ラミアの呪縛

「あっ、あの、お、お、お、おっ……い」


ラミアの声に隼人が反応したが、いったいなにを言おうとしたんだ。


「隼人! やるぞ!」

「い、いや、でも、あの、おっ……」

「バカなこと言ってる場合か。わかってるのか? あれはたぶんラミアだぞ。ふざけてるとマジで死ぬぞ!」

「ラミアさんのおっ……い」

「隼人!」

「マスター……さすがにおかしいです。なにかの精神干渉だと思います」


精神干渉!? いったいいつの間に? だけど、ティターニアの言うようにいくら隼人でもこの状況でおっぱい連呼するのはおかしすぎる。

ふらふらと隼人がラミアに向かって進んで行こうとするのを力ずくで引き止めティターニアに頼む。


「ティターニア『キュアリアル』を隼人に頼む! 俺には『ウィンガル』を」

「わかりました。『キュアリアル』マスターいきます。『ウィンガル』」


『キュアリアル』が精神干渉に効果があるのか確かめたことはないが、可能性はある。隼人がダメなら俺だけで戦わなければならないかもしれないのでティターニアに『ウィンガル』をかけてもらう。

隼人をティターニアに引き渡し、俺は両手に武器を構えて、前方のラミアを警戒する。

俺はその場からバルザードを振るい斬撃を飛ばす。

斬撃がラミアの胴体に命中する。


「あら、あなた動けるのね。それに無抵抗の私を攻撃するなんてひどいわね」


声の感じからみて、さほどダメージを受けてはいないだろう。

鱗に覆われていない部分もかなり防御力が高そうだ。


「ティターニア、隼人は?」

「徐々に、そちらへ向かおうとする力が弱まっています。効果が出てきているのだと思います」


どうやら隼人に『キュアリアル』が効いてきたらしい。

それなら今俺がすることは時間稼ぎ。

その場からバルザードの斬撃を連発する。


「そろそろ、いい加減にして欲しいわね。チョロチョロうるさいのよ。なんであなた動けるのよ! やってしまいなさい」

ラミアの苛立った声がした瞬間、突然俺に向かって脇にいた数匹の蛇が飛びかかってきた。


「うわぁ!」


薄暗い中複数の攻撃に反応が遅れ一匹の蛇が噛み付いてきたが避け切ることができなかった。


「あ! あれ?」


蛇の攻撃をくらい死を想起した。だが蛇は噛み付いてマントにぶら下がっているが、特に俺にはダメージがなさそうだ。

よく考えたら当たり前だ。俺はカーボンナノチューブのスーツの上にナイブリンガーを装備し、更にその上からマントを羽織っている。

頭部と手袋をしていない方の手に注意を払っていれば、他の部位は蛇の牙など刺さるはずがなかった。

もちろん蛇の牙を試したことなどなかったので、平然と対応することはできなかったが、結果俺の装備は蛇を寄せ付けなかった。

これで、蛇に割いていた意識の大部分をラミアに向けることができる。

俺は手に持つ魔刀でマントにぶら下がっている蛇の首を刎ねた。

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