鑑定

「おはよう」

「おはよう」


集合場所のギルド前に到着したが、珍しく今日は俺が一番最初だった。

待っていると他のメンバーもすぐ集まったので、そのままギルドへと向かい、いつものように日番谷さんの列へと並ぶ。

それにしても日番谷さんは、いつ来てもいるような気がするけど、いったいいつ休みなんだろう。

もしかしてダンジョンギルドってブラックな感じなんだろうか。

ダンジョンギルドの職員は国家公務員のような扱いのはずなので、そこまでではないはずだけど、少なくとも土日はいつもいる気がする。


「すいません。アイテムの鑑定をお願いします」

「はい、そちらの二点でよろしかったですか?」

「お願いします」

「それでは鑑定料として六万円を頂戴します」

「わかりました」

「一本は剣ですね。それともう一本、これは………」

「これは、十八階層の階層主のドロップなんですけど、多分骨です」

「たしかにこれは骨ですね。それにしても、もう十八階層を攻略されたんですね。高木様達さすがです。それでは、そちらにおかけになってしばらくお待ちください」


いつものようにソファに腰掛けて鑑定が終わるのを待つ。


「海斗、本当に骨も鑑定に出したのね」

「それは出すでしょ。今のままじゃ本当にラーメンの出汁ぐらいしか使い道が無さそうだし」

「そうだけど、三万円出して骨を鑑定する人なんているのかしら」

「いや、普通にいると思うけど」

「まあ、実際に海斗は鑑定に出したわけだしな」

「いい骨だったらいいのですね」


しばらく待っていると日番谷さんが鑑定を終えて戻ってきた。


「こちらが鑑定結果になります」

「ありがとうございます」


俺たちは早速鑑定結果を確認する。

まずはベルリアが使う予定の大振りの肉切り包丁だ。


牛魔刀 ………… 牛魔の力を宿した刀。刀身に血を纏う事により、その切れ味と威力が増す。


「え!?」


驚きの鑑定結果に思わず声をあげてしまった」


「どうかされましたか?」

「い、いえ。なんでもありません」


俺以外のメンバーも驚きの表情を浮かべている。

牛魔刀? 牛魔の力を宿した刀? 

サイズは小さくなっているが、あのジャグルが使っていたのと同じと思われる刀なので魔剣なのは予測できていた。

だけど牛魔? どう考えてもジャグルは豚だった。牛魔じゃなくて豚魔じゃないのか?


「あの階層主、もしかして豚じゃなくて牛だったのですか? いえ、でもあれはどう見ても豚だったのです」

「いや、牛だろうと豚だろうと魔を宿したれっきとした魔剣なのだから、きっと役に立ってくれるだろう」

「そうですよね。魔剣だしベルリアが使うには問題ないですよね」

「そうね。血を纏えばっていうのも悪魔っぽいし、牛魔の力ってもしかしたら他にもなにかあるかもしれないわよ」

「そうだな」


鑑定結果は思っていたのとは違ったが、十分に使えなくなった魔刀の代わりになりそうなので結果的にはよかった。

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