊ただいま到着しました。」
「では、かかれ!敵の黄身帝国にぶち込んで来い!」
「あぁ、ありがとう。」
「トーストが焼き上がりました!」
「よし!バター伯爵とジャム中隊よぉ。いよいよ出番だぁ。」
「荒れた荒野をバターの白い綿花のような大地とジャムのお花畑に変えましょう?」
「それでは、取り掛かりましょう。」
「あぁ、ありがとう。」
「ガチャん、待たせたなぁ。」
「キャー!素敵!コーヒー公爵様。」
「よぉ!バター伯爵久しぶりだなぁ。」
「どうも、どうも。お久しぶりです。今日もとても素敵ですねぇ。」
「ありがとう。」
「では、コーヒーを飲んで、人生の苦味の中にも光輝く甘いひと時がある事を堪能して頂けでは幸いです。では、さらばじゃ!」
「キャ~!素敵だわぁ。瞬殺。バタン。ミルク姫。」
「あぁ…又、気絶してますよぉ。」
「大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。これを…私の気持ちです。」
「これは?ミルクやん。」
「久しぶりに楽しく朝食を食べましたよぉ。ありがとうございます。」
「よし、ご主人様が満足されてますよぉ。バンザイ、バンザイ、バンザイ!」
「では、気をつけて、行ってらっしゃいませ!ご主人様。」
「あぁ…ありがとう。」
「ふぅ、これからが大変だなぁ…。」
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