豹変するクラスメイト



 それから。

 

 月例試験が終わり、放課後となった。


 そう言えば試験の結果は、どうなったのだろうか。


 手持無沙汰になったところで俺は、学生カードを確認してみる。


 

 アルス・ウィルザード 

 所属   1E

 保有SP 1100ポイント

 学年順位 1/150

 ランク  D



 前に獲得した100ポイントに加えて、新たに1000SPを獲得していた。


 合わせてランクもEからDに昇格したようだ。


 聞くところによると、Bランク以上になると、二年生への進級が確定となるらしい。


 ふむ。


 どうやら今回の試験でまた1つ進級に近づいたようだな。


 引き続きSP集めには気を払っていくことにしよう。


 でだ。


 何時も通りであれば、貧困街(スラム)のアパートに真っ直ぐ帰宅をしているところであるのだが……。


 生憎と今日は他にやるべきことがあるようだ。



 付けられているな。



 敵の数は2人だ。


 1人は気配の隠し方が完全に素人なのだが、もう1人は明らかにプロのものである。



「いるんだろ。出て来いよ」



 人気(ひとけ)のない裏路地に入ったところで俺は、振り返って、敵を誘い出してみることにした。



「ククク。調子はどうだい。ア~ルスくん♪」



 耳に障る不快な声が聞こえたかと思うと、見覚えのある顔がそこにいた。


 デルクだ。


 だが、その様子は明らかにおかしい。


 目の焦点が合っておらず、体内の魔力量を大幅に増大させていた。



「ボクはねぇ。最高にハッピーな気分だよ! 目障りなキミをこれから始末することができるからねっ!」



 ハイテンションで叫んだデルクは、腰に差した剣を抜く。


 ふむ。


 この動き、完全に吹っ切れて俺を殺すつもりで来ているようだ。


 殺気に関しては、及第点を上げたいところであったが、残念だったな。


 この殺気は自然に発生したものではない。


 興奮作用。筋肉の増強。魔力の増強。


 極めつけに凶暴化。


 諸々含めて、DD(ディーツー)の症状の典型例である。



「ヒャハハハ! 死ねエエエエエエエエエエエエ!」



 デルクの剣を受けるため、ポケットに入れていた銃で応戦する。

 


 少し、驚いたな。



 DD(ディーツー)は、既に学園の中にまで流行しているのか。


 事態は俺が思っていたよりも、深刻なのかもしれない。


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