第476話 小鬼退治

小鬼は俺に一撃入れてから一旦距離を取ったと思ったが、俺とあいりさんがくだらないやりとりしているのを見てチャンスと思ったのだろう。再びこちらに攻勢をかけて来た。

小鬼はさっき日本語を話していたのだから俺達のやり取りを大体は理解しただろうから、攻めに転じるのも納得ではある。

やはり知能の高いモンスターを前に情報を与える様な会話は控えた方が良さそうだ。

まあ今回の様な意味の分からない呼Qの話をしたところで不利になる事もないとは思う。

小鬼はこちらに向かうと再度俺に分銅を放って来た。

どうやらあいりさんではなく既に一撃入れた俺をターゲットにしでいる様だ。

先程同じ攻撃をくらってしまったので、鎖が伸びるのは既に分かっている。今度は油断せずに避けようとするが、分銅が方向を変え俺を追尾して来たので、迫って来る分銅に向け慌ててバルザードの斬撃を飛ばす。

バルザードの斬撃でも鎖が切れる事は無かったが、分銅の衝突は何とか防げた様だ。

小鬼はそのまま向かって来て鎌を振るって来たのでバルザードで受け流す。

今まで鎌を使う相手と対峙したことが無かったので分からなかったが、鎌はかなり厄介だ。

普通の一直線の武器と違い持ち手から横に伸びている刃の部分が今までにない変則的な距離感を生み、避ける事が一気に難しくなってしまっている。

距離感を誤って腕や他の場所を斬られてしまいそうで結構神経を使うが高速で襲ってくる鎌の攻撃全てをバルザードで防ぐ事は出来ないので回避する事にウェイトを置き対応する。


「あいりさん!」

「任せろ!鉄の呼Q 11の型 斬鉄撃爆雷陣 破」


あいりさんが距離の詰まった小鬼に対して踏み込みながら斬鉄撃改め鉄の呼Q 11の型を放ったが刃が届く前に高速で躱されてしまった。


「私だって負けてられないわ『幻視の舞』」


ミクが久々に『幻視の舞』を繰り出したが小鬼に効くのか?

俺の前方にいる小鬼を注意深く観察すると、若干動きがおかしい。

完全ではないかもしれないが確実に動きに影響を及ぼしている様に見える。


「このチビ、いい加減にしろよ!炎がダメなら風に刻まれて地獄に落ちろ『黒翼の風』」


俺達の攻防にルシェが痺れを切らしたらしく、動きが鈍った小鬼に切れながら必殺の一撃を放った。

急激に風が小鬼に向かって集約していきそのままバラバラに切り刻んでしまった。

小鬼がいくら素早くても、自分に向かって集約する風の刃から逃れる術は無かったらしい。

ただ、よく考えると最初から『黒翼の風』を使えばこんなに苦戦する事は無かったのでは無いかと思うが、今言うと絶対にルシェが怒るのが目に見えているので後で言うことにしよう。

ベルリアの方も『アクセルブースト』を使用して既に勝利していた。

タイプは近い気がしたが膂力と技の威力で勝るベルリアが難無く女鬼を退けていた。


「やっぱり鬼は手強いな〜。俺結構疲れたんだけどみんな大丈夫?」

「私はほとんど活躍してないから疲れてないわ」

「いやでも『幻視の舞』が効いてたっぽいし、タイミングがあれば使っていけばいいんじゃないか?」

「そうね。機会があればまた使ってみるわ」

「そうだな」

「私は楽しいし元気だぞ」

「そうでしょうね……鬼烈の刀でしたよね」

「あ〜っ!やっぱりそうなのですね。あいりさんの戦うのを見てて気になってたんです。やっぱり鬼烈の刀なのですね。私も大好きなんです。再放送を見てハマったんです。確かにこの階層の鬼は、ぽいですよね。いいな〜私も何か考えようかな。コホッ……」


カオリンも鬼烈の刀が好きなのか。あいりさん1人でも微妙なのにカオリンも一緒になってやるのは控えてくれると嬉しいなぁ。

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