第8章


シーの寝息を合図に、わたしたちの《銀河鉄道布団電車》は、膨張を続けている果てしのない宇宙、半径450億光年、1000億個の銀河の中を走り始めました。

「宇宙の果て」行き切符を持って、宇宙の照明をさがす旅へと…



しかし出発してすぐに、なんと先日電車の中で「銀河鉄道の夜」を小さな可愛い声で読んでいたツインテールの女の子が、わたしたちの《銀河鉄道布団電車》に乗車して来ました。


女の子は、微笑んでシーを見つめます。

《銀河鉄道布団電車》は、まずはこの女の子のために寄り道することに決めました。

このツインテールの女の子にも、宇宙の照明が感じられるように…


ご乗車いただきまして誠にありがとうございます

どちらまで行かれますか?

………


パパのところまで

遠くに行った

パパのところまで

………


かしこまりました

《銀河鉄道布団電車》は、お客様のご希望ならどこへでも伺います

天国でもどこでも必ずまいります

どうかご安心を

………

そして最後にクリスマスプレゼントとして

SENDAI光のページェントへご招待いたします

お嬢様の頭上には、ひとつだけピンク色のライトが点っておりますので

どうかお楽しみに

………


ツインテールの女の子は、満面の笑みです。

クスクス笑い始めました。

そしていつのまにかシーが、女の子の頬をペロペロ舐め始めました。





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