第1章




青みを帯びた灰色の夜空の、いくえにも重なる大輪の花のような色づいた雲の中心に、白い満月が浮かんでいます。

日頃食料品を購入するアサノスーパーの広い駐車場を横切り、いつもの散歩道のくすんだ赤ワイン色の垣根付きの舗道に出ました。

月明かりの下で、先を歩くシーの白にゴールドの体毛がほのかな輝きを放っています。

シーは、模様のあるグレーの舗道の黄色の視覚障害者誘導用ブロックの上を、短い足で少しお尻を振りながらなぞるように歩いています。


ふと黄色の視覚障害者誘導用ブロックが、電車の線路に思えました。

シーという電気機関車が、線路の上を走行します。

すると突然、黄色の線路が浮かび始め、青みを帯びた灰色の空の、大輪の花のような色づいた雲の中心の白い満月へと続いて行きます。

おれとシーは、黄色の線路を白い満月に向かって走り始めました。

ジョバンニやカンパネルラが乗った銀河鉄道のように…







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る