青は塗りつぶせば黒

俺が声をあげるとほぼ同時に後方から炎の弾が青いきつねへと飛んで命中した。


「ベルリア、いきなさい」

『アクセルブースト』


ベルリアは空中から勢いをつけ肉切り包丁を一閃する。


「ミク様、ご助力ありがとうございます」

「まだ終わってないわよ」

「このベルリアに油断などあろうはずがありません。『ブラックブレイド』』」


ベルリアは青いきつねを倒すとすぐに次の敵へと斬撃を飛ばした。

今度は本当に大丈夫そうなので俺も負けてはいられない。


「いくぞ!」


気合いを入れて残る2体のモンスターへと向かおうとするが、スピードを出そうとするとやはり足下が気になってしまう。


「海斗、重心と体重移動だ!」

「は、はい」


そう言うとあいりさんは、いつもと変わらないスピードで敵モンスターへと向かって行ってしまった。


「やっぱりすごいな」

「海斗さん、感心している場合ではないのです。敵がきちゃいますよ。『アースウェイブ』」


俺は目の前の敵へと意識を移し戦いへと臨む。

重心と体重移動だ。

あいりさんの言葉を頭の中で反芻しながら、滑らないように前へと進む。

既にあいりさんは敵モンスターと交戦状態に入っているが、俺は幸いにもヒカリンの『アースウェイブ』のおかげで余裕を持って攻撃をする事ができる。

ベタ足で構えた白麗剣を側面に踏み込み斬りつける。


「ガガッ」


硬質な感覚が手に伝わり、浅いところで刃が止まるが、そのまま手を止めずにバルザードを更に振るう。

のせるイメージは切断。

敵モンスターのメタルボディに触れた瞬間鈍重い感覚が刃を通して伝わってくる。


「斬れろ〜!」


気合いの声と共にバルザードを振り切る。


「ふ〜〜」


「おい、海斗、なにがふ〜だ。お前が1番最後だぞ」


自分的には上手くやれたと思うが、他のメンバーは既に戦いを終えていたようで俺が1番最後だったようだ。


「おいおい、マジか。4体を瞬殺!? 黒い彗星は伊達じゃないってことか。それに、そこの小さいのなんだ。影薄いおまけかと思ったらすげえ。青い奴まで」

「空中舞ってたぞ。特撮映画じゃないんだぞ。サーバントすげえ」

「薙刀の子も凄腕よ。あのメタルモンスターを一刀両断したわ」

「流石は『黒い彗星』。パーティメンバーも半端ねえ」

「もしかして幼女2人もすごいのか?」

「完全に俺たち負けてないか?」

「いやいや、俺たちも負けてはないだろ.いや負けてるか?」


落ちた魔核を回収して、英士さん達の下へと戻る。


「ベルリア、頑張りすぎだろ」

「いえ、これが普通です。あの程度のモンスター、ただ青いだけです。青いだけのモンスターに手こずるなどあり得ません。青など塗りつぶせば私の敵ではありません」

「そうか」


やはりかなり気にしてるらしい。

いつも以上に張り切っていたのは間違いない。ベルリアにとってはもはや天敵と言っても過言ではないかもしれない。

今回は上手くいったが、空回りしなようにだけ注意が必要だ。 あえ

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