第547話 ローストドラゴン
残るドラゴンは後二体。
その内一体は絶賛燃え尽き中なので実質残るは後一体。
ベルリアもドラゴンによる攻撃をジャンプで躱して空中から『ヘルブレイド』を放つ。
『ヘルブレイド』は、炎の魔刀の力を吸収している様で、黒く燃え上がった斬撃がドラゴンに向けて放たれた。
「ガアアアッ!」
ベルリアの放った一撃はドラゴンの右肩口に命中し、岩のような外皮を砕き大きなダメージを与える事に成功したようだ。
肩口を大きく抉られたドラゴンはバランスを崩して崩れ落ちた。
着地したベルリアが一気に加速してドラゴンに接近して斬りつける。
やはり見た目通り外皮の防御力は高いようで、魔刀の一撃でも斬り刻むという訳にはいかないようだが、ドラゴンは確実にダメージを蓄積させている。
「これで終わりです。この二刀の前に敵無し! 『アクセルブースト』」
ベルリアがとどめに必殺の一撃を放ちドラゴンは完全に沈黙した。
「ベルリアやるな〜。ドラゴンに何もさせなかったな」
「マイロード、この二刀を賜ったのですからこの程度は当たり前です」
これで二匹は消滅した。残るは……
「ルシェ、まだか?」
「は〜? だからもうすぐだって言ってるだろ。男のくせに気が短いんだよ」
「どう考えてもルシェの方が短いだろ」
「あ〜、今じっくりと焼き上げてるんだ。そこでゆっくり見とけよ」
見る限りドラゴンは獄炎に包まれ虫の息だが、一番最初に攻撃した割に、最後まで倒す事が出来ていない。
やはり、このドラゴンと炎は相性が悪いようだが、ルシェは認めようとはしない。
「そろそろかな」
「だから〜うるさい!」
「ベルリアはどう思う?」
「はい、ルシェ姫の完封勝利かと」
「まあ確かに、ドラゴンも全く動けてはいないから完封勝利には違いないけど、ちょっと遅くないか?」
「いえ、じっくりと油断せず確実にしとめている結果かと」
「ものは言いようだな」
「くっ! 殺されたいのか?」
今まですぐに燃え尽きる事が多かったので気がつかなかったが、どうやらルシェの獄炎は基本敵が燃え尽きるまで消える事は無いようで、今も凶悪な炎が燃え盛っている。
「あ……」
目の前で燃えていたドラゴンがついに事切れたようで消滅してしまった。
「ふんっ! どうだ海斗! 見たか!」
「ああ、じっくり見たよ」
「ルシェ姫流石です。このベルリア、ルシェ姫の獄炎の威力に感服いたしました。じっくりと焼き上がる仕上がりが素晴らしかったです。シル姫も見事な一撃でした。空中から正に一撃必殺。瞬殺でしたね」
「ベルリアも上手く倒せたようですね」
「はい、ありがとうございます」
「おい! ベルリア〜!」
「はい!」
「バカにしてるのか。お前も燃やして欲しいんだな。いい機会だ獄炎の威力を直に体験してみろ!」
「ルシェ姫、それだけはお許しください」
「ルシェとベルリアは仲がいいですね」
「シル! これはそんなんじゃないぞ」
今回のドラゴンだが最初の火竜よりも俺たちのパーティにとっては難敵だったのは間違い無い。
俺の『ドラグナー』とあいりさんの『アイアンボール』ならあの外皮をいけるか?
「ルシェ、次同じ敵だったらどうする? 俺がかわろうか?」
「ふざけるな! わたしがやるに決まってるだろ。今度の蜥蜴は瞬殺してやる」
「じゃあ、まあ、頼んだ」
「ふん! それよりいつまで待たすんだ。早くくれよ」
「あ〜、そうだな。今回は獄炎一発だけだから魔核は一個だぞ」
「くっ……」
無事に三体のドラゴンを倒す事に成功したので、俺はマジック腹巻きから取り出してベルリアを含む三人にスライムの魔核を一つずつ渡した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます