第502話 久々の一階層

学校も初日はお昼までで授業が終わったので、さっそくダンジョンへと向かう。

それにしても、5人が同じクラスになったのは驚いた。

俺も含めて男子の3人は昨年度頑張ったと言う事だろう。

3年2組へは去年の5組からは俺達以外は2人だけだったので、普通に考えてすごい事だと思う。

寧ろ、春香と前澤さんが2年生の時になぜ5組だったのかが謎だ。

1年の時の学年末テストで体調でも壊していたのかもしれない。

そして俺には大きな問題が発生していた。春休みずっと16階層に潜っていた為に完全に魔核のストックが枯渇してしまった。

というより最終日には既に尽きており、シル達に泣く泣く鬼の魔核を与える事になってしまっていた。

不思議な事に大きさによる満足度の違いは一応ある様だが、赤い魔核の様に味が特別違うと言う事はない様でスライムの魔核と比較して特段喜ぶと言う事は無かった。

なので今日からスライム狩りを再開する。


「なんか久しぶりだな。もうずっと来てなかった気がするな」

「実際に2週間以上来てないんだから当たり前だろ」

「まあ、そうだけどやっぱりここは落ち着くよな。ホームグラウンドって気がする」

「1階層で落ち着くってどれだけ低レベルなんだよ」

「ご主人様、スライムですよ」

「わかった」


あ〜久しぶりだ。殺虫剤を片手に向かって行く。

この攻撃力がなくて憎めない感じがなんとも言えないよな〜。

16階層の鬼には間違っても出せない雰囲気だよな。


「久々の必殺殺虫剤ブレスだ!」


俺がスライムに向けて殺虫剤を放つと数秒で消え去った。

スライムスレイヤーとしての効果とステータスの恩恵で殺虫剤ブレスの威力が凄いことになっている。

このあっさり倒せる感もストレスが溜まらなくていいんだよな。

久々にスライムを倒してテンションが上がってくる。


「さあ、どんどん行くぞ。みんなも次行こう」

「レベル20でスライム相手にその感じはどうなんだよ。恥ずかしくないのか?」

「え?何が?恥ずかしいわけないだろ。俺には他の探索者がスライムに見向かない事が信じられないよ。スライムは誰もが通る初心だぞ。初心忘れるべからずだ」

「スライムばっかりだと飽きるんだよ。2階層でいいから行ってみようぜ!」


数体のスライムを倒した後、ルシェがうるさいので仕方無しに2階層にも踏み入れた。

ただ、スライムの魔核とそれほど魔核に違いが無いにもかかわらず、一気に難易度が増して明らかに効率が落ちた。

しかも落ちた効率に不満を募らせたルシェが爆発して勝手に戦い、お腹を空かせてしまう結果となった。

それにより折角手に入れた魔核を消費する事になってしまったので、即座に1階層へと戻る事を決断した。

1階層に戻ると、ルシェの文句は増えるものの、スライムを倒す気が無いのか手を出す事は無くなったので純粋に魔核を集める事が出来ている。

週末までに200個は欲しいので真面目にスライムを倒し続ける。


「殺虫剤ブレス!」

「そもそも、そのブレスっていうのをやめろ!ブレスですら無い。ブレスっていうのは口から出すもんなんだよ。そんな事も知らなのかよ」

「いやそれは知ってるけど、擬人法だよ擬人法」

「擬人法って何だよ。魔法の一種か?」

「違う違う。物を人間に見立てた表現だよ。だから殺虫剤を人に見立てると、噴射口は口だろ。だからブレスであってるんだよ」

「どうせなら悪魔に見たててくれた方が、わかりやすい」


いや悪魔に見立てたとしても噴射口はやっぱり口だろ。

その後も久しぶりの1階層にテンション高めで夕方まで集中してスライムを倒す事に専念出来た。

明日からも張り切ってスライムを倒して魔核をしっかりと集めていきたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る