第501話 新学年
春休み最終日の昨日は春香と写真を撮りに街を巡ったが、春香も楽しかったのかずっと笑顔だったので俺も嬉しくなってしまい、必要以上に写真をいっぱい撮ってしまった。
そして今日は遂に3年生としての初日だが、俺にとってこの1年を左右する運命の日でもある。
学校に着くと入り口の掲示板に新しいクラスが発表されている。
祈る様な気持ちで3年生のクラスを見る。
俺はどこだ?多分学年末の成績から言って2組か3組だと思うが………
え〜っと……た、た、た、高木。あった。
3年2組に俺の名前はあった。
正直2組でも3組でも良かったが、それよりも春香は何組だ?
俺よりも成績が上だったから1組か2組だろう。
1/2の確率だが春香の名前は…………あった!
おおおおおおおおおぉおおおお!
神様、ありがとうございます。
春香の名前は俺と同じ3年2組のところにあった。
「やった」
思わず心の声が口から出てしまった。
神様ありがとう。
これで俺は今年一年頑張れる。
喜び勇んで3年2組の教室に入って自分の席を確認して座る。
春香は………
既に自分の席に座っていたが、数人の男子生徒に囲まれている。
あまり見覚えが無い生徒達なので初めて一緒のクラスになった生徒だろう。
クラスで春香が目立ってるから速攻で声をかけたってところか。
これはどうしたものだろうか………
「おう、海斗、また一緒だな」
「ああ、真司も同じクラスか」
「おいおい、それはないだろ。もしかしてクラス発表の貼り紙を見てなかったのか?」
「ああ、ごめん。春香の名前を見て舞い上がって他を見るの忘れた」
「は〜っ。海斗らしいといえばらしいけど。それより春香ちゃん大変だな」
「あれ、どうしたらいいと思う?」
「堂々と割って入ればいいんじゃないか?」
「俺、あいつら知らないんだけど………あいつらクラスでも目立ってそうだろ。初日から目をつけられたくは無いんだけど」
「そんなんじゃ春香ちゃん取られるんじゃないか?」
「…………わかったよ。ちょっと行ってくる」
正直俺のキャラじゃないけど新しいクラスになったし真司の言う事も無い話じゃない。
意を決して春香の方に行こうと席を立つと、春香もこちらに気がついた様で声をかけて来た。
「海斗〜。今年も一緒でよかったね、今年もよろしくお願いします」
「ああ、春香、今年もよろしく」
春香は華が咲いた様な笑顔を見せてくれた。
昨日も会ったばかりだが、この笑顔は何度見てもいい。
ただ周りにいた男子の視線が刺さって痛い。
「真司も同じクラスだったみたいだ」
「うん、悠美も一緒だよ」
「そうか〜。真司も言ってくれればいいのに。それじゃあ隼人だけ違うクラスなのか」
「えっ?隼人くんも同じクラスだよ。海斗、それは流石に酷いんじゃないかな」
「はは……。でも今年もみんな一緒か〜。奇跡的だな」
隼人まで一緒だとは思わなかった。
「いや〜また海斗と一緒か〜。まあよろしくな〜」
「隼人。学年末テスト会心の出来だって言ってなかったか?てっきり1組かと思ってたぞ」
「ああ会心の出来だったぞ。78位だった!」
78位って俺より下じゃないか。と言うより2組もギリギリだろ。
「まあ、みんな一緒だからまたよろしくな」
「いや、それがみんなじゃないんだ」
「え?みんなじゃないって………あと誰かいたか?」
「花園さんだよ〜。花園さんと離れ離れになっちゃったよ」
「ああ、花園さんか。隼人あれから彼女と連絡とか取ってるのか?」
「もちろんだよ。あれから毎日俺から連絡入れてる。ちなみに花園さんからの返事は2日に1回ぐらいだから、結構忙しいみたい」
隼人、それって………
毎日連絡してるのに返事は2日に1回ってそれで大丈夫なのか?
「そうなんだ……」
「いや〜花園さんダンジョンの話にノリノリなんだよな〜」
「そうか………」
「やっぱり花園さんイイわ」
「そう」
「今年1年楽しみしかないな」
「…………ああ」
隼人悪い……俺には上手くいくイメージが湧かない。
隼人、お前なら新しいこのクラスで新しい恋が見つかるかもしれない。
頑張れ!
頑張れ隼人。
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