68. 風向きが変わる

  困惑した様子で離れていくミシェル。

  サラは、ミシェルと一緒じゃないと、魔法を発動できなかったんじゃないか。

 

  だけど、ミシェルが離れてしばらくして、サラは震えながらも、たくさんの魔法陣を浮かび上がらせた。

  催眠魔法だ。


「マリオネット・ヒプノシス!」


  そして、それらを、一つ一つアンデッド達へとぶつけていくと、彼らはどこかへ集団のまま歩いていった。やはり、彼女の魔法は素晴らしい。人間相手だと脅威以外の何物でもないが、こういう場面において、人外に対しては、効果的だ。


(それにしても、ミシェル無しで魔法を使えるようになったんだな)


  なんでなのかはよく分からないが、彼女もこの戦いで、何か得るものがあったのかもしれない。


(俺も、頑張らなくては)


  友達は先程から、自分の限界を破って頑張っている。元はと言えば、自分の姉を助けるべく始まった計画だ。もっと、がんばらなくては。


  俺は氷魔法を使い、アンデッド達を思い切り遠くへ飛ばした。リルは相変わらず回復魔法、サラは催眠魔法を駆使している。

 

「こいつらは炎魔法に弱いぞ!」


  そうやってしばらく戦っていると、ミシェルの声が聞こえてきた。どうやら、鑑定魔法を駆使し、彼らが苦手とする魔法を教えてくれたらしい。

  なるほどそうなれば、炎魔法を使える者を前衛にした方がいいか。

  俺は様子を見つつ、隊形を変形させた。

  氷魔法を使いつつやっていたので、動いた表紙に、誰かと背中がぶつかる。


「勝てそうだな」


「あぁ」


  聞き覚えのある声にそちらの方を見てみれば、アランだった。


「いや」


  俺はアンデッドに氷の塊を命中させて言った。


「勝つんだ。絶対」

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