進んだ先

そのまま先へと進むが、野村さんのパーティメンバーも若干慣れてきたのか、俺たちと少し距離感が近づいてきた気がする。

隼人も必要以上に女の子と積極的にコミュニケーションをとっているので、先の見えないこの状況でも場の空気が落ち着いてきた。

彼女たちはダンジョンで一日を過ごして見た目以上に消耗しているはずなので、隼人がそれを意識しているのかどうかは不明だが、隼人の存在は助かる。


「隼人、頼んだ!」

「まかせろ。くらえ!『必中投撃』」


モンスターへと釘が放たれ動きをとめる。

その隙を逃さずに、踏み込んでモンスターの首をバルザードの一撃で刎ねる。


「上手く倒せたな」

「ああ、今度はノーダメージだったし上出来だ」


その後二度ほど戦闘になったが、どうにか勝利することができた。

三人で戦うことにも少し慣れ、連携も向上してきたのでモンスターは手強かったが怪我を負うことなく倒すことができた。

まだ見通しはなにもたっていないが、この階層でもなんとかやれそうな気がしてきた矢先


「おい、海斗あれって……」

「ああ、間違いないな」

「やっぱり普通の階層じゃなかったのか」


俺たちの進む道は一本道で、その先には扉があった。

その扉は次の階層へではなくボス部屋への扉。

これで確定した。

まだこのフロアに来てから二時間は経過していない。ボス部屋への扉があるということはここが最終地点。ここは、どこかの階層ではなく独立したフロア。隠しダンジョンだ。

おそらくはボス部屋のモンスターを倒さない限りこのフロアを出ることはできない。

今までの経験から言って階層の一般的なモンスターと階層主であるボス部屋のモンスターは強さで一線を画す。

一線を画すというか全く強さが異なる。


「やっぱりボス部屋だよな」

「それしかないな」

「ボス部屋ってことは階層主がいるってことだよな」

「そうだな」

「海斗! 落ち着いてる場合か! 階層主だぞ階層主!」

「いや、焦ってるけどやるしかないだろ」

「ちょっと待ってくれ。階層主って強いんだよな」

「そうだろうな」

「ちなみにどのくらい強いんだ?」

「もしかして隼人階層主と戦ったことないのか?」

「もちろんない!」


確かに階層主が現れるのは通常十六階層からなので隼人が未経験だったとしても不思議はない。

そしてティターニアも階層主とやったことはない。

つまりこのメンバーでボス戦の経験があるのは俺一人というということだ。

ただでさえ格上のこのフロアでボス戦。

未経験者は普段通りの力が出せない可能性もある。

しかも扉がある以上野村さんたちも一緒に入るしかない。階層主を倒した場合、即転移とかになったら、また野村さんたちと離れ離れになる可能性もあるので外で待ってもらうというわけにはいかない。

敵が一体であればまだいいが、複数出現した場合、このボス部屋のレベルを考えたら、彼女たちを護りながら戦える自信はない。

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