カツカレー

「みんなもレベルアップしたんだよね」

「そうね。スナッチもレベルアップしたし、あのジャグルっていう階層主の経験値が大きかったみたい」


ヒカリンとあいりさんも同様にレベルアップしたようだ。今回のレベルアップでミクとヒカリンもブロンズランクへと到達したようだったが、俺がBP100に到達したことはなんとなく言いそびれてしまった。


「今日は、十九階層に降りたら回らずにすぐ引き上げようと思うんだけど」

「ああ、それがいいだろう」


全員レベルアップによりステータスは回復しているが、さすがにジャグルとの戦いで心身ともに疲弊していたので、十九階層への階段を降りてそのまますぐに地上へと戻ることにした。

ジャグルを倒した事で充実感はあるが、ここで勘違いして深追いするとろくなことにならないので、ダンジョンギルドは明日向かうことにして今日はそのまま別れることにした。

俺はBPが100に届いたことで、モチベーションはかなり復活はしたが、魔刀二本のダメージから完全に抜け出すことはできなかったので、大人しく家に帰り、カレーを食べて早めに寝ることにした。


「今日はカツカレーか……」

「今日はスーパーで鹿児島の黒豚が安くなってたのよ」

「黒豚……」

「先に食べてみたけど甘みがあって美味しいわよ」

「そうなんだ」


今日は黒豚のカツカレーか。カツカレーはカレーの王道だし俺の好物のひとつでもある。

たしかにいつもより豪勢だし、鹿児島の黒豚って有名だよな。普段の俺ならおかわり確実だ。

それに上にのった豚カツを口に運ぶとたしかにおいしい。


「どう? いつものとはちょっと違うでしょ」

「うん……そうだね」


思うところはあったが、ダンジョンで消耗してお腹もしっかりと減っていたので、結局残さず、おいしくいただいてしまった。

夕飯を食べてからしばらくしてから、ベッドに入ると『愚者の一撃』を使用したことによる疲れと精神的な疲労ですぐに眠ることができるかと思っていたが、目を閉じると脳裏には一万円札を咥えた黒豚の大群が現れ、なかなか寝つくことはできなかった。

まさかジャグルの呪いではないだろうけど、やはり三千万円相当の損失は俺には堪えたようだった。

翌日目を覚ますとスッキリしたとは、言いかねる状態だった。

まだ身体に重さが残っていて、普段あまり夢を見ることも無いのに、しっかりと黒豚と一万円札のことが頭に残っていたので、夢にも出てきていたようだ。

今日は朝からダンジョンギルドへ向かう約束をしているので、重い身体を起こし、顔を洗い意識を覚醒させる。


「もうしばらく豚はいいな……」


朝から豚でお腹がいっぱいというか胸と頭がいっぱいになってしまっているので、当分の間豚肉料理は遠慮したい。

できれば魚料理とかあっさりしたのが食べたい。

病気の時以外でこんな風に思ったのは初めてかもしれない。



あとがき

俺はこのモンスター溢れる世界をスキル『ガチャ』で生き抜くが日間50位にランクインしました。

ありがとうございます。


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