第548話 油味噌

岩のような外皮のドラゴンを倒してたので一息つく。


「この辺りでお昼ご飯にしようか」

「そういえばお昼まだだったわね」

「ああ、そうしよう」


お昼を過ぎてから潜り始めたので時刻としては既に夕方が近づいている。

ただメンバー三人共がカオリンの事で頭がいっぱいになり、まだお昼ごはんを食べていなかった。

俺は腹巻きから、コーンマヨネーズパンと油味噌のおにぎりを取り出して食べる準備をする。


「海斗、そのおにぎりって初めて見るけど油味噌ってなに?」

「俺も去年初めて食べたんだけど、この油味噌って沖縄では一般的みたいなんだ」

「油で出来た味噌なの?」

「甘辛な味噌で、なんで油味噌っていうのかは俺もわからないけど、ご飯のお供って感じですごく美味しいんだよ」

「へ〜っ。今度私も食べてみようかしら」

「ああ、これはかなりおすすめだよ。最近コンビニでも時々売ってるから」

「コンビニか〜私コンビニにあまり行かないのよね」

「……ああ、そう」


去年から俺がハマっているのが油味噌のおにぎりだが、通年の定番という訳では無いのか、去年見かけて食べ始めたのだが、春から夏にかけて頻繁に食べていたのにいつの間にか姿を消していた。

残念に思っていたら、今日また発売されているのを発見して、即買ってきたのだ。食べてみると、去年食べていたのと同じ味がしてやはりご飯が進む。


「あいりさんは食べたことありますか?」

「ああ、おにぎりじゃなくて瓶に入ったのを食べた事があるよ」

「瓶に入ったやつですか?」

「ああ、以前沖縄にデモンストレーションに行った事があって、その時にもらった事があるんだ。アツアツのご飯に乗せて食べると美味しいよ」

「へ〜っ、食べてみたいですね。沖縄ですか〜いいですね〜。俺は残念ながら行った事ないです。沖縄といえばやっぱり海ですよね。魚の群れとかと一緒に泳いでみたいですね」

「私は泳がなかったけど、聞いたところによると地元の人でも泳がない人は結構多いみたいだぞ」

「え? そうなんですか? 勝手に海は友達みたいなイメージでしたけど」

「あんまり泳がない上に、女の人が泳ぐ時は水着じゃなくて普通に服を着て泳いだり、海でバーベキューをしたりする方が多いって言ってたな」

「服を着て泳ぐんですか?」

「理由までは聞かなかったが、日焼けとクラゲ対策じゃ無いか? 水着を着ているのは観光客が多いって聞いたな」


俺の勝手なイメージは透き通る青い海と大自然で、地元の人もビキニを着て南国の感じで楽しんでいるイメージだったが、あれはテレビによる作られたイメージなのだろうか?


「でも海でバーベキューって大自然な感じがしていいですよね」

「いや、それもビーチとかじゃなくて、ビーチの一角にバーベキュー専用の建物とかがあって場所によっては鉄筋コンクリートの二階建てのところまであって、バーベキューセットの貸し出しや、ビールサーバーの貸し出しまであるそうだ」

「そうなんですか? こっちではそんなビーチ無いですよね。流石にビールを飲んで泳ぐのは無理っぽいですね。やっぱり行ってみないと知らない事だらけですね」

「多分観光客はあまり行かないんじゃ無いかな。地元の人が楽しんでるんだと思うよ」

「沖縄いいですね。受験が終わってカオリンが良くなったらみんなで行ってみたいですね」

「海斗〜。みんなの水着姿とか想像してるんじゃ無いの?」

「いやいや、バーベキューだって」

「でも、来年みんなで行けるといいな」

「そうですね。絶対大丈夫ですよ」

「春香も誘わないと、殺されるわよ」

「いや、俺達はまだそんな関係じゃ……」

「海斗、来年の夏までには頑張れ」

「はい……」


春香と沖縄に旅行か〜。考えた事も無かったけど行けたら最高だよな。

海でバーベキューして油味噌でご飯を食べる。ああ沖縄といえばステーキも食べたいな。

俺が思いつくのは食べ物ばっかりだな。

昼ご飯が遅かったせいで、まだお腹が空いているのかも知れない。

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