第464話 黒き流星

「あ、ああ。ごめんボ〜ッとしてた。花園さんどうかしたの?」

「高木くんは超絶リア充黒い彗星って知ってる?」

「…………………は………………え…………………………」

「どうかした?やっぱり知ってるの?」

「………い………や……。知らない…………」

「その反応絶対知ってるでしょ」


何で突然超絶リア充黒い彗星の話が出てきたんだ。

探索者じゃない花園さんが知るはずのない事だよな。

じゃあ、隼人と真司か!?

俺は咄嗟に隼人と真司に目をやるが、2人共が今までに無い程気まずそうな顔をして目を逸らした。

お前らか。お前らなのか。一体何のつもりだ。


「………しら……ない……よ」

「海斗、おかしいよ。何かあるの?」


春香まで………


「い、いや………何も無い……よ」

「海斗?」


春香が不安そうに俺の目を見つめて来る。俺には耐えられない………


「そ、それは………」

「海斗もやましい事があるんだ………」

「そう…じゃない…けど……」


うう〜っ。どうすればいいんだ。


「みんなごめん!俺がおかしなこと言ったばかりに変な空気になっちゃって。超絶リア充黒い彗星っていうのは、最近売り出し中の探索者の2つ名なんだ。そいつが女の子とも上手くパーティ組んでるから、それで名前を出しただけなんだ。特に意味は無かったんだごめんね〜」

「ふ〜ん。でもそれだけだったら3人の反応が変じゃ無い?私達の知ってる人?」


隼人が上手くおさめてくれようとしたのに花園さん鋭すぎないか………


「い、いや〜。そ、そんな事ないよ。なあ真司」

「そ、そうだよ、花園さん。花園さん達が知ってる探索者って、そんな事………」

「うん、わたしが知ってる探索者は水谷くんと大山くんと高木くんの3人だけなんだよね〜」

「…………………」

「でも、水谷くんは自分の事語る感じじゃ無かったし………」


隼人、お前か……お前が口を滑らしたのか。どうするんだよ。これってもうほとんどバレてるんじゃないのか。


「それはそうだよ。俺の事じゃないし」

「じゃあ大山くんの事?」

「しんちゃん本当の事を言って。じゃないと私……」

「いや、悠美。俺じゃ………無い」

「じゃあ高木くんの事だ!」

「………………………」

「その無言はイエスって意味?」

「………………………」


バレた………別に何もやましい事は無い。名前も俺がつけた訳じゃ無いし。大丈夫だ。大丈夫なはずだ。

あ、あれ?なんか急に足下が冷えてきた気がする。さっき迄春の陽気でポカポカしてたのにどうして………


「どういう事なのかな?」


春香が質問してきたので春香の方に顔を向けるが、明らかに今までとは違う。

表情はさっきと変わらないが雰囲気が明らかに違う。

これは怒っているのか?


「あ〜葛城さん。誤解が無いように言っとくけど海斗は全く悪く無いから。勝手に周りがつけただけで、海斗が悪い訳じゃ無いから」

「隼人くん、説明してもらえるかな」


あ〜隼人。俺を庇おうとしてくれたのかもしれないが、既に俺が超絶リア充黒い彗星って認めてるじゃ無いか。もう誤魔化しようが無い………


「か、葛城さん。落ち着いて聞いて欲しい」

「うん」

「黒い彗星っていうのが海斗の探索者としての2つ名なんだ。最近海斗は探索者の中では結構名前が通って来てて2つ名で呼ばれてるんだよ。黒い彗星っていうのは、海斗が探索の時につけてる装備なんだけど、全身を黒尽くめの装備で固めてるからそう呼ばれるようになったんだ。だから黒い彗星って呼ばれるのは結構すごい事なんだよ」

「ふ〜ん。黒い彗星って呼ばれてるのは分かったんだけど、問題は……その前の部分なんだけど」


あれっ?ここは………どこだ?バーベキュー用の河川敷じゃ無かったっけ。

俺はおかしくなってしまったのだろうか。今俺の目の前に雪山が見える………

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